明日の戦略-ニュースに振り回されながらも週間上昇、来週は戻り基調が継続か

2019/10/11(金) 16:41
 11日の日経平均は続伸。終値は246円高の21798円。トランプ米大統領が劉鶴中国副首相と会談する意向を示したことなどから、米国株は上昇して為替市場では円安が進行。これを好感して寄り付きから200円近く上昇した。高く始まったぶん、序盤は伸び悩んだが、米中協議進展期待が高まるなか、盛り返して上げ幅を広げた。後場は小動きながらも一段と買われる動きとなり、一時21800円台を回復。終盤にかけてはやや失速したものの、おおむね高値圏を維持した。東証1部の売買代金は概算で2兆1100億円。業種別では鉱業や海運、証券・商品先物などが強い動きとなった一方、サービス、情報・通信、水産・農林の3業種が下落した。今期は大幅増益を見込むSHIFTが急騰。半面、無電柱化関連として連日騰勢を強めていたイトーヨーギョーが買い先行から急失速。後場に入って下げが加速し、13%超の下落となった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1231/値下がり807。決算が好感されたファーストリテイリングが大幅上昇。セブン&アイは大規模なリストラが評価されて買いを集めた。良品計画やスズキは下方修正を発表したものの、悪材料出尽くしとの見方から株価は強い買いで反応した。また、大幅下方修正を発表した安川電機が小幅な下落にとどまったことは、市場に一定の安心感を与えた。一方、今期が営業赤字計画となった夢の街創造委員会がストップ安。下方修正を発表した津田駒工業やエスクローAJが大きく売られた。子会社カーブスのスピンオフ上場を発表したコシダカHDは急落。マネジメントソリューションズは東証1部昇格を発表したものの、株価は売りが優勢となった。第1四半期報告書の提出遅延で監理銘柄(確認中)に指定見込みとなったUMCエレクトロニクスはストップ安比例配分となった。  今週は小売の決算が多く出てきたが、発表後の株価の反応はポジティブなものが多かった。10日に急騰したイオンやローソンはきょうも上昇が継続。良品計画やセブン&アイは下方修正発表でもきょうの株価は大幅高となり、良くも悪くも無難な今期見通しを発表したファーストリテイリングにもしっかり買いが入った。事前に観測報道が出た分、決算直後の反応が鈍かったファミリーマートなども、きょうは大幅高となっている。小売は消費増税への警戒から今年は8月あたりまで売りに押されていたものが多かったが、主力どころの銘柄がそろって決算で買われたことから、この先は市場の評価が高まると予想する。 【来週の見通し】  堅調か。月曜が休場で4日立ち合い。三連休明けは米中閣僚級協議の結果を受けた米国株の影響を大きく受けるだろうが、日経平均は21300円どころの底堅さを確認した後、今週強い戻りを見せており、押し目があれば買いが入ると予想する。10月1日から15日に延期された対中制裁関税に関して、引き上げが回避されるようであれば、リスクオンの様相が強まる展開も期待できる。米中で経済指標が多く出てくるほか、米国では主要企業の決算が出始める。好内容が多く確認できれば、強い地合いが維持される可能性が高い。一方、弱い内容のものが多かったとしても、米国の10月利下げや中国の経済対策などの期待が高まりやすいことから、大崩れはないと考える。 【今週を振り返る】  堅調となった。週末に米中閣僚級協議を控えるなか、週初から関連報道に振らされる展開。好材料、悪材料どちらも出てきたことから、1日のなかで指数が目まぐるしく動く日もあるなど、方向感に欠ける地合いが続いた。先行き不透明感から商いは盛り上がりに欠け、材料株に短期資金が集中するなど、手詰まり感も強まった。しかし、ドル円が比較的落ち着いていたことから下値は限られた。後半にかけて協議進展を期待させるニュースが多く出てきたことから、週間では上昇を達成した。日経平均は週間では388円の上昇となり、週足では3週ぶりに陽線を形成した。 【来週の予定】  国内では、8月第3次産業活動指数、家電の国際見本市「CEATECジャパン2019」(~10/18、幕張メッセ)(10/15)、9月訪日外客数(10/16)、9月首都圏マンション発売(10/17)、9月消費者物価指数(10/18)がある。  企業決算では、松竹、Sansan、TKP、トウキョベース、ヴィレッジV、ヨシムラフード、北の達人、PCNET、ドトル日レス、ラクトJPN、プロパスト、農総研、バロック、U&C、ロコンド、ジースリーHD、メディアドゥ、サイバーS、アクロディア、ウォンテッドリ、マネフォワ-ド、サーバーワクス、市進HD、Gunosy、ベクトル、アクトコール、ロゼッタ、セラク、ユーピーアール、SOU、大庄(10/15)、フェスタリアHD(10/16)などが発表を予定している。  海外では、中国9月貿易収支、ノーベル経済学賞発表、IMF・世銀年次総会(~10/20 ワシントン)(10/14)、中国9月消費者物価、中国9月生産者物価、独10月ZEW景況感指数、米10月NY連銀景気指数、米が「対中関税第1~3弾」の税率引き上げ(25%→30%)予定(10/15)、米9月小売売上高、米10月NAHB住宅市場指数、ベージュブック(10/16)、EU首脳会議(~10/18)、米9月住宅着工件数、米10月フィラデルフィア連銀景気指数、米9月鉱工業生産指数(10/17)、中国7-9月期GDP、中国9月固定資産投資、中国9月鉱工業生産、中国9月小売売上高、米9月景気先行総合指数(10/18)などがある。  米企業決算では、ウェルズ・ファーゴ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、ジョンソン・エンド・ジョンソン(10/15)、バンク・オブ・アメリカ、アボット・ラボラトリーズ、IBM、ネットフリックス(10/16)、ハネウェル・インターナショナル、スナップオン、モルガン・スタンレー、フィリップモリス、ユニオン・パシフィック(10/17)、アメリカン・エキスプレス、コカ・コーラ(10/18)が発表を予定している。
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