明日の戦略-混沌極まる1日、来週は強弱感が交錯し不安定な展開か

2020/03/19(木) 17:06
 19日の日経平均は続落。終値は173円安の16552円。昨晩の米国株は大幅安となったが、朝方にECBが緊急で量的緩和を発表したことを好感して3桁上昇スタート。17000円台を回復して一気に上げ幅を400円超に広げた。しかし、すぐに上値が重くなると値を消してマイナス転換。為替市場ではドル高・円安が進んだが外需が売られ、アジア株も軟調となるなど、リスク警戒ムードが強まった。一方で内需の中には大幅高となるものも多く、TOPIXはしっかりとした動きが続いた。後場に入るとSBGが下げ幅を広げるなど弱い銘柄の売りが加速した一方、百貨店や通信などでは急伸するものも出てくるなど、二極化が鮮明となった。強弱感が定まらない中、指数はマイナス圏で方向感のない動きが続いた。また、REIT指数が18%安(1145.53p)と急落しており、個別でも投げ売りが加速した。市場東証1部の売買代金は概算で4兆6800億円。業種別では陸運や空運、小売などが大幅上昇。一方、その他金融や鉱業、ガラス・土石などが大幅に下落した。Jフロントリテイリングが後場プラス転換して16%近い大幅上昇。反面、前引けで10%安であったソフトバンクGは大引けでは17%安と売りが止まらなかった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1141/値下がり1001。日経平均は3桁下落となったものの、値上がり銘柄は多かった。SBGの急落を横目にドコモやNTT、KDDIなど他の通信大手は大幅上昇。三越伊勢丹や丸井Gなど百貨店株も軒並み高となった。みずほが大幅高となったほか、コンコルディアや九州FGなど地銀の一角も急伸。抗新型ウイルス薬への期待から日医工が買いを集めた。一方、アドバンテストや東京エレクトロンなどハイテク株が軒並み急落。日本電産やSCREENの下落率は10%を超えた。オリックスやリクルートも2桁の下落率。きのうストップ高の富士フイルムは一転して売りが優勢となった。月次軟調のピープルが大幅安。貸会議室の需要減退懸念から売りが続いているTKPはストップ安となった。また、REIT市場では日本ビルファンドやJREなどストップ安銘柄が続出した。きょうは3銘柄が新規上場したが、関通が高い初値をつけてその後も上値を伸ばした一方、ゼネテックと日本インシュレーションは公開価格割れスタートとなった後も売りが続いた。  混沌極まる1日となった。ソフトバンクGが17%安、日本電産が10%安で東京エレクトロンは8%安、REIT市場ではストップ安銘柄が続出。でも東証1部の値上がり銘柄は多く、リスクオフというほど弱い動きではない。ドル円が109円台に突入するなど円安が進行する中でもハイテク株がたたき売られ、内需が後場に騰勢を強める。ただ、内需ならなんでも良いかというと、リクルートやファミリーマートなど、代表格といえそうな銘柄は急落。売られすぎの反動というくらいしか材料がない銘柄が急伸した一方、もうさすがに下げすぎでしょうと思える銘柄でもさらに売られるものもあるなど、何を理由に売買しているのかが分からなくなるような値動きがあちこちで見られた。  大きな流れでいえば、トランプ政権が始まった後の長期ラリーの巻き戻しのようではある。急落した銘柄群は、2016年後半から2017年前半に仕込んでいれば、先週までの時点では含み益があった銘柄が多い。ダウ平均もトランプ大統領が就任してからの上昇分を今週吐き出した。吐き出して身軽になったことで改めて買いが入るのか、主役交代で勝ち組が負け組に変ぼうするのか、今の時点ではまだ何とも言えないが、この先、数週間のうちに新たな潮流が出てくる可能性があり、マーケットから目が離せない局面だ。さしあたっては需給の重い銘柄は敬遠されるとみておいた方が良い。ハイテクなども急落で値ごろ感は出てきたが、信用倍率をみると、まだ高水準のものが結構あり、こういった銘柄は戻り売りが待ち構えているだろう。値幅は出るし悲観一色でもないので、フットワーク軽く動けば、短期でも利益は出せる地合いではある。需給の軽い銘柄を中心に、ここ数年日の目を見なかった銘柄群に着目したい。 【来週の見通し】  上値の重い展開か。日本株は今週、かなりいびつな動きとなっており、今週急落したハイテク株やREITなどは、潮目の変化が警戒されて、少なくとも3月期末まではポジション調整の売りが続くとの見方が強まると考える。逆に内需を中心に強く買われた銘柄もあるが、特段新たな材料がない中で急伸したものも多く、これらは買いが続いたとしても上昇ペースは鈍る可能性が高い。優待・配当狙いの駆け込み買いや、新年度入りをにらんだ実需の買いなどは期待できる。また、値幅の調整も進んでいることから、押し目があれば買いも入ると考える。ただ、新型コロナウイルスの動向に神経質となる状況はまだ続くと思われるほか、年度末の変わり目で物色動向がガラッと変わる展開も想定されるだけに、不安定な地合いが継続すると予想する。 【今週を振り返る】  軟調となった。週初にFRBが緊急利下げに踏み切り、日銀も金融政策決定会合を前倒しして追加緩和策を打ち出したが、米国の利下げに対する米株先物の反応が悪かったこともあり、これらを受けた週初16日の日経平均は大幅下落。同日の米国市場ではダウ平均が3000ドル近く下落するなど、日米の金融緩和はかえって市場の不安を高めた。その後、米国株は大規模な経済対策への期待が高まったことで持ち直す場面もあったが、東京市場では指数寄与度が高いソフトバンクGやファーストリテイリングが値を崩したこともあり、上値の重い展開。量的緩和拡大に伴う日銀のETF買いが意識されて内需株などには見直し買いが入ったが、週後半にはハイテク株やREITなど、昨年まで値持ちの良かった銘柄群が総崩れとなり、日経平均は下値模索が続いた。週間では約878円の下落となり、週足では5週連続で陰線を形成した。一方、TOPIXは週間上昇で終えており、TOPIX優位の傾向が強まった週となった。 【来週の予定】  国内では、日銀金融政策決定会合議事要旨(1/20~21開催分)(3/25)、2月企業サービス価格指数(3/26)、配当・優待権利付き最終日(3/27)がある。  企業決算では、アークランド(3/23)、ハピネス&D(3/24)、オプトエレクト、セキチュー(3/26)、トシンG、出前館、ハニーズHLD、ジャステック、ミタチ、ニイタカ、ヒマラヤ(3/27)などが発表を予定している。  海外では、米2月新築住宅販売(3/24)、独3月Ifo景況感指数、米2月耐久財受注、米1月FHFA住宅価格指数 (3/25)、EU首脳会議予定(~3/27)、米10-12月期GDP確報値(3/26)、米2月個人消費所得・個人支出(3/27)などがある。  米企業決算では、ナイキ(3/24)、マイクロン・テクノロジー(3/25)などが発表を予定している。
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マーケットデータ
日経平均 37,934.76 +306.28
TOPIX 2,686.48 +22.95
グロース250 644.61 +4.49
NYダウ 38,239.66 +153.86
ナスダック総合 15,927.90 +316.14
ドル/円 159.35 +1.23
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