明日の戦略－週間下落も週足では陽線を形成、来週はマクロ指標に一喜一憂か

　17日の日経平均は反発。米国株高を好感して寄り付きから3桁上昇。円高一服も追い風に前場では買いが買いを呼ぶ展開となり、上げ幅を300円超に広げた。上海株が失速したこともあり、後場は前引けから100円超上げ幅を縮めて始まった。ただ、これを受けても特段警戒ムードは高まらず。上値が重くなったことで動意は乏しくなったが、リスク回避の売りが手控えられたことで、引けまで落ち着いた動きが続いた。東証1部の売買代金は概算で2兆4200億円。業種別では石油・石炭、その他製品、情報・通信などが強い動き。一方、水産・農林、空運、電気・ガスの3業種が下落した。決算が好感された光通信が後場急伸。反面、ＺＯＺＯが大きく値を崩しており、7％超の下落で終値で2000円を割り込んだ。 　東証1部の騰落銘柄数は値上がり1705/値下がり377と買いが優勢。動きの良さが目立ったのがソニーで、自己株取得の発表を材料に急騰。売買代金は全市場でトップとなった。ソフトバンクＧや任天堂、キヤノン、リクルートＨＤなどが大幅上昇。タカラレーベンや大王製紙が決算を受けて急伸し、今期大幅増益計画のアイレックスはストップ高まで買われた。ほか、証券会社が投資判断を引き上げた日鉄ソリューションズや、米国5Gの商用基地局に関する認可を取得したと発表した日本通信が大幅高となった。一方、太陽誘電やＴＤＫ、アドバンテストなどハイテクの一角が株高の流れに乗れず大幅安。安川電機やハーモニックなどロボット関連も売りに押された。日本タングステンや大同信号は決算が失望を誘って急落。証券取引等監視委員会と横浜地検から強制調査を受けていることを発表したすてきナイスグループは連日のストップ安となった。 　今週はハイテク株が売り直されて、内需株の一角に強い動きが見られた。5月に入って全体が大きく崩れたため、目先は物色が日替わりになるよりも、内需か外需かどちらかの動きが良くなる方が、反転への期待が高まると考える。現状では内需に分があるだろう。通信株などにはＮＴＴやＫＤＤＩなど、5月に入って動きが良くなっているものも散見される。また、今週の業種別の騰落では、不動産や陸運、食料品などのパフォーマンスが良かった。これらの中から戻りの先導役になるような銘柄が出てくるかに注目したい。 【来週の見通し】 　方向感に欠ける展開か。1-3月期のGDPや4月の貿易収支、3月機械受注、4月消費者物価指数など国内で注目度の高い指標が発表される。決算発表は一巡し、ミクロからマクロに注目点が移るが、5月に入ってマーケットの雰囲気が変わったため、指標に対しては神経質な反応を示す可能性もあるとみる。ただ、内容が悪ければ消費増税延期や経済対策への思惑なども膨らむため、悲観一辺倒にはなりづらい。まだ米中貿易問題への警戒がくすぶる地合いとはなりそうだが、週末にはトランプ米大統領が来日予定で、日米関係強化への期待は相場の下支え材料となる。日本株は値幅の調整も進んでいる上に、足元では下げ渋る動きも見られる。そのため、指標やニュースを受けて上下に振れながらも戻り基調には入ると考える。 【今週を振り返る】 　軟調となった。大型連休明けの前週がそれまでとは一転してリスクオフムードの強い地合いとなったことから、不安定な相場が続いた。日経平均は14日まで7日続落。引き続き米中貿易関連のニュースに振らされる中、令和相場の弱さが強く印象づけられた。一方で、対立激化が警戒されるアメリカおよび中国の株式市場は比較的落ち着いていたことから、戻りを試す動きも見られた。日経平均は週間では94円の下落となったが、週初の発射台が低かったため、週足では陽線を形成した。 【来週の予定】 　国内では、国内1-3月期GDP（5/20）、4月首都圏マンション発売、4月訪日外客数（5/21）、4月貿易収支、3月機械受注（5/22）、4月消費者物価指数、3月全産業活動指数（5/24）がなどがある。 　決算発表は、MS＆AD、東京海上、SOMPOHD、極楽湯HD、洋埠頭、夢隊、フリージアマク、桂川電、アジア開発、アンドール、テクノセブン（5/20）などが予定している。 　海外では、米4月シカゴ連銀全米活動指数（5/20）、米4月中古住宅販売（5/21）、FOMC議事録（4/30・5/1開催分）（5/22）、独5月Ifo景況感指数、米4月新築住宅販売（5/23）、米4月耐久財受注（5/24）などが注目される。 　米企業決算では、ホーム・デポ（5/21）、ターゲット・コーポレーション、ロウズ、ネットアップ（5/22）、ベスト・バイ、ヒューレット・パッカード・エンタープライズ（5/23）などが発表を予定している。