明日の戦略-続伸も後場はやや失速、来週は決算発表一巡で夏枯れを警戒

2019/08/09(金) 16:41
 9日の日経平均は続伸。終値は91円高の20684円。米国株の大幅高を好感して寄り付きから3桁上昇。しかし、米国がファーウェイへの制裁緩和を見送ると伝わりハイテク株が売りに押されたことから伸び悩み、20700円近辺でのもみ合いが長く続いた。後場に入ると三連休を前に極めて動意薄となったが、終盤にかけてはリスク回避の売りに押されて上げ幅を2桁に縮めた。東証1部の売買代金は概算で2兆1400億円。業種別では鉱業や繊維、精密機器などが上昇した一方、パルプ・紙や証券・商品先物、ガラス・土石などが下落した。1Qの営業増益確保が好感された東レが後場に入って大幅高。半面、1Qが大幅減益となったフマキラーが後場に急落した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1209/値下がり837。通期の純利益見通しを引き上げた資生堂が大商いとなり8%超の上昇。バンダイナムコやテルモも決算を材料に大幅高となった。1Qの営業利益が急拡大したカドカワが急騰。今期大幅増益計画のホーブはストップ高となった。楽天が携帯サービス開始時の利用者数などを制限するとしたことで、既存の携帯キャリアがそろって上昇。SBは上場以来初めて公開価格の1500円を上回る場面があった。一方、太陽誘電やアドバンテストなどハイテク株が軟調。富士フイルムやダイフク、メルカリが決算失望で大幅安となった。ネクソンやガンホー、KLabなどゲーム株に決算で大きく値を崩すものが多かった。きょうマザーズに新規上場したステムリムは公開価格割れからのスタートとなったが、終値は初値を上回った。  日経平均は続伸となったが、3桁上昇は維持できず上値は重かった。きのうも2桁の上昇(76円高)にとどまっており、8月2日から7日の4営業日で終値ベースで1000円以上下落していることを鑑みると、戻りは鈍い。来週、一時でも21000円台を回復するくらいの強い動きが見られない場合には、しばらく低空飛行が続く可能性もある。全体の底打ち感が出てくるかという点では、売り込まれた銘柄に下げ止まりの動きが見られるかに注目しておきたい。決算発表の集中期に株安に見舞われたため、見栄えの悪い決算でたたき売られてしまった銘柄も少なくない。ただし、それらがもう下げないという状況になれば、売りも峠を越したとの見方が強まる。バロメーターとして、年初来安値や上場来安値を更新する銘柄が減ってくるかという点を注視しておきたい。 【来週の見通し】  不安定な展開か。東京市場は4日立ち合い。週前半で4-6月期の決算発表が一巡し、中盤以降は材料難となる。お盆のシーズンで市場参加者の減少が予想されるタイミングでもあり、外部要因に振らされやすい地合いが続くだろう。今週半ばあたりから、世界株安は一服したような動きが見られており、この流れが続けば、日本株も戻りを試す展開は期待できる。ただ、米中貿易摩擦激化懸念がくすぶり続ける状況下では、大きく買われる場面があればやれやれ売りも出てくると想定される。またこの先、アメリカ株の上昇が続くとすれば、早期の追加利下げ期待の高まりがその要因となる可能性が高い。その場合、為替の円安が期待しづらくなることが、日本株の上値を抑えると予想する。 【今週を振り返る】  軟調となった。米中貿易摩擦懸念が再燃して世界株安の様相が強まるなか、日経平均は週初から大幅安となり、その後も売りが続いた。終値であっさり21000円を下回り、取引時間中には20110円まで売られる場面もあった。為替市場でドル円が105円台に突入したことや、人民元安が進行したことなども警戒ムードを高めた。アメリカ株に持ち直しの動きが見られたことから、後半にかけては買いも入ったが、東京市場は三連休を前にリスク回避姿勢が強く、戻りも限定的となった。日経平均は週間では402円の下落となり、週足では2週連続で陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では、7月企業物価指数、6月第3次産業活動指数 7月工作機械受注 (8/13)、6月機械受注(8/14)などがある。  決算発表は、そーせい、サイボウズ、ラクス、ヨコレイ、オイラ大地、ハウスドゥ、FFRI、カルナバイオ、QBネットHD、WSCOPE、ベルトラ、ワタミ、クラウドワクス、ユーザベース、アドベンチャ、ウェルビー、イーレックス(8/13)、サイバダイン、エボラブルA、光通信、すかいHD、オープンハウス、AMBITION、ファインデクス、オプティム、セレス、チェンジ、アミューズ、出光興産、フリークアウト、メドピア、フェローテック、MTG、トリドールHD、カオナビ(8/14)などが予定している。  海外では、米7月財政収支(8/12)、独8月ZEW景況感指数、米7月消費者物価指数(8/13)、中国7月固定資産投資、中国7月鉱工業生産、中国7月小売売上高、米7月輸出入物価指数(8/14)、米8月NY連銀景気指数、米8月フィラデルフィア連銀景気指数、米7月小売売上高、米7月鉱工業生産指数、米8月NAHB住宅市場指数(8/15)、米7月住宅着工件(8/16)などが注目される。  米企業決算では、シスコシステムズ(8/14)、ウォルマート、アプライド・マテリアルズ、エヌビディア(8/15)などが発表を予定している。
日本株の最新ニュース
マーケットデータ
日経平均 37,068.35 -1011.35
TOPIX 2,626.32 -51.13
グロース250 638.74 -21.13
NYダウ 37,775.38 +22.07
ナスダック総合 15,601.50 -81.87
ドル/円 154.42 -0.22
プレミアム銘柄の最新情報
ページTOPへ