明日の戦略-令和最初の週は全敗、来週は自律反発局面か

2019/05/10(金) 16:54
 10日の日経平均は5日続落。米国株安を受けても上昇して始まり、前場では上げ幅を3桁に広げる展開。米中交渉にらみの地合いではあったが、上海株に強い買いが入ったことなどから押し目買いが優勢となった。しかし、昼休みに入ると先物が急速に値を消した上に、円安に傾いていたドル円も失速。後場は早々にマイナス圏に沈むと、下げ幅を200円超に広げた。一方、いったんしぼんだ上海株に改めて買いが入ったことから、取引終盤にかけては値を戻した。東証1部の売買代金は概算で3兆1300億円。業種別では医薬品や石油・石炭、電気・ガスなどが上昇した一方、非鉄金属や精密機器、食料品などが下落した。前期の利益が従来計画を上振れた味の素が後場急騰。反面、今期が2桁の営業減益計画となった三菱自動車が急落し、年初来安値を更新した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1055/値下がり1004と、日経平均は下落したものの値上がりが値下がりを上回った。ZOZOやSUMCOが大幅上昇。安心感のある決算が確認できたダイキンが買いを集めた。上方修正を発表したヴィンクスや大幅増益着地となったユナイテッドが急伸。1Q大幅増益の富士ソフトはストップ高まで買われた。ほか、ドライアイ治療薬事業の売却を発表した武田が強い動きとなった。一方、ソフトバンクGが大幅安。株式分割を材料に買いが先行したものの、出資している米ウーバーの公開価格が失望を誘ったことなどから売りに押された。東海カーボンは下方修正がネガティブサプライズとなり急落。昭和電工や日本カーボンなど黒鉛電極関連が連れ安した。今期大幅増益計画のパナソニックや1Q決算が失望を誘ったGMOクラウドが売りに押され、決算発表の延期を発表した日立キャピタルが値を崩した。  日経平均は前場では買いが入ったものの、外部環境に変調が見られると一気に崩れ、上海株が堅調を保っているのを横目で見ながらもプラス圏を回復することができなかった。今週は弱気ムードを払しょくできず全敗。令和初の上昇も翌週以降に持ち越しとなった。8日に25日線を割り込み、サポートとなるかと期待された75日線(21368円、10日時点、以下同じ)も週末値(21344円)では若干下回った。来週は26週線(21244円)をサポートに、早々に13週線(21465円)を上回ることができるかが注目点となる。セクターでは今週の動きが弱かったガラス・土石、非鉄金属、海運、機械、鉱業などに調整一巡感が出てくるかに注目しておきたい。 【来週の見通し】  戻りを試す展開か。米中貿易摩擦激化は警戒材料ではあるが、関税引き上げ期限に向けて値幅の調整も相当進んだことから、いったん売り圧力は和らぐと予想する。国内では週半ばまで決算が多くあることから、引き続き個別物色は活況が見込まれる。海外市場が落ち着きを取り戻せば、直近で売り込まれた銘柄などに押し目買いが入る展開も期待できる。後半にかけては中国や米国で経済指標の発表が多い。米中リスクが意識された直後だけに注目を集めるだろうが、現状においては内容が良かった際のポジティブ反応の方がより強く出ると予想する。ただし、急落直後のリバウンド局面という認識で、米中の間でよほどの好材料が出ない限りは、鋭角的な上昇も期待薄と考える。 【今週を振り返る】  大幅安となった。トランプ米大統領が中国に対して輸入関税の引き上げを表明したことから、大型連休明け7日の日経平均は大幅安となり、22000円を割り込んだ。引き上げ期限が週末10日とされ、同時期に米中閣僚級協議も控えるスケジュールであったことから、以降も同材料がリスクとして強く意識された。日増しに警戒が強まる中、欧州やアジアの市場も崩れ、為替市場ではリスクオフの円高が進行した。期限の10日は上下に荒い動きを見せたが、予定通り関税引き上げが実施されたことから結局下落で終え、令和最初の週は全敗となった。日経平均は週間では913円の下落となり、週足では3週ぶりに陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では、3月景気動向指数(5/13)、3月経常収支、4月景気ウォッチャー調査(5/14)、4月工作機械受注(5/15)、4月企業物価指数(5/16)、3月第3次産業活動指数(5/17)がなどがある。  決算発表は、大和ハウス、三菱マ、JXTG、大林組、エーザイ、国際帝石、大正薬HD、王子HD、住友ベ、LIXILG、森永乳、明治HD、三菱ガス、持田薬、東急、マルハニチロ、熊谷組、寿スピリッツ、TIS、ガンホー、大陽日酸、日本新薬、コニカミノルタ、ブリヂストン、日製鋼、DOWA、アルバック、日光電、ホトニクス、太陽誘電、いすゞ、NOK、シチズン、凸版印、ユニチャーム、千葉銀、ふくおか、JR九州、NIPPO、GSユアサ、ユー・エス・エス、東芝、スクエニHD(5/13)、日産自、資生堂、大塚HD、三菱ケミHD、日揮、日水、前田建、浜ゴム、ヤクルト、東レ、日軽金HD、近鉄GHD、前田道、協エクシオ、森永菓、カルビー、ニチレイ、武田、沢井製薬、ペプチド、東映アニメ、タカラバイオ、JFEHD、古河電、Jマテリアル、アマダHD、荏原、THK、ルネサス、カシオ、九州FG、コンコルディア、東京精、大日印、丸井G、アコム、菱地所、リログループ、西武HD、TBSHD、セコム、宝HD、飯田GHD、博報堂DY、リクルートHD、H2Oリテイル(5/14)、日本郵政、鹿島、みずほ、T&DHD、電通、DIC、日本ハム、クラレ、三井化学、日本紙、新生銀、東映、アルフレッサHD、すかいHD、オープンハウス、住友化、日産化、日ペイントH、フジHD、出光興産、三浦工、SMC、かんぽ、ゆうちょ、ソニーFH、富士急、阪急阪神、KDDI、共立メンテ、アサヒインテック、PKSHA、三菱UFJ、第一生命、三井住友、三住トラスト、MRK HLD(5/15)、ダイニック、旭コンクリ、サイボー、ミューチュアル、大同信、日タング、住友不、日テレHD、東テク、アイレックス、あおぞら、タカラレーベン(5/16)、アルコニックス、大王紙、光通信、イチケン、TYK、ムサシ、オーハシテクニカ、シャクリーGG、天昇電、シダックス、ニレコ、光陽社(5/17)などが予定している。  海外では、IoT見本市「インターネット・オブ・シングス・ワールド2019」(カリフォルニアー、~5/16)(5/13)、米4月輸出入物価指数(5/14)、中国4月鉱工業生産、中国4月小売売上高、中国4月固定資産投資、米4月小売売上高、米5月NY連銀景気指数、米4月鉱工業生産(5/15)、米4月住宅着工件数、米5月フィラデルフィア連銀景気指数(5/16)、米4月景気先行指数(5/17)などが注目される。  米企業決算では、ラルフローレン、アジレント・テクノロジー(5/14)、シスコシステムズ、メイシーズ(5/15)、エヌビディア、ウォルマート、アプライド・マテリアルズ(5/16)などが発表を予定している。
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