明日の戦略-週間で1000円近い下落、米雇用統計を前に慎重姿勢が強まるか

2021/11/26(金) 17:12
 26日の日経平均は大幅反落。終値は747円安の28751円。米国株は休場で静かな1日になるかと思われたが、朝方に為替が円高に振れたこともあって、寄り付きから3桁の下落。南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認されたことが警戒されているとの見方が広がると、一気にリスクオフの様相が強まった。ドル円は115円を割り込んで円高が加速。アフターコロナ関連が軒並み安となり、主力大型株もグロース・バリュー問わず売りに押された。指数は節目の29000円もあっさり割り込むと、前場のうちに下げ幅を700円超に拡大。後場に入ってもしばらく下値模索が続き、28600円台に突入した。900円近く下げたところでようやく売りが一巡し、13時を過ぎた辺りからは切り返したものの、戻りは緩慢。引けでも700円を超える下落となった。TOPIXは10月28日以来、約1カ月ぶりに終値で2000ポイントを割り込んだ。  東証1部の売買代金は概算で2兆9900億円。業種別では全業種が下落。電気・ガス、食料品、水産・農林などディフェンシブセクターが相対的に値を保った。一方、空運が5%を超える下落となったほか、不動産や陸運が大幅安となった。スズケンとの業務提携を発表したFRONTEOが軟調相場の中でも買いを集めてストップ高。反面、前日同様、大商いとなった直近上場のGRCSは、買いが先行したものの失速して9%を超える下落となった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり152/値下がり1992。新型コロナへの警戒が再燃する中、かつてこれを材料に賑わった川本産業、中京医薬品、重松製作所、アゼアスなどが人気化。自己株取得を発表した住友大阪セメントや、大口受注を発表したAIメカテックが急伸した。DWTIがリリースを材料にストップ高。物流施設開発に関する合弁契約締結が好感された霞ヶ関キャピタルが上場来高値を更新した。  一方、海外渡航への制限強化が警戒されてJAL、ANA、HISが急落。西武HDや鉄人化計画、パーク24など、アフターコロナ関連で国内を中心に事業展開している銘柄群も厳しい下げとなった。主力大型株は軒並み安となっており、レーザーテック、ファストリ、信越化学などが中でも弱い動き。出資企業に関するネガティブなニュースも出てきたソフトバンクGは5%を超える下落となった。3Q期間での利益の伸びが物足りないと受け止められたタカショーは13%安と大きく値を崩した。  日経平均は747円安。薄商いの日に、先物が主導して指数の日中の振れ幅が大きくなることはある。しかし、きょうは下げ続ける中で買い意欲が感じられる場面がほとんどなかった。これがバーゲンセールであれば、米国株が休場であろうと買いは入る。そうならなかったということは、(1)今日の下げが過剰反応ではなく、コロナの新たな変異株にこの先も警戒を払わなければいけない、(2)これだけ下げても日本株を買う理由が乏しい―のどちらか。米国株が休場だから押し目買いが入らなかったというのであれば、日本株を買いたいのは米系の投資家だけということになる。今年はもう終盤戦。12月のFOMC(12/14~15)を通過した後は海外投資家は休暇モードに入る。米国株は感謝祭手前の11月24日までで、年間ではダウ平均が17.0%、S&P500が25.2%、ナスダックが22.9%上昇している。年末にかけては利益確定の売りも出てくるだろうから、米国株に頼りっぱなしでは日本株の上昇は期待しづらい。なお、日経平均は本日11月26日までで年間での騰落が+4.8%。TOPIXは+10.0%となっている。TOPIXはまだ貯金があるが、日経平均は年間プラスを達成できるか微妙な状況。日本国内での感染被害は非常に抑えられた状況が続いていただけに、きょうコロナのニュースにここまで弱い反応を見せたことは残念である。 【来週の見通し】  神経質な展開か。月末と月初を挟む週で、金曜12月3日には米11月雇用統計が発表される。今週、パウエル氏のFRB議長再任が決まった際に米国の長期金利が大きく動いたことから、雇用統計を前にしては身構える状況が続くだろう。来週、米国では雇用統計以外にも注目指標が多い。また、12月2日にはOPECプラス会合が開催される。増産見送りの場合には、原油価格上昇がインフレ高進への警戒を高める可能性がある。コロナ変異株の感染状況にも引き続き注意が必要だ。米国の年末商戦に関するニュースが多くなる時期で、ポジティブな内容が多ければ相場の下支えにはなるだろう。また、日経平均は今週の下げが大きかった分、押し目買いも入ってくるとは考える。しかし、3万円が一段と遠のいたことでセンチメントの悪化が見込まれる中、弱材料に対するネガティブな反応が大きくなることで、上がりづらく下がりやすい地合いを予想する。 【今週を振り返る】  軟調となった。米国ではバイデン大統領がパウエル氏のFRB議長再任を発表したが、ハト派とみられていたブレイナード氏が選ばれなかったことで長期金利の上昇を招き、主力グロース株が売られた。これを受けて、休場明け24日の日経平均は、400円を超える下落となった。加えて、南アフリカで新型コロナウイルスの新たな変異株が確認されたことが警戒材料となり、26日には700円を超える下落。節目の29000円を割り込んだ。特に26日は、これまで市場に漂っていた楽観ムードが急速に冷え込み、リスクオフの様相が強まった。日経平均は週間では約994円の下落となり、週足では3週連続で陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では10月商業動態統計(11/29)、10月失業率、10月有効求人倍率、10月鉱工業生産、10月住宅着工統計(11/30)、7-9月期法人企業統、11月新車販売台数(12/1)などがある。  企業決算では、トリケミカル(11/30)、伊藤園(12/1)、ラクーンHD(12/2)、アインHD、ファーマフーズ、日駐、内田洋、ロックフィール、ポールHD、モロゾフ(12/3)などがある。  海外の経済指標の発表やイベントでは、米サイバーマンデー、米10月NAR仮契約住宅販売指数(11/29)、中国11月製造業PMI、米9月FHFA住宅価格指数、米9月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米11月消費者信頼感指数(11/30)、中国11月財新製造業PMI、米11月ADP全米雇用リポート、米11月ISM製造業景気指数、ベージュブック(12/1)、OPECプラス会合(12/2)、米11月雇用統計、米11月ISM非製造業指数、米10月製造業受注(12/3)がある。
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マーケットデータ
日経平均 37,068.35 -1011.35
TOPIX 2,626.32 -51.13
グロース250 638.74 -21.13
NYダウ 37,775.38 +22.07
ナスダック総合 15,601.50 -81.87
ドル/円 154.42 -0.22
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