明日の戦略-大幅高でチャートも好転、乱高下相場に終止符を打てるか

2020/01/09(木) 16:50
 9日の日経平均は大幅反発。終値は535円高の23739円。トランプ米大統領の声明などから、米イラン間の軍事的緊張が沈静化するとの期待が高まり全面高の展開。300円超上昇して始まると、寄り付き直後を安値に上げ幅を広げ、前場は高値引けとなった。後場も値動きは落ち着いたものの上を試す流れが継続し、500円超の上昇で23700円台に到達。引け間際にきょうの高値をつけ、昨年大納会の終値(23656円)を上回って終えた。東証1部の売買代金は概算で2兆1400億円。業種別では全33業種中、31業種が上昇しており、情報・通信や電気機器、精密機器などが大幅上昇。原油安が逆風となる鉱業と石油・石炭が大幅安となり、電気・ガスの上昇が限定的となった。上期の大幅増益着地が好感された三協立山が後場急伸。反面、3Qが営業赤字となったポプラは後場に下げに転じて大幅安となった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1960/値下がり157と全面高。出資先企業の上場観測が報じられたSBGが大幅上昇。東京エレクトロンやSCREEN、SUMCOなど半導体株に強い動きが見られ、富士フイルムやZHD、マクアケなども騰勢を強めた。上方修正と増配を発表したヤマシタヘルスケアがストップ高比例配分。証券会社のリポートを材料に、ラクーンHDや船井総研HDが買いを集めた。一方、地政学リスクが高まる局面で買いを集めていた石川製作所や細谷火工など防衛関連株や、フジトミや第一商品など商品先物株は軒並み急落。原油安を受けて国際帝石や石油資源開発が大幅安となった。上期の利益見通し上振れを発表したものの、通期据え置きで材料出尽くし感が強まったパシフィックネットが急落。ベルシステム24も決算が売りを誘って大きく値を崩した。  2020年に入ってからの日経平均は大幅安と大幅高を繰り返しているが、きょうの上昇ではテクニカル面での好転が見られた。5日線(23476円、9日時点、以下同じ)と25日線(23623円)を上に抜け、週足でも13週線(23359円)を上回った。25日線は戻り局面で抵抗となる懸念もあっただけに、あっさり超えてきた点はポジティブ。順番でいけばあすは大幅安の日となるが、チャートの節目を超えてきたことで、この流れに変化が出てくるかが注目される。引け後にファーストリテイリングが下方修正を発表しており、安川電機の3Q決算も2Qからの利益の伸びは物足りなかった。不穏な空気も漂うが、これらネガティブな材料を受けても日経平均が大幅安とならなかった場合には、ブル派に勢いがつく展開も期待できる。  動かない相場よりは動きのある相場の方がエキサイティングではあるが、あまりに派手すぎると、短期の投資家しか参戦しづらくなり、中長期の投資家が取り残される。実際、きょうはかなり強い動きとなった割には、東証1部の売買代金はなんとか2兆円に乗せた程度で盛り上がりには欠けた。全面高と全面安の繰り返しでは個別の分析も意味がなく、閑散相場の中で空中戦ばかりが続いてしまう。米国とイランの双方が戦争に否定的な見方を示したこともあり、そろそろ値幅は落ち着いてほしいところだ。指数は25日線(23623円)より上を維持して週を終えることができるかに注目したい。
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