明日の戦略-反落も下げ渋り週間上昇、来週は決算にらみも円高進行を警戒か

2019/11/01(金) 16:57
 11月に入り1日の日経平均は反落。終値は76円安の22850円。米中の通商合意に関する不透明感が強まったことなどから米国株は下落し、為替市場では円高が進行。これを嫌気して200円近く下落して始まった。しかし、開始早々に安値をつけた後は下げ渋って値を戻し、下げ幅を2桁に縮めて前場を終えた。後場は三連休を前に小動きが続いたが、終盤にかけて押し目買いが入り、下落ではあったものの、ほぼ高値圏で取引を終えた。東証1部の売買代金は概算で2兆3800億円。業種別ではその他製品や電気機器、陸運どが上昇した一方、鉱業や非鉄金属、精密機器などが下落した。通期の利益見通しを引き下げたものの、自己株取得や増配発表が好感されたダイセルが後場プラス転換から上げ幅拡大。半面、通期見通しの引き下げと減配を発表した住友商事が後場に急落した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり801/値下がり1283。株式分割と実質増配を発表したキーエンスが8%超の上昇、上期大幅増益の任天堂が7%超の上昇と、2大値がさ銘柄の急騰が市場の注目を大きく集めた。前期大幅増益で株式分割も発表したM&Aキャピタル、増税影響も踏まえた通期見通しの引き下げ幅が小幅にとどまったセリア、2Q期間(7-9月)の利益の伸びが好感された元気寿司などが大幅上昇。大幅上方修正を発表したクリナップがストップ高比例配分となった。一方、上期減益のコーセーや、下方修正を発表したフジクラ、ロイヤルHD、九州電力などが大幅安。3Q大幅減益のJIAはストップ安比例配分と売りが殺到した。大学共通テストの英語民間試験実施見送りを受けてEduLabがストップ安。きょうマザーズに新規上場したダブルエーは公開価格割れのスタートから下値模索が続いた。  為替市場では円高が進み、ドル円は108円を割り込んだ。FRBは今年3回目の利下げを実施したが、過去2回の利下げ実施局面(1回目7/31、2回目9/18)では、その直後にはドル安・円高が進んでいる。今回も同様の動きとなりそうな雰囲気が出てきており、来週のドル円の動向には注意が必要だ。ただし、ドル安は米国株にとっては支援材料となる。仮に円高に振れたとしても動きがマイルドであれば、ある程度のところで再びドル高・円安の流れに回帰すると考える。7月の利下げ局面では、8月に入ってすぐに米中の対決色が強まったため、円高・株安が加速した。一方、9月の利下げ後は、その前に急速に進んだ円安を修正するといった程度の動きにとどまり、その後のドル円は円安に振れ、株高基調が強まった。今回は9月のケースに近い動きになるとみている。10月初旬の106円50銭近辺までで円高が止まるかどうかがポイントになると考える。 【来週の見通し】  横ばいもしくはやや弱含みを予想する。東京市場は4日立ち合い。海外は材料難となるなかで、国内は決算発表ラッシュとなる。6日のソフトバンクGや7日のトヨタの決算などが注目される。マクロ面では米中の通商合意に関して、期待を後退させるようなニュースも出てきたことから、やや不安定な地合いが続くだろう。また、FRBの利下げ実施で短期的には円安があまり期待できない点が、日本株にとっては上値を抑える要因になると考える。騰勢を強めていたアドバンテストが上方修正を発表したにもかかわらず急落したほか、決算で好材料を出してきた銘柄が売りに押されるケースがいくつか散見されており、高値警戒感も意識されそう。一方、今回の決算では弱い決算でも悪材料出尽くしの見方から買われる銘柄も多く見られる。個別の活況が引き続き期待できる点は下支え材料になることから、大きく売られることも考えづらい。23000円乗せでひと休みといった局面を想定している。 【今週を振り返る】  高値圏で強弱感が入り交じる展開となった。週前半はS&P500の史上最高値更新や円安進行を好感して、日経平均も23000円台に乗せるなど上値追いの展開が続いた。ただ、一定の到達感も出てきたことから、その後は伸び悩む動きも見られた。FOMCでは大方予想通り利下げは実施され、パウエル議長の会見も市場に安心感をもたらした。一方、米中通商合意に対する不透明感が強まったことや、米国の経済指標が弱かったことなどから、後半にかけてはリスク回避の売りにも押された。日経平均は週間では約50円の上昇。週足ではほぼ十字に近い形ではあるが、4週ぶりに陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では、10月マネタリーベース(11/5)、日銀金融政策決定会合議事要旨(9/18~9/19開催分)(11/6)、10月都心オフィス空室率(11/7)、9月家計調査、9月毎月勤労統計、9月景気動向指数(11/8)がある。  企業決算では、NTT、ソフトバンク、スズキ、アサヒ、サントリーBF、丸紅、日水、王子HD、三菱ガス、持田薬、日軽金HD、マルハニチロ、寿スピリッツ、ニチレイ、グンゼ、古河電、三浦工、ユニオンツール、オイレス工、ブラザー、日信号、タムラ製、横河電、日光電、ニチコン、ワークマン、アコム、東建物、テーオーシー、京王、JR九州、ベネッセHD、ユニプレス、千代建、タカラスタン(11/5)、ソフトバンクG、ダイキン、三菱商、オリンパス、SUBARU、国際帝石、旭化成、西松建、日触媒、科研薬、東急建設、DeNA、アルフレッサHD、アルペン、SUMCO、コロプラ、昭電工、ムラ、アース製薬、東海カ、神戸鋼、シスメックス、Uアローズ、コロワイド、日ユニシス、富士急、住友ゴム、GSユアサ、三菱自(11/6)、トヨタ、三井不、菱地所、資生堂、テルモ、クボタ、キリン、楽天、東レ、リンナイ、DMG森精、東洋紡、日精機、森永乳、住阪セメ、ニプロ、ミツコシイセタン、メルカリ、フジHD、ノエビアHD、三菱マ、アマダHD、SANKYO、グローリー、ミネベアミツミ、ルネサス、カシオ、ゼンショーHD、ニコン、丸井G、日テレHD、ジャストシステ、西鉄、コスモエネHD、スクエニHD(11/7)、ホンダ、大和ハウス、ブリヂストン、ユニチャーム、セコム、住友鉱、雪印メグ、デンカ、セブン銀行、石油資源、大成建、長谷工、五洋建、ショーボンド、コムシスHD、NIPPO、ミクシィ、マクドナルド、日産化、ケネディクス、沢井製薬、ラウンドワン、いすゞ、島津製、ナカニシ、東京精、ケーズHD、共立メンテ、東急不HD、飯田GHD、ダイフク、りそなHD(11/8)などが発表を予定している。  海外では、米9月製造業受注(11/4)、米9月貿易収支、米10月ISM非製造業指数(11/5)、米9月消費者信用残高(11/7)、中国10月貿易収支(11/8)などがある。
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