明日の戦略-米IT株急落で警戒強まるも、FOMC前の押し目は買い場

2017/06/12(月) 16:48
 12日の日経平均は反落。前週末の米株式市場でIT関連株が大幅安したことが嫌気され、東京市場でも半導体製造装置関連やIT銘柄を中心に利益確定売りが強まった。一方、米長期金利の上昇や原油相場の上昇を受け、銀行株や保険株、石油株などに買いが入り、相場全体を下支えした。東芝が後場一段高となり高値圏で取引を終えたほか、鉄鋼株や内需関連株がしっかり。半面、ソフトバンクGやファストリなどの下げが目立ち、安川電や古河電も安い。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり896/値下がり980と売りが優勢。決算が好感されたカナモトが大幅上昇。1Qの利益が上期計画を超過したミライアルはストップ高まで買われた。レポートを材料に市光工業やキッツが買いを集め、日経記事を受けアンジェスMGがストップ高。上野動物園のパンダ出産報道を受けて東天紅がストップ高となる場面があった。一方、決算失望でgumiやフリービットが大幅安。通期見通しの下振れを発表したサムコや鳥貴族が大きく売られ、シャノンはストップ安比例配分。足元で騰勢を強めていたモブキャストが一転急落し、商いを集めてストップ安と荒い動きとなった。  アマゾンやアップル、アルファベットなど、米国で上昇をけん引していた銘柄群が大きく下げたことから、日本株も終日警戒売りが優勢となった。強かった銘柄がまとめて売られたことから、目先はこれらの銘柄は上がりづらいであろうし、下げが続くようなら、グローバル市場にもネガティブな影響は想定される。ただ、これらの銘柄には過熱感もあり、いつ調整が入ってもおかしくなかった。その意味では、下落がFOMCより前に起こったことは、後に起こった場合と比べると悪くない動きで、調整自体も軽微にとどまる可能性がある。  今回のFOMCに関しては、6月の利上げは確実視されており、次の利上げタイミングや金融引き締めのスケジュールについて、具体的な明言があるかが注目されている。利上げ自体が特に問題視されていないという点では、今回は、先についての明言を避けるだけで、ハト派=マーケットにポジティブと解釈される可能性がある。これまでも利上げは経済データ次第で、年内の金融緩和縮小もあり得るとの見方を示しており、これを維持することは景気後退もFRBの金融政策の失敗も意味しない。FRBからしてみれば、自らがバブル崩壊の引き金を引くことは避けたいわけで、FOMC前に米国株に調整が入るのであれば、一段とマーケットを冷やしかねない材料を提供する必要はない。  ハイテク株の急落を見ながらも9日のダウ平均は史上最高値を更新した。そして日本株も、日経平均は3桁の下げとなったものの、比較的落ち着いた動きとなった。値がさ株には売られるものも目立ったものの、良品計画やニトリなど、内需の値がさには後場に買いが入っているものもある。あすも新たな材料には乏しく、今晩の米国株の動向に左右される地合いになると予想されるが、仮に下げが続いたとしても悲観に傾く局面ではないと考える。短期的にはグロース株は売りで、バリュー株優位の流れが強まると予想する。しかし、グロース銘柄も個別の成長シナリオが崩れたわけではない。イベントに絡む需給要因で下げが加速するようなら、中長期の視点では、良い押し目買いのタイミングになると考える。
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