IPO銘柄詳細

コード 市場 業種 売買単位 注目度
4488 マザーズ 情報・通信業 100株 A
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2019/12/05
ブックビルディング期間 2019/12/09 - 12/13
公開価格決定 2019/12/16
申込期間 2019/12/17 - 12/20
払込期日 2019/12/24
上場日 2019/12/25
価格情報
想定価格 2,660円
仮条件 3,000 - 3,600円
公開価格 3,600円
初値予想 9,000円
初値 12,600円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 渡久地 択 (上場時35歳7カ月)/1984年生
本店所在地 東京都渋谷区渋谷
設立年 2015年
従業員数 57人 (2019/10/31現在)(平均34.48歳、年収609.9万円)
事業内容 人工知能(AI)技術を用いた光学式文字読み取り装置(OCR)サービス「DX Suite」の提供など
URL https://inside.ai/
株主数 12人 (目論見書より)
資本金 465,200,000円 (2019/11/21現在)
上場時発行済株数 3,540,000株(別に潜在株式389,900株)
公開株数 575,000株(公募300,000株、売り出し200,000株、オーバーアロットメント75,000株)
調達資金使途 サーバー購入費、サーバー維持関連費、採用費・人件費
連結会社 0社
シンジケート
公開株数500,000株(別に75,000株)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 野村 440,000 88.00%
引受証券 大和 12,500 2.50%
引受証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 12,500 2.50%
引受証券 SMBC日興 12,500 2.50%
引受証券 SBI 12,500 2.50%
引受証券 岩井コスモ 2,500 0.50%
引受証券 マネックス 2,500 0.50%
引受証券 いちよし 2,500 0.50%
引受証券 楽天 2,500 0.50%
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
渡久地択 代表取締役社長CEO 2,000,000 56.77%
アクサ生命保険(株) 特別利害関係者など 250,000 7.10%
UTEC4号投組 ベンチャーキャピタル(ファンド) 221,000 6.27%
(株)レオパレス21 特別利害関係者など 200,000 5.68%
中沖勝明 取締役会長 148,000 4.20%
日本郵政キャピタル(株) ベンチャーキャピタル(ファンド) 147,000 4.17%
大日本印刷(株) 特別利害関係者など 100,000 2.84%
名井将元 従業員 98,000 2.78%
レカム(株) 特別利害関係者など 58,000 1.65%
第一生命保険(株) 特別利害関係者など 50,000 1.42%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2020/03 単独中間実績 613 179 176 175
2020/03 単独予想 1,335 211 193 191
2019/03 単独実績 445 -181 -182 -183
2018/03 単独実績 279 -311 -311 -340
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2020/03 単独予想 59.60 518.73 -
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事業詳細
 AI(人工知能)によるOCR(光学式文字認識)サービス「DX Suite」を提供。ディープラーニング(深層学習)による手書き文字認識AIを開発しており、これを日々の業務で誰もが使えるようにするためのサービスして、企業や官公庁に提供している。

 DX Suiteは内部に(1)レイアウトが統一された帳票を読み取る「Intelligent OCR」、(2)本人確認書類や各種申込書の種類を仕分けする「Elastic Sorter」、(3)レイアウトが統一されていない帳票を読み取る「Multi Form」――といったアプリケーションを有しており、組み合わせて契約、利用することができる。通常はクラウド環境にて提供しているが、独自開発した専用のエッジコンピューティング用ハードウエア「AI inside Cube」にDX Suiteをインストールして使えば、オンプレミス(自社設備)環境でも利用できる。

 なお売上高は読み取り回数を基に算出される月額従量費用や、オプション機能の月額固定費用といったリカーリング型モデルの収益と、初期費用などのセリング型モデルの収益で構成される。初期費用についてはサービスの提供期間にわたり、案分計上している。

 2019年3月期の売上高構成比は、リカーリング型モデル21.9%、セリング型モデル78.1%。
コメント
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・直近(2018年7月)の第三者割当増資の発行単価は1360円。
・既存株主と上場時に行使可能な新株予約権を保有する者にはロックアップが掛かる。


〈ファーストインプレッション〉
 日本語OCR自体は40年近い歴史があるが、文字種類の多さなどもあって精度は高くなく課題の多い技術だった。最近はAIを活用することで精度を格段に向上させてきており、どんなフォーマットにも自動対応できるようにもなったことで注目を集めている。同社の取引先は順調に増えており、収益も徐々にストック型部分の比率が上昇。売上高は急拡大している。クリスマス上場ということで既に海外勢不在のなかとなるが、テーマ性も高いことで短期筋を中心に人気を集めそうだ。IPOラッシュのピークは過ぎたものの、後半で買い疲れが抜けていない可能性はあり。売上高はまだ13億円しかなく、この段階で急拡大するのはある意味当たり前。なのに時価総額100億円を超えるであろう評価をどこまで許容されるものなのか。
仮条件分析 (BB参加妙味 :A)
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想定価格: 2,660円
 吸収資金レンジ: 13.3億円 - 15.3億円(今期予想単独PER: 44.6倍)
 時価総額レンジ: 94.2億円

仮条件: 3,000円 - 3,600円
 吸収資金レンジ: 15.0億円 - 20.7億円(今期予想単独PER: 50.3倍 - 60.4倍)
 時価総額レンジ: 106.2億円 - 127.4億円

 仮条件は想定価格を12.78~35.34%上回るレンジに設定された。

〈強材料〉
仮条件大幅上振れ、人気業態、働き方改革、人手不足

〈弱材料〉
大手とも競合、下期は薄利、IPOラッシュ、同日上場あり、海外勢不在、社長は大学中退の独学技術者

〈結論〉
 Aとする。公開価格が仮条件上限ならば、初値は6000~7000円(希薄化後PER:120.1~140.1倍)を想定する。
 業績はまだ黒字化したばかりだが、思った以上に成長期待が高いようで仮条件は最大35%超の上振れ。人手不足や働き方改革を背景に事務作業の自動化機運は高い。ラッシュ後半の買い疲れとクリスマス休暇入りする海外勢の不在が懸念されるものの、多くの買いを集めることになりそうだ。

 同社が提供するAI(人工知能)-OCR(光学式文字認識)サービス「DX Suite」は簡単、高精度かつ安価な価格設定が特徴。手書き文字の高精度な読み取りはもちろん、オプションメニューによっては読み取った後の仕分け作業や、レイアウトが統一されてない文書の読み取りも自動化できるほか、APIによるRPA(ロボットソフトによる業務自動化)などの他システムとの連携も可能。誰でも使えるようにしたユーザーインターフェースを備えている。また、クラウドで提供することで、追加学習によるデータフィードバックを行っており、精度を日々向上させている。ユーザーが増加するほど加速度的に品質が高まる仕組みとなっている。

 官公庁や大手企業などを中心に既に多数採用されており、アクティブユーザーは400社に上る。今のところ大企業の導入実績割合が高く、2019年上半期末時点で売上高1000億円以上の企業が26%、100億~999億円の企業が26.6%を占める。AI-OCRの市場シェアは62.5%(2017年)と、2位(25.0%)に大差を付けたトップに立っている。

 OCRは早くから存在している概念だが、従来は精度に課題があった。最近はAIにより精度を向上させようとする試みが進んでおり、同社では深層学習によって格段に精度を向上させることに成功。帳票の360度回転にも対応させた。深層学習において学習用のデータは多ければ多いほど精度が向上することから、シェアトップの同社は開発競争においても優位な状況にある。NTT東日本とはOEM(相手先ブランドによる生産)製品「AIよみと~る」としても販売している。

 働き方改革や人手不足を背景に、低金利で収益が伸び悩む金融機関などを中心に企業側の導入機運は高く、実際に同社の契約数は毎月増加している。2020年3月期は売上高が前期比3倍の13億3500万円となるなか、設立以来初めて黒字化する見通しで、営業損益は2億1100万円の黒字(前期1億8148万円の赤字)になると同社ではみている。上半期は既に1億7900万円の黒字を確保した。

 成長期待の高いAI関連かつ業務自動化関連ということで、当初思っていた以上に注目を集めることになりそうだ。機関投資家の目線も相当に高いようで、仮条件上限は想定価格を35%超も上回る設定になった。
 業績は上半期に黒字化したばかりだが、クラウド提供している事業モデルにより、損益分岐点を抜けた今後は加速度的に利益が増加するとみられ、希薄化後PER 72倍の高さも許容範囲のもよう。専業で比較できる上場企業はないが、業務自動化という概念では似ているRPAホールディングスもPERは70倍台半ばで推移している。来期の利益は大きく増えるとみられ、初値には機関投資家を含めた買いが殺到することになりそうだ。

 半面、上場日はクリスマスに当たり既に海外投資家は不在。ラッシュ終盤の日程は買い疲れとなっているのか、それともあく抜け期待が出てきているのかは読みづらい。昨年のような世界同時株安とソフトバンクショックが同時に襲ってくることは考えにくいが、今年はマザーズの大型赤字/薄利案件が複数並んでおり、これらの値動き次第では急速に相場を冷やす可能性も想定される。
 また、個人は年末に向けて益出し、損出しの動きが強まる傾向にあり、IPOでは公募組の売り圧力が強まりやすい。仮条件の上振れにより公開規模は最大20億円超に拡大しており、年末にこの規模は上値の抑制要因となろう。

 強気な反応を受け初値売買代金は20億円台に乗せると考える一方、売却率は高めの最大70%までを仮定し、6000円台での売り買い一致を想定する。
公開価格分析
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公開価格: 3,600円
 吸収資金: 20.7億円(今期予想単独PER: 60.4倍)
 時価総額: 127.4億円

 公開価格、追加売り出し株数ともに上限で決まった。引受価額は3312円。訂正目論見書によればブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を十分に上回り、総件数が多数にわたっていたうえ、価格ごとの分布は仮条件上限に集中していたことが特徴だった。

 想定初値を7000~8000円に引き上げる。ここまで初値買い意欲は非常に強い状態が保たれている。初値買い失敗の銘柄も連続してきたため、いつ反省モードに入ってもおかしくないところがまた悩ましいのだが、特にウィルズで見られたように11月までとは異なり上値を買うことに全くちゅうちょがなくなっている。
 同社はAIといったテーマ性の強い事業を展開するうえ仮条件が跳ね上がった経緯からは、倍値を意識した展開になりやすくなったと考える。AIに絡む事業会社はHEROZやPKSHAなどようにPERは青天井が許されやすい。同社の収益構造も固定費が重く赤字が先行していたが、利益が出始めた今後は成長が加速するとの期待は高いと考えられる。
初値予想
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初値予想: 9,000円(今期予想単独PER: 151.0倍)
初値買い妙味: B

 初値高騰を予想する。人手不足を背景に成長期待の高いAI関連企業として人気化することになりそう。公開規模は同日上場企業の倍あるものの、初値買い意欲の高さも追い風に需給は逼迫(ひっぱく)すると考える。

 同社が提供するAI(人工知能)によるOCR(光学式文字認識)サービス「DX Suite」は、手書き文字の高精度な読み取りはもちろん、レイアウトが統一されてない文書の読み取りも可能。読み取り後の仕分け作業やRPA(ロボットソフトによる業務自動化)など他システムとの連携もできる。クラウドで提供しているが、自治体などの需要にも応えるためオンプレスミス環境で提供するための専用ハードウエアも開発販売している。
 販売面ではNTT東日本向けにはOEM(相手先ブランドによる生産)でも提供しているほか、SIベンダーが代理店となってパッケージに組み込んで販売している。AI-OCRの市場シェアは62.5%(2017年)と、2位(25.0%)に大差を付けたトップに立っている。

 OCRは早くから存在している機材だが、従来は精度に課題があった。近年はAIで精度を向上させる試みが進んでいる。一方、人手不足を背景に企業側にはRPAなどと同様に導入機運が高まっているといった状況だ。こうしたことを背景に同社は急成長しており、2020年3月期の売上高は前期比3倍の13億3500万円になる見通しだ。開発費用などでこれまで赤字が先行していたが、設立以来初めて黒字化する見通しで、営業損益は2億1100万円の黒字(前期1億8148万円の赤字)になると同社ではみている。

 同社は販売を外部に委託していることもあって固定費の割合が高い。黒字化した今後は加速度的な利益拡大が期待できる。今の時点では高いPERが許容されやすいだろう。公開価格の希薄化後PERは72倍で、想定価格を35%強も上回って決められた。シェア断トツの技術力の高さを背景に強気な見方は多いとみられ、海外勢不在のなかでもあすは買いが殺到することになりそうだ。
 公開規模は20億円と同日上場のWDBココに比べると2倍あるが人気化要素が強いため、需給は逼迫するとみる。既存株主に掛けられているロックアップには、価格による解除条項が付いていない。初値買いが勢いづいている現状から、翌日への持ち越しが視野に入ろう。一方、まだ実績が伴っていないことや年内受け渡し最終売買日が迫っていること、海外勢が不在な点なども考慮。2日目はあまり引っ張らない展開を想定し、初値は公開価格の2.5倍となる9000円を予想する。


<追加予想>
 大幅買い越しのまま初値が付かなかった。最終気配値は公開価格の2.3倍となる8280円で、差し引き47万0800株の買い越し。買い注文は売りの4.7倍あった。
 上場2日目からは約定代金の即日徴収、成り行き買い禁止、自己売買部門の初値買い禁止――の規制が入る。

「8280円買い気配値――差し引き47万株超の買い越し(対当価格:なし)」

  売り        買い
 107,500株 成り行き 188,700株
 135,900株 14,400円 229,200株
-------------------------------------
 126,000株 8,280円 596,800株(買売倍率4.74倍)


 成長期待の高いAI関連株ということで買いが殺到。圧倒的買い越しのまま初日は値付かずとなった。売り買いは注文可能な公開価格の4倍以内では終始一致せず、対当価格はなかった。大引け時の買い注文額は49.4億円にも上った。

 海外勢不在のクリスマス上場の案件として、これほど買いが殺到するのは例がない。この時期までこれほど注目度の高い案件がラインアップされる確率もまた低いのだが、今のところ一致点は見えない状況だ。さすがに買いが多すぎるため、買い付け規制の影響は避けられないだろうが、1万円の大台乗せは最低線ということになってこよう。

 テック系の近い案件として参考になりそうなのはサーバーワークス、RPAホールディングス、ジェイテックコーポレーションあたりで、これらより買売倍率や買い注文額は劣る。このため公開価格4倍超の1万5000円までには決着が付きそうだが、今の勢いを踏まえると初値倍率は3倍台半ば以降になってくるのではないかと推測する。

 野村証券からリポートが出ている。強みとして、(1)手書き文字や非定型書類も含めた高い文字認識精度、(2)NTTグループを販売代理店とする点、(3)多業界に導入実績があり業界の書類ノウハウを蓄積している点――などが挙げられると指摘。20.3期の営業利益は会社予想と同じ2.11億円(EPS 38.5円)、21.3期は2.31億円(41.2円)、22.3期は4.41億円(77.5円)と予想した。
初値分析
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初値: 12,600円(今期予想単独PER: 211.4倍) / 上昇率: 250.0% / 高値: 15,250円 / 安値: 12,600円 / 終値: 14,900円
出来高: 885,800株 / 対公開株数: 154.1% / 初値出来高: 311,000株 / 初値売買代金: 3,918,600,000円

 初値は公開価格のちょうど3.5倍で付いた。初日は圧倒的買い気配により値が付かず。2日目の買い付け規制で9時時点の買いは初日大引けに比べて半減したものの、買い気配は余裕で継続した。売買代金は2日目初値形成の銘柄としてはカオナビを抜き、今年トップに立った。

 寄り付き後は一段高した。AI関連株にはHEROZやPKSHAなどのように200倍台半ばで推移する銘柄があり、希薄化後も250倍を超えるPERもちゅうちょする理由にはならなかったもよう。既存株主からの売りを心配しなくて済む株主構成も手伝い、心理的な節目となる1万5000円を超えるところまで一気に買い上げられた。その後はいったん利益確定売りに押されたものの、1万3500円割れで下げ止まり再び高値近辺まで上昇し、大引けを迎えた。

 目先は乱高下の展開か。1万5000円は希薄化後PERが300倍に達する水準である。来期の営業利益は主幹事リポートでは微増にとどまると予想されており、ここから上は買いにくい。規制解除による信用買いとのせめぎ合いが想定され、しばらくは上下に大きく値が振れることになると考える。
IPOスケジュール
マーケットデータ
日経平均 37,068.35 -1011.35
TOPIX 2,626.32 -51.13
グロース250 638.74 -21.13
NYダウ 37,986.40 +211.02
ナスダック総合 15,282.01 -319.49
ドル/円 154.42 -0.22
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