明日の戦略-戻しきれず連日の大幅下落、28000円割れを回避できるかが重要に

2021/11/29(月) 16:34
 29日の日経平均は大幅続落。終値は467円安の28283円。先週末の欧米株が大きく崩れたことを嫌気して、寄り付きから400円を超える下落。ただ、グロース株や海運株に強い動きが見られたこともあって、大きく下げて始まった後は、いったん急速に値を戻した。11時近辺ではプラス圏に浮上。これで売り出尽くし感が出てくるかと思われた。しかし、後場に入ると改めて下を試す展開。買いが入っていた銘柄の多くは上値が重くなり、戻りかけていたアフターコロナ関連は売り直された。岸田首相が外国人の新規入国を停止する意向と伝わると売りが加速。前場の安値を下回り、一時下げ幅を500円超に広げた。28100円台に突入したところで売りが一巡したものの、ほぼ安値圏で取引を終えた。  東証1部の売買代金は概算で3兆3900億円。業種別では海運とその他製品の2業種のみが上昇。下げた中では情報・通信が値を保った。一方、空運、陸運、繊維などが大幅安となった。値動きの軽そうなところに資金が集中しており、上場以降、騰勢を強めているサイエンスアーツがストップ高比例配分。半面、上場来高値圏で推移していたFRONTEOが、ストップ安まで売り込まれた。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり159/値下がり1989。ウィズコロナ銘柄が物色されており、任天堂やエムスリーが大幅上昇。川本産業や中京医薬品などマスク関連がストップ高まで買われたほか、PSSや重松製作所、アゼアスなどが大幅高となった。米長期金利の低下を手がかりにレーザーテックが4%近い上昇。日本郵船など大手海運株は、コロナ感染被害拡大なら海上運賃も高止まりが続くとの見方から買いを集めた。材料のあったところでは、1:5の株式分割を発表したアミタHDが、場中は値が付かずストップ高比例配分となった。  一方、アフターコロナ関連が売られており、JAL、ANAが大幅安。鉄道株も軒並み安となっており、東急、富士急行、西武HDなど関東圏の私鉄の下げが大きかった。HIS、エアトリ、オープンドアといった旅行関連や、OLC、ラウンドワン、鉄人化計画などレジャー関連も大きく下げるものが多かった。急速な円高進行を受けて、三菱自動車や日産自動車など自動車株が大幅安。マザーズ指数が3%近い下落となっており、今期の最終赤字見通しやファイナンスが嫌気されたENECHANGEがストップ安となった。  日経平均は大幅安。400円超下げて始まった後、切り返して一時プラス圏に浮上したにもかかわらず、引けでは467円の下落となった。きょうはいつ安値をつけるかが焦点とみていたが、その時間は14時30分と終盤で、まだ売りが出尽くしたとは言えない。足元の下げが、本当の意味でコロナを警戒した売りなのかどうかは正直微妙なところで、高値圏で推移する米国株の年内の利益確定売りに付き合わされているような雰囲気もある。ただ、これだけマーケットが大騒ぎしてしまうと、政治の方では各国が警戒ムードを強め、コロナ対応を強化することにつながりかねない。日本にも早速動きが出てきたが、これは感染リスクを抑える効果が期待できる一方、経済活動にはブレーキをかける。国内で感染被害が広がらないうちから活動自粛ムードが広がると、業態によってはかなりの打撃を受けるところが出てくることも予想される。  きょう結局大幅安で終えたことから、今晩の米国市場に対する期待はそこまで高まっていないと考えられる。仮に米国株が下落したとしても、常識的な下げならあすの日本株へのネガティブな影響は限定的だろう。この先、28000円を割り込んでしまうと、年初来安値の26954円に向けて下に勢いがつきそうな局面だけに、あす、踏みとどまって戻りを試すことができるかは非常に重要。週足ではきょうの下げで52週線(28714円、29日時点)を割り込んでいる。8月や10月の下げ局面では52週線を割れたところが買い場となっているだけに、今回も同様の動きが見られるかに注目したい。
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