明日の戦略-後場失速も週間では上昇、来週は米中会談にらみで神経質な展開か

2019/06/21(金) 16:53
 21日の日経平均は3日ぶり大幅反落。米国株はS&P500が史上最高値を更新するなど強い動きとなったが、円高が重荷となって日本株への好影響は限定的。買いが先行したもののあっさり下げに転じると、一段の円高進行を受けて下げ幅を広げた。米国とイランとの地政学リスクの高まりが意識される中、後場は前引けから100円超下げて始まると、下値模索の展開。地合いの悪化を嫌気して下げに転じる銘柄も増える中、指数は下げ幅を200円超に広げ、ほぼ安値圏で取引を終えた。終値は204円安の21258円。東証1部の売買代金は概算で2兆7100億円。業種別では鉱業や石油・石炭、非鉄金属などが上昇した一方、医薬品や建設、不動産などが下落している。昼休みに増配を発表したIDホールディングスが後場に入って大幅上昇。半面、株主総会で米投資ファンドによる自社株買いの提案が否決されたと伝わったことが嫌気されたJR九州が後場に入って大幅安となった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり619/値下がり1458と売りが優勢。原油価格上昇を受けて国際帝石や石油資源、出光興産などが大幅高。地政学リスクが高まったことから、石川製作所や細谷火工など防衛関連に資金が向かった。キーエンスや東京エレクトロン、信越化学など、外需の一角にはしっかりした動きが見られた。タンパク質受託製造事業を開始すると発表したコスモバイオはストップ高まで買われた。一方、資生堂やコーセー、ファンケルなど化粧品株が軒並み大幅安。日経新聞「スクランブル」で建設株の軟調が取り上げられており、大成建設や清水建設などゼネコン株にも売りが出た。証券会社が投資判断を引き下げた大和ハウスは5%を超える下落。今期見通しがネガティブサプライズとなったシンクレイヤはストップ安となった。きょうマザーズに新規上場したブランディングテクノロジーは買いが殺到して初値は持ち越しとなった。  日経平均(21258円、204円安)は米国株高を好感できず案外の動きとなったが、5日線(21230円、21日時点、以下同じ)や26週線(21062円)は上回って終えた。週間では3週連続で上昇している。きょうの物色を見ても、円高でも東京エレクトロンや信越化学はプラスで終えており、弱かったセクターもディフェンシブ系と、それほどリスクを警戒した動きとはなっていない。米国とイランの緊張が高まっている点は注視しておく必要があるが、ハイテク株などは調整が進んで下げ余地が限定的となっている可能性があり、冷静に状況を見極めたい局面だ。来週は21500円を早々に超えられるかが注目点となる。きょうの高値が21497円で、これを抜くのに時間がかかるようだと、上では戻り売りが出やすくなる。今週は急速に円高が進行した週の動きとしては強いと言って良いだけに、週初に注目の節目を超えて上昇に弾みをつける展開に期待したい。 【来週の見通し】  波乱含みか。G20大阪サミットが28~29日に開催される。この近辺で米中首脳会談が実現するとみられており、交渉に進展が見られるかが注目される。ただその分、G20前は売買自体が手控えられるだろう。交渉も一筋縄ではいかないと思われる中、円高進行や米国とイランの対立など警戒材料もあり、首脳会談前にはリスク回避の売りが出てくる展開も想定される。一方、利下げ期待から米国株に強い動きが見られる点は下支え要因となる。月末で米国の指標発表も多いが、現状では指標が悪ければ利下げ期待が高まり、米国株の上昇をサポートする展開が期待できる。米中関連のニュースや為替、債券をにらみながら神経質な地合いが続くとみるが、崩れれば米国の7月利下げが意識されることから、下はあっても一時的と考える。 【今週を振り返る】  堅調となった。週半ばまではFOMCを前に様子見姿勢が強い地合いとなったが、ドラギECB総裁が追加の刺激策の可能性を示唆したことに加え、米中首脳会談が実現するとの期待が高まったことから、19日の日経平均は300円を超える大幅上昇。さらに、FOMCを受けて米国の年内利下げの期待が高まったことから、一段高で節目の21500円に迫った。一方、長期金利低下を受けて為替市場でドル安・円高が進行したことは日本株の上値を抑えた。週末にかけては、米国とイランの軍事的緊張が高まり大きく売られる場面もあったが、週間ではプラスを確保した。日経平均は週間では141円の上昇となり、週足では3週連続で陽線を形成した。 【来週の予定】  国内では、日銀金融政策決定会合議事要旨(6/19~6/20開催分)、5月企業サービス価格指数(6/25)、5月商業動態統計(6/27)、G20大阪サミット開催(~6/29)、5月有効求人倍率、5月完全失業率、6月都区部消費者物価指数、5月鉱工業生産指数、5月住宅着工統計(6/28)がなどがある。  決算発表は、あさひ、オプトエレクト、壱番屋、しまむら、パルコ(6/24)、ピックルス、スギHD、高島屋、タキヒヨー(6/25)、瑞光、ヒマラヤ、オークワ(6/26)、ハローズ、銚子丸、ハイデ日高、NaITO、平和堂(6/27)、夢の街、アダストリア、トシンG、スターマイカHD、Jフロント、WNIウェザー、ストライク、フロイント、ナガイレーベ、ケーヨー、ジャステック(6/28)などが予定している。  海外では、独6月Ifo景況感指数、米5月シカゴ連銀活動指数(6/24)、米4月FHFA住宅価格指数、米4月S&Pコアロジック・ケース・シラー住宅価格指数、米5月新築住宅販売、米6月消費者信頼感指数(6/25)、米5月耐久財受注(6/26)、米1-3月期GDP確報値、米5月NAR仮契約住宅販売指数(6/27)、米5月個人消費支出・個人所得(6/28)などが注目される。  米決算発表では、レナー、フェデックス、マイクロン・テクノロジー (6/25)、ゼネラル・ミルズ(6/26)、ナイキ、アクセンチュア(6/27)などが予定している。
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