明日の戦略-緊急事態全面解除に株式市場も熱狂、来週はいったんクールダウンか

2020/05/29(金) 17:07
 29日の日経平均は5日ぶり反落。終値は38円安の21877円。トランプ米大統領が対中向けの会見を開くと伝わり、米国株は終盤に急失速。この流れを嫌気して100円近く下げて始まった。前場では下げ幅を急速に縮めた後に200円超下落するも持ち直すなど、不安定な動きが続いた。後場に入ると下値が堅くなり、14時過ぎにはプラス圏に浮上した。ただ、一段と上を取りに行く流れとはならず、終盤にかけては売り買いが交錯。結局小幅な下落で取引を終えた。東証1部の売買代金は概算で4兆6400億円。MSCIのリバランスもあり商いは膨らんだ。業種別では医薬品、精密機器、情報・通信などが上昇した一方、鉄鋼、海運、空運などが下落している。SBIHDによる株式取得発表を材料に大東銀行が後場急伸。半面、前期が大幅な営業減益となったLIXILグループが後場に入って急落した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり674/値下がり1438。薬品株に非常に強い動きが見られており、第一三共や中外製薬などが大幅上昇。アンジェスが6%超上昇し、マザーズ指数上昇のけん引役となった。北九州や東京の新型コロナウイルス感染動向を警戒して、川本産業や中京医薬品などマスク関連が大幅高。米中関係の対立激化懸念から細谷火工や興研など防衛株が物色された。PSSがリリースを手掛かりにストップ高。今期V字回復計画のTOWAはストップ高比例配分と買いが殺到した。一方、前期が営業赤字となった日産自動車が10%を超える下落。三菱自やマツダ、スズキなども弱く、自動車株は円高進行や直近上昇の反動で売られるものが多かった。今週の上昇が目立ったJAL、ANAや三菱UFJなども大幅安。決算では、前期大幅営業減益のニコンや、前期大幅最終赤字に転落した新電元工業が急落した。  日経平均は週間で7%を超える上昇。きょうも下落はしたが、後場にはプラス圏に浮上するなど強さをみせた。きょうは薬品株の値動きが良かったが、今週は空運、金融、自動車など毎日どこか派手に買われるセクターがあり、それが全体のリスク選好ムードも高めたように見受けられる。医薬品に関しては必ずしも出遅れ感が強かったわけではないため、こういったセクター一本釣りのような動きがこの先、多く出てくるのかもしれない。また、マザーズ指数はバリュー株に資金が向かう中で週半ばには動きが鈍ったものの、きょうは大きく上昇し、週末値(982p)では年初来高値を更新してきた。押しが深くならなかった点はポジティブ。1000pが目前となっており、足元の勢いを維持して来週大台を回復できるかに注目したい。 【来週の見通し】  もみ合いか。今週の大幅高に対する反動は意識しておく局面、6月相場に入り月替わりで相場に変化が出てくる展開も想定される。米国で経済指標の発表が多く、週末には5月雇用統計も控えている。これまでは弱い指標に対するネガティブな反応は限定的であったが、米国株もある程度の戻りを達成しており、ここから先は指標が株価にブレーキをかける場面も出てくるだろう。何よりもトランプ大統領がここにきて中国への批判を強めている点が警戒材料となる。一方、日経平均が今週非常に強い上昇となったことから、押し目があれば買いが入ると考える。これまで物色の蚊帳の外にあった金融株などにも資金が向かっており、指数の上値が重くなったらなったで、出遅れ感のあるところを見直す動きも出てくるだろう。米雇用統計にらみのスケジュールのため、22000円を突破して一段高となるハードルは結構高いとみるものの、下値も限定的と考える。 【今週を振り返る】  大幅高となった。25日に緊急事態の全面解除が決まったが、事前報道からこれを先取りして日経平均は週初から大幅上昇。空運株やレジャー株などコロナ相場で売り込まれた銘柄に強い買い戻しが入った。出遅れ銘柄を見直す動きは金融や自動車、鉄鋼など広範囲におよび、その一方でマザーズ銘柄が失速する場面があったことから、グロースからバリューへの資金シフトが進んだ。指数は28日まで4日連続で3桁の上昇となり、21000円や21500円など節目の水準を次々に突破して22000円にも接近。マザーズ指数も週後半には切り返し、経済活動再開期待を背景に株高基調が強まった。日経平均は週間では約1489円の上昇となり、週足では2週連続で陽線を形成した。 【来週の予定】  国内では、1-3月期法人企業統計、5月新車販売台数、5月軽自動車新車販売台数(6/1)、4月家計調査、4月景気動向指数 (6/5)がある。  企業決算では、オリバー、藤コンポ、ゼネパッカー、ワットマン(6/1)、日本精工、プレミアG(6/2)、内田洋、ウチダエスコ、三光MF、ティーライフ(6/3)、積水ハウス、ピジョン、空港ビル、アインHD、ファーマフーズ、泉州電、モロゾフ、日ハウスHD(6/4)、東芝、カナモト、日駐、ハイレックス、アイル、ポールHD、鳥貴族、フジコーポ、相模ゴム、インスペック、ITbookHD(6/5)などが発表を予定している。  海外では、中国5月製造業PMI(5/31)、米4月建設支出、米5月ISM製造業景気指数(6/1)、ユーロ圏4月失業率、米5月ADP全米雇用リポート、米5月ISM非製造業指数(6/3)、ECB定例理事会(ラガルド総裁記者会見)、米4月貿易収支 (6/4)、米5月雇用統計、米4月消費者信用残高(6/5)などがある。
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