明日の戦略-米国株の下げ止まりを待たずに反発、来週は戻りを試す展開か

2018/10/12(金) 16:54
 12日の日経平均は反発。米国ではダウ平均が545ドル安と連日で大きな下げとなる中、SQ売買の影響もあり、200円超下落して始まった。しかし、寄り付きが安値となって22500円近辺まで急速に戻し、そこからはしばらく一進一退。後場ももみ合いが続いたが、14時をすぎたあたりから、米株先物の上昇や円安進行を手がかりに下げ幅を縮めてプラス転換。これを受けて押し目買いが優勢となり、上げ幅を3桁に広げて終えた。東証1部の売買代金は概算で3兆3400億円。業種別では騰落率上位はその他製品、機械、情報・通信、下位は保険、陸運、電気・ガスとなった。上期が最終黒字となり、売り上げの伸びも確認できたロコンドが後場急騰。年初来高値を更新した。反面、前期が大幅減益となった明光ネットワークジャパンが商いを伴って急落し、年初来安値を更新した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1130/値下がり926で、後場に地合いが改善する中で値上がり銘柄が増加した。SUMCOや東京エレクトロンなど半導体株が大幅上昇。ソフトバンクGや安川電機など直近で売り込まれていた銘柄に買いが入り、TATERUやスルガ銀行などにも物色の矛先が向かった。決算が好感されたセントラル警備保障や津田駒が急伸し、コシダカHDはストップ高。株式分割を発表したリンクバルもストップ高まで買われた。一方、弱かったのがファーストリテイリング。決算は増配もあり安心感のある内容となったが、利益確定売りが優勢となった。上期減益のローソンが大幅安。松屋やビックカメラ、スター精密なども決算を材料に大きく売られた。パーク24はユーロ円建てCBの発行が嫌気されて急落した。きょう新規上場のデルタフライは公開価格割れのスタートとなったが、その後は買いが入ってストップ高。イーソルは買いが殺到して初値は持ち越しとなった。  きょうは底堅い地合いになるとは予想していたが、後場にプラスに転じると、そのまま上昇で終える強い動きとなった。アジア株高が日本に波及した格好だが、これで世界株安には歯止めがかかった。日経平均は週間では大きく下げたが、その間も為替は比較的落ち着いていたと言え、これで米国株が持ち直してくるようなら、今回の下げは一時的な調整との見方が強まる。今週の業種別の週間騰落を見ると、上位は上から建設(-2.6%)、水産・農林(-2.7%)、小売(-2.7%)、食料品(-2.9%)、不動産(-3.0%)、下位は下からパルプ・紙(-6.7%)、非鉄金属(-6.5%)、化学(-6.5%)、電気機器(-6.2%)、石油・石炭(-6.1%)の順となる。来週、米国株が鋭角的に戻すなど、地合いが楽観的に傾いた場合には、逆張り戦略で下位セクターの出直りを狙うのが良いだろう。一方、上げ下げを繰り返したり、米国株が下げ止まらないようであれば、今週大きく崩れなかった上位セクターのパフォーマンスが高まると予想する。 【来週の見通し】  乱高下しながらも戻りを試す展開か。米国株の動向が引き続き注目される。米国では決算発表がスタートするほか、経済指標の発表も多い。また、17日には9月開催のFOMC議事要旨の公表もあり、各種材料に一喜一憂となる展開が想定される。ただ、材料が多い分、強気にしても弱気にしても、一方向には傾きづらいと考える。また、急激な株安でセンチメントが悪化したことから、今週の株安を招いた米長期金利の上昇にはブレーキがかかる可能性が高い。米国株の下げが続いた場合でも、今週のようなクラッシュ的な動きにはならないとみており、調整一巡感が出てきた日本株は、悪材料ではそれほど下げず、好材料があれば素直に買われるという地合いが続くと予想する。 【今週を振り返る】  大幅安となった。東京市場が三連休の間の海外市場が軟調となったことから、日経平均は週初から300円超の大幅下落。米国の良好な経済指標を受けて米長期金利の上昇ペースが加速したことが警戒材料となった。10日にはダウ平均が831ドル安と大幅安となり、これを受けた11日の日経平均も915円安と急落。アジア株や欧州株も値を崩し、リスクオフムードが強まった。ただ、値幅の調整が一気に進んだことで、週末にかけては米国株の反発を待たずして押し目を拾う動きも見られた。日経平均は週間では約1089円の下落となり、週足では2週連続で陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では9月首都圏新規マンション発売、9月訪日外客数、家電の国際見本市「CEATECジャパン2018」(幕張メッセ、~10/19)(10/16)、黒田日銀総裁が挨拶(支店長会議)、さくらレポート、9月貿易収支(10/18)、9月消費者物価指数(10/19)などがある。  決算発表は、TKP、串カツ田中、レナウン、メディアドゥ、サイバーS、ウォンテッドリ、マネフォワ-ド、チームスピリト、ベクトル、メタップス、ロゼッタ、RPA、anfac、中本パクス、ポエック、SOU、松竹、大庄(10/15)、ブロンコB(10/16)、平山(10/17)、モバファク、光世証、サーティワン、ゲンダイAG、ベクター、アジュバン、日鋳造、アルインコ、エンプラス、東邦レマック、モーニングスタ、KOA(10/19)などが予定している。  海外では、米9月小売売上高、米10月NY連銀景気指数、米8月企業在庫(10/15)、中国9月生産者物価、中国9月消費者物価、独10月ZEW景況感指数、米9月鉱工業生産指数、米9月設備稼働率、米10月NAHB住宅市場指数(10/16)、EU首脳会議(~10/18)、米9月住宅着工件数、米9月建設許可件数、9/25~26開催のFOMC議事録(10/17)、米10月フィラデルフィア連銀景況感指数、米9月景気先行指数(10/18)、中国7-9月期GDP、中国9月小売売上高、中国9月鉱工業生、中国9月固定資産投資、米9月中古住宅販売(10/19)などが注目される。  米企業決算では、モルガン・スタンレー、ジョンソン・エンド・ジョンソン、ブラックロック、ユナイテッドヘルス・グループ、ラムリサーチ、IBM(10/16)、M&Tバンク、アボット・ラボラトリーズ、ノーザン・トラスト、USバンコープ(10/17)、フィリップモリス、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ニューコア、BB&T、トラベラーズ、PayPal、イー・トレード、アメリカン・エキスプレス (10/18)、プロクター・アンド・ギャンブル、ステート・ストリート、ハネウェル(10/19)などが発表を予定している。
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