明日の戦略-底堅さは際立つが手詰まり感も強い、マネーゲームはほどほどに

2019/10/09(水) 16:29
 9日の日経平均は反落。終値は131円安の21456円。米政権が中国当局者へのビザ発給を制限すると発表したことなどを嫌気して米国株は大幅安。警戒感から200円超下落して始まった。ただ、寄り付きが安値となり、その後はじわじわと下げ幅を縮める展開。前場は高値引けとなった。後場は今晩の米国株を見極めたいとの見方から動意薄となったものの、戻り基調は崩れず、大引け間際にきょうの高値をつけた。東証1部の売買代金は概算で1兆8000億円。業種別では電気・ガスや繊維、食料品などが上昇している一方、鉱業や石油・石炭、保険などが下落している。上期が大幅増益となった井筒屋が急騰。半面、ファミリーマートは上期が大幅増益となったものの、通期見通し据え置きで目先の材料出尽くし感が強まり、決算発表後に下げ幅を広げた。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1070/値下がり982。後場に入って値上がりが値下がりを上回った。会長辞任報道を受けて買い戻しが入った関西電力が大幅高。日経新聞の社長インタビュー記事を手がかりに花王が買いを集めた。AIクロスは全市場で売買代金4位(ETFを除く)となる大商い。乱高下したものの4%超上昇した。週末の大型台風上陸予想を材料にイトーヨーギョーがストップ高まで買い進まれ、給排水パイプを手がけるクリエイトや電線を手がけるJMACSもストップ高となるなど関連銘柄の深掘りが進んだ。一方、半導体関連が総じて弱く、SUMCOやアドバンテストが大幅安。安川電機やキーエンスなどFA関連も軟調となった。下方修正を発表したAGCが大幅安。一部への市場変更を発表したイーソルは買いが先行したものの、失速して下げに転じると9%近い下落となった。文教堂GHDはノーベル文学賞の発表を待たずして急落した。きょうJASDAQスタンダード市場に新規上場したアンビスHDは高い初値をつけた後は伸び悩んだ。  日経平均は反落。ただ、寄り付きが安値、大引け間際が高値でローソク足では陽線を形成。終値(21456円)ではきっちり5日線(21434円)を上回った。後場に入って値上がり銘柄も増えており、米中間に新たな懸念材料が浮上した割には終日落ち着いた動きとなった。しかし物色を見ると、材料株や直近上場株などハイボラティリティな銘柄に資金が殺到しており、手詰まり感が強い。短期トレードも株式投資の醍醐味の一つではあるが、上場2日目の企業の売買代金が全市場で4位となるのは、やりすぎの感がある。イトーヨーギョーなども無電柱化が推進されればビジネスチャンスはあるだろうが、業績水準を鑑みると過熱感の強いゾーンに入ってきた。  9月の株高でリスク許容度が高まったことに加えて、米中貿易摩擦も長い目で見れば米国株の上昇につながっているという安心感が、これらの銘柄に全力投球できる土壌を作り出しているのだろうが、マネーゲームの様相が強くなりすぎると、マーケットの怒りを買って強制的に相場が冷やされることも少なくないだけに、注意が必要だ。派手に動いた銘柄が急落するだけなら自己責任だが、相場が崩れれば他の銘柄も割を食う。米中閣僚級協議への期待は後退し、物別れなら協議後にリスクオフ色が強まる展開も想定される。そのようななか、東京市場は三連休を控えている。きょうの動きは全体としては非常にしっかりとしたものとなったが、短期的には調整が入る展開も頭の片隅に入れておいた方が良い。
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