コラム
当該コラムは、2021年07月に「トレーダーズ・プレミアム」向けに掲載したものを加筆・修正しております。 「トレーダーズ・プレミアム」では定期的に新作コラムを掲載しております。 ぜひご加入をご検討ください。

ROEだけでは危険? ROAとROEの関係性に着目

はじめに

 ROE(自己資本利益率)は活用しているものの、ROA(総資本利益率)はあまり活用していないという人は多いと思います。そもそも、ROA(総資本利益率)はどの利益を使って計算するかがはっきり定義されていないということもあり、使いづらいといえます。ただ、業績が悪化する局面や金利が上昇する局面などではROEに加えてROAも見たほうが良いです。今回はROAとROEに着目し、その関係性をみていきます。

ROE(自己資本利益率)

 ROEはReturn on Equityの略で、当期純利益を自己資本で割ることで求められます。自己資本を活用してどれだけの利益を挙げているかをみる指標です。ROEに関してはコラム「ROEで企業の効率性をチェック」を参照してください。

ROA(総資本利益率)

 ROAはReturn on Assetsの略で、利益を総資本で割ることで求められます。総資本(総資産)を活用してどれだけの利益を挙げているかをみる指標です。
 利益については、営業利益を使用する場合もありますし、経常利益や当期純利益を使用する場合もあります。また、企業が主たる営業活動によって得た利益(営業利益)と財務活動から得た利益(金融収益)の合計である事業利益を使用する場合もあります。
 総資本(自己資本と他人資本の合計)が会社全体の資本を表していることを踏まえると、事業利益を使用することが良いと考えます。ただし、損益計算書には事業利益という項目は通常ありませんので、自身で計算して算出する必要がある点には注意してください。今回はROAを総資本事業利益率と定義して説明を進めます。

ROEとROAの関係式

 ROEとROAの関係式は以下のようになります。

 そして、上記の関係式が成立することによって以下の結論を得ることができます。

 つまり、ROAが負債利子率を上回っていれば負債比率を高めることでROEを上昇させることができます。ただし、業績低迷などによるROAの低下や金利上昇などによる負債利子率の上昇により、ROAが負債利子率を下回った場合は、ROEが大きく低下することになります。
 このように負債比率がROAと負債利子率の差を増幅してROEの振幅を大きくする効果を「財務レバレッジ効果」といいます。

負債利子率の算出

 負債利子率の算出は損益計算書と貸借対照表を使用します。支払利息は、損益計算書の営業外費用の支払利息の数値を使用します。有利子負債は貸借対照表の負債の部の短期借入金、長期借入金、社債、リース債務などを合計します。
 例えば、支払利息200万円、有利子負債1億円(短期借入金3000万円+長期借入金7000万円)だったとすると、200万円÷1億円×100=2%と負債利子率を計算することができます。このようにして「この会社は2%の金利でお金を借りている」と認識することができます。もしこの会社のROAが1%であれば借入金の金利分(2%)も稼げていないということになります。
 なお、財務分析においては損益計算書と貸借対照表の数値を計算式で使用する場合、貸借対照表の数値は期首期末平均とします。したがって、計算で使用する有利子負債(期首期末平均)は前々期末の有利子負債と前期末の有利子負債の合計を2で割って算出します。なるべく正確な数値を算出したい場合は、ひと手間かけた有利子負債(期首期末平均)を使用してみてください。

最後に

 新型コロナの影響により業績が低迷している会社は多くあります。このような状況ではROEが高いといって安心はできません。ROEが高く、ROAが低い会社には警戒が必要です。
 まずは、ROEだけではなくROAもしっかりと確認しましょう。そして、負債利子率とROAを比較し、その会社のROAがどれだけ負債利子率を上回っているか(どれだけ余裕があるか)も確認しましょう。財務リスクが高い企業は、新規の借り入れや借り換えの際に金利が上昇することもあります。これは支払利息の増加要因、すなわち負債利子率を高めてしまうことにつながります。ワクチンの接種進展によりアフターコロナ関連の銘柄の株価も大きく上昇することが多くなっていますが、その分、適正価格は分かりづらくなっています。業績の回復に時間がかかれば、債務超過や上場廃止などのリスクが浮上する企業も出てきます。思わぬ事故(損失)に遭遇するリスクを下げるためにも、ROAとROEの両面を見ることをお勧めします。

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