明日の戦略-26000円を割り込み週間では4桁の下落、来週は戻りを試すか

2022/06/17(金) 17:17
 17日の日経平均は大幅反落。終値は468円安の25963円。スイスやイギリスが利上げを発表し、世界的な金融引き締めへの警戒から欧米株が大幅安。ダウ平均は3万ドルを割り込んだ。米長期金利が低下する中での株安でリスクオフムードが強まる中、寄り付きから26000円を割り込むと、開始直後には下げ幅を700円超に広げた。ただ、5月の安値(25688円)は割り込むことなく下げ渋った。昼休みに入って早々に、日銀は金融政策の現状維持を発表。結果を受けて為替が円安に振れたことから、後場は前引けから水準を切り上げて始まった。しかし、26000円を上回ってくると上値が重くなり、以降は節目の近辺でこう着感が強まった。結局、26000円をわずかに下回って取引を終了。終値での26000円割れは5月12日以来、約1カ月ぶりとなる。ナスダックの大幅安を受けてグロース株が弱く、マザーズ指数が取引時間中の年初来安値を更新。グロースコア指数は取引時間中と終値の両方で年初来安値を更新した。  東証プライムの売買代金は概算で4兆2700億円。大きな動きが出てきたことで、商いは膨らんだ。業種別では食料品、電気・ガス、陸運などが上昇した一方、精密機器、輸送用機器、金属製品などが下落した。上方修正を発表したエアトリが大幅上昇。半面、上場してからの動きが非常に強かったエニーカラーが、後場に入って強烈に売り込まれてストップ安となった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり351/値下がり1447。ファーストリテイリングが逆行高。証券会社のリポートを材料に、ファナック、東レ、京王などが強い動きを見せた。ダブルスコープが人気化して10%を超える上昇。ディフェンシブ系の銘柄が選好されており、山崎製パンや日清製粉Gなど食品株や、関西電力や中国電力など電力株に資金が向かった。  一方、グロース株に厳しい1日となっており、レーザーテックや東京エレクトロンが急落。ともに年初来安値を更新した。リクルートも6%近い下落となり、年初来安値を更新。ソフトバンクG、TDK、信越化学など主力のグロース株が幅広く売られた。新興グロースでは、ビジョナルやENECHANGEが大幅安。6月のグローバル生産計画を引き下げたトヨタが3%を超える下落となった。鉄鋼大手の日本製鉄、神戸鋼、JFEHDがそろって大幅安。直近で人気化していたエヌリンクスが、ゲームアプリの配信終了を発表したことで急落した。  日経平均は大幅安。ただ、日銀会合に関しては売り材料とはならず、引け味はそこまで悪いものとはならなかった。0.75%の大幅利上げを決定したFRBとは対象的に、日銀は金融政策の現状維持を決定。もう下手に欧米に追随しないで、世界景気が悪化して金利が下がるまで待てば良いようにも思える。とは言え、先進国の中で日本だけが金融政策で方向性がそろっていないというのは、あまり好ましいことではない。6月はFOMCの直後に日銀会合というスケジュールであったが、7月は20~21日が日銀会合で、26~27日がFOMCとなり、日銀会合の方が先に来る。グローバル市場の不安定な状況が続いた場合には、7月の日銀会合がリスクイベントとしてクロースアップされる可能性がある点には留意しておきたい。 【来週の見通し】  戻りを試す展開か。今週は欧米で金融引き締めに関するニュースが多く、世界的に株式市場が大きく崩れた。その余波には警戒を払う必要がある。ただ、FOMCや日銀会合など注目イベントを通過したことで、債券市場や為替市場はいったん値動きが落ち着くと見込まれる。日経平均は今週、値幅での調整が相当進んだこと、また、その中でも5月安値近辺で踏みとどまったことなどから、リバウンド狙いの買いは入りやすい。国内では参院選の日程が「6月22日公示、7月10日投開票」と決まり、選挙モードに突入する。政策絡みで動意づく銘柄も出てくるだろう。引き続き米株動向には振り回されることになりそうだが、多くの銘柄に値ごろ感がでてきたことから、好材料に対する反応が強めに出ることで、下げづらく上げやすい地合いが醸成されると予想する。 【今週を振り返る】  米国の5月消費者物価指数(CPI)が強い結果となったことから、金融引き締めへの警戒が再燃。6月のFOMCでは利上げ幅が0.75%になるとの見方が強まり、米国株は主要3指数が年初来安値を更新するなど調整色を強めた。日本株も米国株安や長期金利の上昇、為替の乱高下などに振り回され、直近の上昇分を一気に吐き出した。FOMCでは0.75%の利上げが決定され、結果発表直後には買い戻しが入った。しかし、スイスやイギリスが利上げを実施したことで、株式からの資金逃避が加速。ダウ平均は節目の3万ドルを割り込み、日経平均は週末値で26000円を割り込んだ。日経平均は週間では約1861円の下落となり、週足では3週ぶりに陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では、日銀金融政策決定会合議事要旨(4/27~28開催分)(6/22)、5月全国消費者物価指数(6/24)などがある。  企業決算では、ツルハHD(6/21)などが発表を予定している。  海外の経済指標の発表やイベントでは、、米5月中古住宅販売(6/21)、米1-3月期経常収支、EU首脳会議(~6/24)(6/23)、独6月Ifo景況感指数、米5月新築住宅販売(6/24)などがある。  なお、6/20の米国市場はジューンティーンスの振替休日のため休場となる。
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