明日の戦略-3日続落も週間では上昇、来週は強弱感が入り交じり一進一退か

2017/11/10(金) 16:58
 10日の日経平均は3日続落。米国株安を嫌気して寄り付きから22500円台からの大幅安スタート。その後は押し目買いと戻り売りのせめぎ合いで一進一退となった。後場も大きな変化はなかったが、前日のような荒い動きが出てこなかったことや、22500円台では下値の固さもうかがえたことから、やや下げ幅を縮める展開となった。東証1部の売買代金は概算で3兆5800億円。業種別では石油・石炭、鉱業、海運が買われた一方、ゴム製品、非鉄金属、水産・農林が売られた。3Q決算が好感されたユニ・チャームが後場に入って大幅高。反面、今期最終赤字転落の見込みとなった幸楽苑HDが後場に急落した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり596/値下がり1357と売りが優勢。好決算のSUMCOが10%超の大幅上昇。コスモエネルギーやフージャース、カドカワなどが決算を受けて急伸し、近鉄エクスプレスはストップ高まで買われた。パンチ鉱業は上方修正に加えて株式分割も好感されて強い動きを見せた。新興市場ではそーせいGの動きの良さが目立った。一方、下方修正発表のブリヂストンが大幅安。森永製菓やクックパッド、大日本印刷などが決算を受けて大きく売られた。業務提携を発表した熊谷組と住友林業は、新株発行が嫌気されてそろって大幅安となった。  日経平均は今週、荒い動きとなったが、1996年6月につけたバブル崩壊後の高値22666円や、史上最高値38915円からその後の最安値7054円までの下げの半値戻し水準となる22985円など、注目の節目を上回った。9月8日の安値19239円から11月9日の高値23382円まで、2カ月で4000円強上昇しており、ここまでの動きは非常に強い。指数はわかりやすい失速を見せたが、22500円は下回らず、週間でも上昇を記録した。物色面でも、SUMCOは決算前に期待で買われ、決算後にも一段高、ソニーなどもきょうは上昇で終えており、好業績株への買いは続いている。指数はいったん上昇一服感が出てくるかもしれないが、その場合でも、個別に好材料が出てきた銘柄には素直に買いが入るであろう。また、出遅れ・割安などバリュー株や、新興市場などに資金が向かうことで、物色に広がりが出てくる展開も期待できる。日本株の勢いを確認するという点では、来週は東証1部の売買代金に注目しておきたい。11月以降はコンスタントに3兆円を上回っているが、きのう9日は5兆円に迫る大商いとなった。3兆円超の水準が維持できれば、短期的に上下に振れる場面はあっても、大きくは崩れない地合いが続くと考える。 【来週の見通し】  もみ合いか。日経平均は高値圏で荒い動きが見られたことから、いったんは上値が抑えられそうではあるが、9日の急失速やきょう10日の下げで一定程度売りもこなしており、下値では押し目買いも入ると考える。決算発表は終盤戦に入るが、金融株の決算が中でも注目される。特にメガバンクが決算後に買われるようなら、全体市場にも好影響が見込まれる。経済指標では15日発表の7-9月期GDPの注目度が高い。足元で日本株が騰勢を強めていることから、マクロ指標が株式市場を刺激する可能性もあるとみる。米国では税制改革に関するニュースがかく乱材料になるが、小売売上高や鉱工業生産、住宅着工件数など経済指標の発表が多く、良好なファンダメンタルズの確認が相場を下支えすると予想する。やや不安定な地合いは想定されるが、先高期待と短期的な過熱感が交錯し、一進一退の展開を予想する。 【今週を振り返る】  乱高下あったが週間ではしっかりとなった。前半は上昇基調が継続。決算銘柄を中心に売買は活況で、海外市場もおおむね良好な中、7日の日経平均は大幅高で1996年につけたバブル崩壊後の高値22666円を上回った。これを受けて先高期待が高まり、9日には節目の23000円を上回って一段高となったものの、一転売りが優勢となり急失速。同日の値幅は800円超と荒い動きとなった。米国株も税制改革の先送り懸念から軟調となったことから、後半にかけては売りが優勢となったが、前半の上昇分が大きく、週間では上昇を記録した。日経平均は週間では約142円の上昇、週足では6週連続で陽線を形成した。 【来週の予定】  国内では、10月国内企業物価指数、10月工作機械受注(11/13)、国内7-9月期GDP、10月首都圏新規マンション発売、10月訪日外客数(11/15)などがある。  決算発表は、ソニーFH、近鉄GHD、パーソルHD、楽天、荏原、THK、ホトニクス、めぶきFG、ふくおか、みずほ、イオンFS、T&DHD、あおぞら(11/13)、鹿島、光通信、大塚HD、電通、日ペイントH、出光興産、リクルートHD、日本郵政、かんぽ、ゆうちょ、三住トラスト、住友不、三菱UFJ、第一生命、三井住友(11/14)、リネットJPN、クラウドワクス、レカム(11/15)、東京海上、SOMPOHD、MS&AD(11/17)などが予定している。  海外では、中国10月小売売上高、中国10月鉱工業生産、中国10月都市部固定資産投資、独11月ZEW景況感指数、米10月生産者物価(11/14)、米10月消費者物価指数、米11月NY連銀製造業景気指数、米10月小売売上高、米9月企業在庫(11/15)、米10月輸入物価指数、米10月輸出物価指数、米11月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米10月鉱工業生産・設備稼働率、米11月NAHB住宅市場指数(11/16)、米10月住宅着工・許可件数、米11月カンザスシティ連銀製造業活動(11/17)などが注目される。  米企業決算は、ホーム・デポ(11/14)、シスコシステムズ、ターゲット、ネットアップ(11/15)、ウォルマート・ストアーズ、ベストバイ、ギャップ、アプライド・マテリアルズ(11/16)、フットロッカー(11/17)などが発表を予定している。
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