IPO銘柄詳細

関連情報:

HEROZ

コード 市場 業種 売買単位 注目度
4382 マザーズ 情報・通信業 100株 A
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2018/04/04
ブックビルディング期間 2018/04/05 - 04/11
公開価格決定 2018/04/12
申込期間 2018/04/13 - 04/18
払込期日 2018/04/19
上場日 2018/04/20
価格情報
想定価格 3,640円
仮条件 3,940 - 4,500円
公開価格 4,500円
初値予想 28,000円
初値 49,000円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 林 隆弘 (上場時41歳4カ月)/1976年生
本店所在地 東京都港区芝
設立年 2009年
従業員数 34人 (2018/02/28現在)(平均33.8歳、年収452.1万円)
事業内容 人工知能(AI)を活用したインターネットサービスの企画・開発・運営
URL http://heroz.co.jp/
株主数 11人 (目論見書より)
資本金 111,350,000円 (2018/03/15現在)
上場時発行済株数 3,333,839株(別に潜在株式264,200株)
公開株数 198,000株(公募172,200株、オーバーアロットメント25,800株)
調達資金使途 サーバー購入資金や人件費、人材採用費、広告宣伝費など
連結会社 なし
シンジケート
公開株数172,200株(別に25,800株)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 SMBC日興 145,100 84.26%
引受証券 マネックス 6,800 3.95%
引受証券 みずほ 3,400 1.97%
引受証券 大和 3,400 1.97%
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 2,500 1.45%
引受証券 SBI 2,500 1.45%
引受証券 いちよし 1,700 0.99%
引受証券 岩井コスモ 1,700 0.99%
引受証券 エース 1,700 0.99%
引受証券 岡三 1,700 0.99%
引受証券 極東 1,700 0.99%
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
林 隆弘 代表取締役CEO 1,250,000 35.19%
高橋 知裕 代表取締役COO 1,250,000 35.19%
MICアジアテクノロジー投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 300,000 8.44%
HEROZ(株) 自己株式 126,710 3.57%
ビッグローブ(株) 特別利害関係者など 100,000 2.81%
浅原 大輔 取締役CFO 72,000 2.03%
井口 圭一 従業員 48,000 1.35%
藤野 英人 特別利害関係者など 44,170 1.24%
片山 晃 特別利害関係者など 44,169 1.24%
(株)バンダイナムコエンターテインメント 資本業務提携先 44,169 1.24%
(株)コーエーテクモゲームス 資本業務提携先 44,169 1.24%
(株)ハーツユナイテッドグループ 資本業務提携先 44,169 1.24%
(株)竹中工務店 資本業務提携先 40,783 1.15%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2018/04 単独3Q累計実績 871 305 303 223
2018/04 単独予想 1,103 321 300 219
2017/04 単独実績 877 88 94 94
2016/04 単独実績 1,155 -22 -23 -87
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2018/04 単独予想 72.87 440.56 0.00
参考類似企業
銘柄 今期予想PER(3/29)
ミクシィ
7.7倍 (連結予想)
KLab
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コロプラ
23.2倍 (連結予想)
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12.3倍 (連結予想)
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事業詳細
 将棋など頭脳系のスマートフォン向けゲームの運営が主力。社名は一人でも多くのヒーローをという願いのほか、創業者である二人の代表取締役の名前から。人間対将棋ソフトの電王戦で、名人を破った将棋プログラム「ポナンザ」の開発者を社内に抱えており、将棋ゲームなど頭脳ゲームの開発を通じて蓄積した機械学習の人工知能(AI)関連の手法をコア技術としている。
 主力の「将棋ウォーズ」は、会員数420万人以上を誇る世界最大のスマホ向けの将棋ゲームアプリ。通信遅延の問題で困難だったリアルタイム対戦を実現しているほか、5手120円でポナンザが代わりに指す機能や、終局後にはポナンザが算出する評価関数に基づき、プレー中の分析結果を振り返る機能がある。

 また、BtoBサービスとして、MLaaS(機械学習サービス)「HEROZ kishin(キシン)」を活用した企業向けの個別AIサービスを提供している。内容は顧客企業によって異なるが、企業のもつビッグデータをキシンに学習させ、フィードバックしている。具体的には、金融向けでは株価などの市場予測、建設向けでは構造設計、人材では求職者と求人企業のマッチング、ゲーム業界向けでは頭脳ゲームでの人間の対戦相手などに活用されている。初期設定フィーと継続フィーを契約内容に応じて、受け取っている。

 2017年4月期の売上高構成比は、AI関連事業100%。主な販売先は米アップル16.5%、米グーグル20.8%、ポケモン22.8%、ディー・エヌ・エー20.9%。
コメント
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・4万4100株を上限にネットマーブルジャパンに親引けの予定。
・直近(2017年4月)の特別利害関係者らによる株式売買単価は420円。
・既存株主と従業員である新株予約権保有者21名にはロックアップが掛かる。ただし、MICテクノロジーとビッグローブ、藤野英人氏、片山晃氏は初値形成後ならば公開価格の1.5倍以上では解除される。
・ロックアップ対象外の新株予約権が行使できるのは2019年秋から。


<ファーストインプレッション>
 現状は単なる頭脳系のゲームアプリ屋さんに過ぎず、収益も前期までは右肩下がりの斜陽企業。スマホ向けゲーム市場はもはや成熟市場で、得意なのが将棋ともなれば新味は全くない。だが、アプリに使われているポナンザは名人を初めて倒した金字塔的なソフトであり、折しも藤井聡太六段の登場でかつてない将棋ブーム。また、ノウハウを生かして始めた企業向けサービスはパークシャテクノロジーを思い起こさせるサービスで、人気化の公算が大きい。加えて株主には名前が出ただけで、株価がぶち上がるカリスマ投資家の片山晃氏と、レオスキャピタル代表の藤野英人氏の名前が挙がっている。利益相反の問題からレオス本体は逆に手を出せないだろうが、新年度早々から話題沸騰の銘柄として注目されそうだ。
仮条件分析 (BB参加妙味 :S)
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想定価格: 3,640円
 吸収資金レンジ: 6.3億円 - 7.2億円(今期予想単独PER: 50.0倍)
 時価総額レンジ: 121.4億円

仮条件: 3,940円 - 4,500円
 吸収資金レンジ: 6.8億円 - 8.9億円(今期予想単独PER: 54.1倍 - 61.8倍)
 時価総額レンジ: 131.4億円 - 150.0億円

 仮条件は想定価格を8.24~23.63%と大幅に上回って設定された。

<強材料>
吸収額少ない、話題性あり、株主に有名個人投資家、AI関連、ポナンザ有名、将棋ブーム、仮条件大幅上振れ、資本提携多数

<弱材料>
実態は将棋ゲームの会社、従業員給与安い、前期までは業績低迷、開示情報が不十分

<結論>
 Sとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は2万5000~4万円(PER:343.1~548.9倍)を想定する。
 実態と市場の視点がかけ離れそうな案件。現状はリストラ完了と藤井聡太六段のおかげで業績が回復する将棋ゲームの会社に過ぎないが、市場の期待は「第二のパークシャ」。投資家としては「乗るしかない、このビッグウエーブに」に尽きるだろう。

 人工知能(AI)プログラム「Ponanza」を使った日本将棋連盟公認のスマートフォン向け将棋アプリ「将棋ウォーズ」が主力の頭脳系ゲーム会社。ポナンザは同社のリードエンジニア、山本一成氏が開発した将棋プログラムで、史上初めてプロ棋士の名人を破った。AIと機械学習の技術を使用しており、将棋を将棋としてではなく、図として捉える仕組み。このため将棋を知らなくても開発でき、他の分野にも応用ができる。同社では将棋のほかにも囲碁やバックギャモン、チェスなどの頭脳系ゲームにもAIを使用している。
 かつての将棋ソフトは将棋を将棋として捉え、プログラマーが人間の思考を言語化する仕組みのため、エンジニアは将棋とプログラムの両方に精通している必要があった。なお、山本氏は東京大学の学生時代は将棋部に所属し、アマチュア五段の棋力を持つ。社長の林隆弘氏もアマチュアの大会ながら優勝経験を持つ実力者だ。
 また、将棋AIで培ったAI技術を標準化させた機械学習サービス「HEROZ kishin」として幅広い産業にカスタマイズしたAIエンジンを提供している。顧客企業は機械学習により継続するほどに精度が向上するため、継続利用のインセンティブが働く。まだ途中解約された実績はないという。

 業績は前期まで不採算ゲームのリストラを実施しており、人員も削減するなど低迷していたが、今18年4月期はリストラも一巡し、増収増益路線に回帰している。営業利益は前期比3.6倍の3.2億円の会社見通し。藤井六段の登場で将棋ブームとなるなか、将棋ウォーズが好調に推移。BtoBのAIサービスも前期比4.26倍に急拡大し、不採算ゲームの終了もあって大幅に伸びる。

 現状の収益基盤はあくまでスマホゲームだが、市場の目線はBtoBのAIサービスに集中することになりそうだ。AIサービスについては上場する競合がパークシャテクノロジーくらいしかなく、業績も足元で急拡大している。同社ではゲームアプリのBtoCサービスとBtoBサービスの比率を公開しておらず、前期比4.26倍の急成長はまだ分母が小さいことも要因として大きいとみられる。だが、一昨年末から当該サービスを目的として資本業務提携が相次いでいる。先行するのはゲーム会社で、まだまだ対戦相手としての活用と従来の使い方の枠内のものではあるが、昨夏には構造計算を目的に竹中工務店とも提携しており、分野拡大への期待が掛かる。

 加えて株主にも注目だ。資本提携先の4社より上には株主に名前が出ただけで株価が上がる、レオス・キャピタルワークスの藤野英人代表取締役社長と、レオスの元アナリストでもある著名個人投資家片山晃氏が名を連ねる。二人の出資はもともと投資組合「一二三インキュベートファンド」として出資したもので、いわばひふみ投信の別動隊。社長が出資していることで反対に本隊は動けないだろうが、IPOとしてはこれ以上ない買い手掛かりだろう。藤野氏個人の出資は以前にもウォーターダイレクト(現プレミアムウォーター)であったが、当時はまだレオスの大量報告書はそれほど材料視されるものではなかった。

 仮条件は想定価格を大幅に上回って設定されており、機関投資家についても期待が大きいことを裏付ける。上振れ率はパークシャほどではないが、最大2割超の上振れは珍しい。来期業績は将棋ブームによる反動を警戒する必要があり、ポケモン社とのレベニューシェア収入も縮小傾向のなか、60倍超のPERはゲーム会社としては高すぎて話にならないレベルだが、これから事業内容ががらりと変わろうとしていることを前提にすると上値を買う余地はあろう。パークシャのPERは450倍とバブル化している。

 現在、新興企業のIPOではテック系の人気案件にはパークシャ上場時以上の買いが殺到する地合いになっており、吸収金額が最大でも9億円弱の同社株はあまりに少ないといえる。提携先のネットマーブルへの親引けを除けば実質的には7億円弱に過ぎない。
 既存株主は基本的にロックアップが掛かっており、ベンチャーキャピタルや片山氏と藤野氏のエンゼル2名、ベンチャー出資とみられるビッグローブには公開価格1.5倍以上での解除条項があるものの、発動できるのは初値形成後だ。
 需給は今年上場したどの銘柄よりも極めてタイトといえ、3日目に突入する可能性が非常に高いと考える。2000年以降のIPOで最高初値騰落率はジェイテックの8.7倍だが、それさえも視野に入ろう。パークシャのPERに合わせるなら希薄化後基準で2万7400円が基準となってきそうだが、需給がタイト過ぎて合理的な計算が難しい。広すぎるレンジではあるが、2万7400円を基準としたレンジと、ジェイテック越えを視野に入れたのを合わせ、初値は2.5万~4万円で想定する。

 なお、捕捉として、同社の平均給与があまりに安いことについてのリスクを挙げておく。前期までリストラしていたとはいえ、エンジニア中心の会社で452万円。対してパークシャは634万円であり、人材不足の激しいAI分野として安すぎる。
 パークシャも決して高いわけではないが、東京大学研究室と直結している強みがあり、外資系よりも日系で働きたい受け皿として機能してきた。だが、同社にはそうしたものがない。
 今後は引き上げる方針とのことだが、今回上場に当たって情報を公開したことで、競合する企業にとっては、同社はエンジニアの草刈り場に映るのではないか。多くの新株予約権が行使できるようになる来秋までには、大幅に引き上げないと、業容拡大にあたって新規のエンジニアを集められないだけでなく、いつの間にか大量流出している、といった事態に陥りかねない。
公開価格分析
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公開価格: 4,500円
 吸収資金: 8.9億円(今期予想単独PER: 61.8倍)
 時価総額: 150.0億円

 公開価格、追加売り出し株数、親引けそろって上限で決まった。引受価額は4160.04円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件の上限価格に集中していたことが特徴だった。

 4月に入ってブティックスのセカンダリーの勢いが短命ながらよかったためか、初値売買代金は回復傾向。例年、ラッシュが緩み相場も堅調なことが多いこの時期は初値が飛びやすい。既に直近上場株は軒並み安に転じており、気の抜けない展開ではあるが、実質吸収額が7億円弱しかなく、ロックアップ解除も初値形成後となれば売り買い一致は3日目を視野に入れざるを得ない。業態転換期に上場するだけに、本当に軌道に乗るかなどは今後見極めていく必要はあるが、まずは最大限、バラ色のシナリオを織り込みに行く展開となろう。
初値予想
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初値予想: 28,000円(今期予想単独PER: 384.2倍)
初値買い妙味: B

 初値高騰を予想する。現状の収益はほとんどがスマートフォン向けの将棋ゲームからとみられるが、企業向けに始めた人工知能(AI)サービスが注目され、市場からは「第二のパークシャテクノロジー」とも見られている案件だ。大手ゲーム会社や著名個人投資家が株主に並ぶこともあって、買いが殺到しそうな内容だが、吸収額は実質7億円弱と少なく需給は強烈に逼迫(ひっぱく)しそう。売り買い一致は3日目に入ってからとなりそうだ。

 同社はAIプログラム「Ponanza(ポナンザ)」を使った日本将棋連盟公認のスマホ向け将棋アプリ「将棋ウォーズ」を主力とする。将棋のほかにもバックギャモンや囲碁、チェスなど頭脳系ゲームを得意としている。
 ポナンザは同社のリードエンジニア、山本一成氏が開発した将棋プログラムで、史上初めてプロ棋士の名人を破った実績を持つ。AIと機械学習の技術を使用しており、将棋を将棋としてではなく、図として捉える仕組み。このため将棋を知らなくても開発でき、他の分野にも応用できることが特徴だ。同社では近年、将棋AIで培った技術を標準化し、機械学習サービス「HEROZ kishin」として各企業に提供し始めた。今のところゲーム中の人間の対戦相手としての利用が中心だが、昨夏からは竹中工務店向けに構造設計を行うサービスとしても提供している。料金は初期費用と月額利用料からなるが、具体的な金額は個別に決めているという。

 業績は前期まで不採算ゲームのリストラを実施しており、人員も削減するなど低迷していたが、今18年4月期の営業利益は前期比3.6倍の3.2億円の会社見通しで、増収増益路線に回帰している。中学生(現高校生)プロ棋士の登場で将棋ブームとなるなか、将棋ウォーズが好調に推移。BtoBのAIサービスも前期比4.26倍に急拡大し、不採算ゲームの終了もあって大幅に伸びる計画だ。

 現状の収益基盤はあくまでスマホゲームであり、ブームに乗っての業績拡大である以上、来期は反動減を警戒しなければならない。だが、市場の期待はそうした心配をよそにBtoBのAIサービスに集中することになりそうだ。
 AIサービスについては競合の上場企業がパークシャ<3993.T>くらいしかない。具体的な比率や金額は非公開ながら同サービスが足元で急拡大していることは明言している。竹中工務店のほか大手ゲーム会社向けには資本提携込みで矢継ぎ早にサービスを提供しており、将来有望との期待を抱かせるには十分だ。加えて株主には手口が個人投資家に注目されるレオス・キャピタルワークスの藤野英人代表取締役社長や、レオスの元アナリストでもある著名個人投資家の片山晃氏が登場している。

 人気要素が豊富な半面、吸収金額は9億円弱と少ない。既存株主には全員ロックアップが掛かる。ベンチャーキャピタル(VC)や片山氏などのエンゼルには公開価格1.5倍以上での解除条項が付くが、発動できるのはあくまで初値形成後。しかもうち2億円弱は新たな提携先となるネットマーブルジャパンへの親引けに割り当てられたため、実質的には7億円弱しかないことになる。ネットマーブルは韓国系のスマホ向けゲームの日本子会社であり、「リネージュ2レボリューション」などMMORPG(大規模多人数同時参加型オンラインRPG)を配信している。現状の業績が低いので仕方はないが、パークシャ上場時よりも初値買いの売買代金が膨らむ傾向のあるなか、あまりに供給量が少ないといえる。

 今のところ初値が3日目にもつれ込むのは吸収額が5億円程度までの案件ばかりで、同社の吸収額は一回り大きい。だが、今年は営業利益が1億円台のジェイテックコーポレーション<3446.T>の初値売買代金は、2日目ながら60億円近くにも達した。新興市場は足元軟調だが、同社の期待はJテックコーポ以上に高く、2日目では振り落としが足りないだろう。単純計算では2000年以降で初値倍率が最高となる技術者派遣の方のジェイテック<2479.T>が出した8.7倍さえ視野に入る。初値テンバガー達成といったことにもなりかねない。

 ただ3日目の減速を考慮すると、買い気配から始まることは想定できても現時点ではさすがにそこまでは考えにくい。初値後にはVCやエンゼルからの売りも警戒されることから、売買代金は50億円規模を想定。希薄化後PERがパークシャを超える460倍、初値倍率が昨秋のトレードワークスを超える6.2倍となる2万8000円での初値を予想する。

※ネットマーブルについて会社ホームページを基に、ソフトバンクを合弁相手とすると記しましたが、現在はNetmarble Games Corporationの100%出資と目論見書では記述されているため、当該文言を削除しました。訂正しておわびします。


<追加予想>
 大幅買い越しのまま初値が付かなかった。最終気配値は公開価格の2.3倍となる10350円で、差し引き118万5600株の買い越し。買い注文は売りの65.4倍あった。
 2日目からは約定代金の即日徴収、成り行き買い禁止、自己売買部門の初値買い禁止――の規制が入る。


「1万0350円買い気配値――差し引き118万5600株の買い越し(対当価格:なし)

  売り        買い
15,200株 成り行き  465,800株
19,100株 18,000円  765,200株
-------------------------------------
18,400株 10,350円 1,204,000株


 初日付かずは想定内のことではあるが、最終的な買い注文は125億円弱にも達しており、想定以上の勢い。買い注文と売りの差(買売倍率)は65倍にも上った。3日目も買い気配が続いた昨秋のトレードワークスの10倍強、アンビシャスだが7倍の初値を付けたゲームポッドの32倍、2000年以降で初値倍率最高の技術者派遣のジェイテックでさえ初日は11倍だったのと比べ、圧倒的ともいえる需給逼迫である。

 今では公開価格の4倍以上の注文が出せないため、3日目が視野に入る買売倍率10倍以上の差は初値にそれほど関係するわけではない。だが、内容としては上記に挙げた3社よりもテーマ性が強く、単純計算で出した「初値テンバガー」の可能性がにわかに真実みを帯び始めたといえる。今の段階では「果たして3日目でも付くのだろうか?」という状態でさえある。弊社予想の2万8000円は保守的過ぎるものといえ、少なくとも3万円以上は見ておいた方がよさそうだ。過去に例がないような逼迫状況だけに、それ以上は計算が難しいのが実情だが、歴史的なIPOとなるのは間違いないだろう。


<追加予想2>
 上場2日目も大幅買い越しのまま初値が付かなかった。最終気配値は公開価格の5.3倍となる2万3810円で、差し引き31万4100株の買い越し。買い注文は売りの11.0倍あった。
 3日目も引き続き約定代金の即日徴収、成り行き買い禁止、自己売買部門の初値買い禁止――の規制が入っている。


「2万3810円買い気配値――差し引き31万4100株の買い越し(対当価格:3万9500円)

  売り        買い
26,300株 成り行き    -株
33,600株 39,500円  33,500株
33,500株 39,250円  33,600株
-------------------------------------
31,500株 23,810円 345,600株


 2日目も想定通りの付かず。朝方は買いが初日大引け比7割減と大幅に少なくなったが、買いと売りの差は16倍程度からスタート。大引けまでに11倍までに縮んだが、なおも隔たりは大きく焼け石に水だった。大引けの買い注文額は初日比34%減の約83億円だった。

 一般的に上場初日の買売倍率が2桁に乗ると初値3日目の経験則があるが、それが2日目でも保たれたとなると、需給的には4日目突入の可能性が出てきたと言わざるを得ない。初日はかなり冷やかし注文も入っていたようで、減速感は激しいが、なおも需給一致は遠いといえる。

 ただ成り行き買いの禁止により、初日はなかった対当価格が2日目は出てきており、大引けでは4万円弱で終わった。3日目の気配上限は5万4800円であることからすると、さすがに4日目まで引っ張ることはなさそうだ。
 また、仮に4日目に突入するとなると、パークシャーテクノロジーの時価総額を超えてしまい、さすがに無理が生じる。23日の終値では5万0800円以上で逆転する計算だ。初値テンバガーの心理的な壁も越えなくてはならず、基本的にはきょうの対当価格からやや上振れる4万円台前半では付くのではないかと考えられる。なお、3万9500円からはジェイテックの初値倍率8.7倍を超えることになる。

 いちよし経済研究所からリポートが出ている。安定成長の個人向けに加え、高成長が期待できる法人向けが本格的に寄与し始めると指摘。18.4期の営業利益は会社予想を若干上回る3.3億円(EPS 68.99円)、19.4期は前期比21%増の4.0億円(89.99円)と予想した。
初値分析
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初値: 49,000円(今期予想単独PER: 672.4倍) / 上昇率: 988.9% / 高値: 49,650円 / 安値: 42,000円 / 終値: 42,000円
出来高: 192,900株 / 対公開株数: 97.4% / 初値出来高: 99,000株 / 初値売買代金: 4,851,000,000円

 初値は公開価格の11倍近い値を付けた。弊社調べでは情報技術(IT)バブルだった1999年10月に上場したMTIを抜き、ブックビルディング制度導入以降で最高。日経CNBCによると歴代でも最高とのこと。初値テンバガーを達成し、いずれにしろ歴史的なIPOとなった。なお、初値時価総額は1600億円強とパークシャテクノロジーの1700億円には一歩譲る形になった。

 半面、初値形成後は急落し、ストップ安に張り付いた。もともとベンチャーキャピタルやエンゼルなどのロックアップ解除が初値形成後とされるなか、直後に付けた公開価格から11倍超の高値を境に反転。既存株主からと見られる大口売りも出されたことで、10分もしないうちにストップ安を付けた。あすの規制解除を前に打診買いも入ったが、高値警戒感が強く意識されるなか、追随する買い手は少なかった。大引けでは2万0100株の売りを残した。

 出来高は公開株数に達していない。初値売却率は6割強にとどまっており、これだけ高くなっても売らない人が4割近くもいることに驚きだが、彼らは初値で売らなかったために元金の1.5倍もの利益を失った形だ。出来高がさほどできないうちにストップ安しており、実際には既存株主による売り崩しというより、高値警戒感が下落の主因だろう。だが、規制解除による信用資金が入ってきたところで、戻せば反省した公開株取得者はもちろん、既存株主からの売りが待ち受けるのは目に見えている。最低投資単位が400万円を超える値がさ株でもあり、多くの投資家にとっては気軽に参戦もしづらい。早期の株式分割でもなければ、当面は下値を探る展開が想定される。

 今のところAIサービスは細かな数値が開示されていないわけだが、従業員の平均給与は452万円と情報系としても低い。AIエンジニアは外資系に行けば1000万円以上が相場ともいわれるなか、パークシャも多いわけではないが634万円だ。エンジニアには博士号取得者も多いとのことだが、給与水準的には同サービスの実態は単なる受託開発ではないかとも疑われる。
 ストックオプションで社内に億万長者の社員を多数抱えることになったことで、事業が本物ならば行使期間に入る2年後までには平均給与を最低でも200万円ほど上げなければ人材流出のリスクにさらされそうだ。既にIPOのカードを切ってしまった以上、事業拡大に伴い増やす人材はストックオプションによる出世払いは利かず、最初から高い給与を支払う必要がある。現在の収益は将棋アプリからとみられ、AIサービスの実態がよく見えないなか、長期的に今の株価を保つにはサービスごとにセグメント分けした詳細な情報開示も求められる。
IPOスケジュール
マーケットデータ
日経平均 38,079.70 +117.90
TOPIX 2,677.45 +14.30
グロース250 659.87 +9.75
NYダウ 37,753.31 -45.66
ナスダック総合 15,683.37 -181.88
ドル/円 154.36 -0.02
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