明日の戦略-今週は負けなしの6連騰、来週はイベント通過で買いの勢いが強まるか

2018/11/30(金) 16:47
 30日の日経平均は6日続伸。高く始まったものの、その後はG20や米中首脳会談を前に方向感に乏しい展開。プラス圏とマイナス圏を行き来し、前場はほぼ前日終値と変わらずで終えた。一方、後場はやや水準を上げて始まると一段高となり、22300円台で値動きが落ち着いた。様子見姿勢は強く動意自体が乏しかったものの、堅調な地合いが継続し、高値圏で終えた。東証1部の売買代金は概算で3兆6600億円。業種別では石油・石炭、鉱業、医薬品などが上昇している一方、証券・商品先物、電気・ガス、不動産などが下落している。鳥居薬品が大幅上昇。JTとの独占販売権に関するライセンス契約の終了を発表したが、これに伴い特別利益の計上が見込まれることなどが好感された。反面、シャープが大幅安。日本経済新聞で中国にパソコンの新拠点を設けると報じられたが、負担増や採算性への懸念から売りが優勢となった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1311/値下がり737と買いが優勢。大日本住友製薬が連日の大幅上昇。武田や塩野義、小野薬など医薬品株全般に買いが入った。自己株取得を発表した日東精工やリニカル、スター精密が大幅上昇。上期決算が好感されたラクーンHDが急伸した。ほか、日経新聞の業績観測記事を手がかりに理研ビタミンが買いを集めた。一方、米ファンドの持ち株売却が判明した東芝や、証券会社が投資判断を引き下げたエプソンが大幅安。内田洋行や共和工業所が決算失望で急落し、ナ・デックスは上方修正発表も材料出尽くしで売りに押された。ほか、一部メディアで前澤社長の京都別荘購入が取り上げられたZOZOが大きく売られた。  来週は12/6にOPEC総会が開催される。減産合意できるかどうかが焦点になっている。ただ、原油価格自体は10月以降、大幅に下げているため、仮に合意できなかったとしても、それを材料にさらに売り込まれる可能性は高くはないと考える。減産合意ならそれなりの反発は期待できるし、合意に至らなかったとしても下げが限定的であれば、株式市場へのネガティブ影響は一時的だろう。総会のタイミングで原油の底打ち感が強まるかに注目したい。ただ、下げ止まるかという点と、そこから鋭角的に戻すかという点は別問題。トランプ大統領が原油安を歓迎していることもあり、急落前の水準まで戻すハードルは高い。9月末までは原油価格が高止まりしていたことを鑑みると、上期に原油高が業績の重石となった銘柄は、3Q以降ではネガティブ影響が緩和される可能性が高い。原油価格が下げ止まれば、まずは鉱業や石油卸など原油高メリットセクターに買いが入るとみるが、先の3Q決算に備えては、原油安の恩恵を受ける銘柄を仕込むに良い局面と考える。 【来週の見通し】  堅調か。週初はG20や米中首脳会談の内容に大きく振らされる展開が予想される。ただ、直近でもトランプ大統領が通商面で強硬姿勢を示しており、それほど楽観ムードは高まっていない。米中の対決色が一段と増すといったような極端に悪い内容とならなければ、下げがあっても一時的と考える。無難に通過できれば安心材料になり、両首脳の歩み寄りが見られれば大きく水準を切り上げる展開も期待できる。週末には米雇用統計が控えているが、今週、パウエルFRB議長の講演や11月FOMC議事要旨の内容を受けて、来年以降の利上げペースは鈍化するとの見方が強まった。そのため、雇用統計の結果が長期金利の急騰を招き、株安要因になるという警戒は今回は高まらないだろう。年末商戦がスタートした週から株高の動きが見られたこともあり、イベント通過後は個別の見直し機運が一段と高まると予想する。 【今週を振り返る】  強い動きとなった。大阪万博の開催が決定したことで、週初から関連銘柄が盛り上がり、東京オリンピック後の日本経済に対する懸念が和らいだ。また、パウエルFRB議長の講演発言を受けて、米国の利上げが早期に打ち止めとなるとの見方が強まったことから、調整が続いていた米国株にも持ち直しの動きが見られた。日経平均は今月初の続伸を記録すると、今週は負けなしで連騰記録を6に伸ばした。マザーズ指数も節目の1000pを回復し、株価底打ちへの期待が高まる週となった。日経平均は週間では約704円の上昇となり、週足では3週ぶりに陽線を形成した。 【来週の予定】  国内では、7-9月期法人企業統計、11月新車販売台数(12/3)、10月家計調査、10月毎月勤労統計、10月景気動向指数(12/7)などがある。  決算発表は、伊藤園、ロックフィール、アマガサ、ティーライフ、ゼネパッカー、ピープル、ピジョン(12/3)、不二電機、アインHD、ナガノ東(12/4)、日ビュホテル、アルチザ、楽天地(12/5)、トップカルチャ、スバル興(12/6)、積水ハウス、HEROZ、gumi、鳥貴族、エイチーム、ベステラ、アルトナー、日駐、ケア21、シーアールイー、日東網、ポールHD、ソフトウェアサー、アイル、ミライアル、ユークス、日本スキー、イトクロ、巴工業、アイモバイル、OSGコーポ、カナモト、丹青社(12/7)などが予定している。  海外では、米11月ISM製造業景気指数、米10月建設支出(12/3)、米11月ADP雇用統計、米11月ISM非製造業景気指数、米地区連銀経済報告(ベージュブック)(12/5)、米10月貿易収支、米10月製造業受注、石油輸出国機構(OPEC)総会(12/6)、米11月雇用統計、米10月消費者信用残高(12/7)などが注目される。  米企業決算では、ダラー・ゼネラル、オートゾーン、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ(12/4)、シノプシス、H&Rブロック(12/5)、クローガー、ブロードコム(12/6)などが発表を予定している。
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