明日の戦略-下げ幅縮小も手掛けづらさが強まる、29500円より上を維持できるか

2021/04/08(木) 17:13
 8日の日経平均は小幅反落。終値は21円安の29708円。米国株はまちまちで新たな手掛かりには乏しかったが、小安く始まった後はすぐに下げ幅を3桁に拡大。安いところでは200円超下げる場面もあった。しかし、節目の29500円は割り込むことなく下げ渋ると、その後は値を戻す展開。14時あたりまでは戻りのペースは緩慢であったが、取引終盤にかけては急速に下げ幅を縮め、引け間際には瞬間的にプラス圏に浮上した。終値ではプラスは維持できなかったものの、29700円台に乗せて高値圏で取引を終えた。  東証1部の売買代金は概算で2兆5400億円。業種別では海運、その他製品、機械などが上昇している一方、空運、銀行、繊維などが下落した。親会社の日立による株式売却観測が伝わった日立金属が大幅上昇。半面、ヒト・コミュニケーションズ・ホールディングスは上期が大幅な増益となり配当見通しも引き上げたものの、通期見通し据え置きで材料出尽くし感が強まり、後場に入って大きく値を崩した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり285/値下がり1883。ファーストリテイリング、キーエンス、任天堂、東京エレクトロンなど、値がさ株の動きが良かった。値動きを求めた資金が直近IPO株に向かい、ファブリカ、ウェルスナビ、スパイダーPが商いを伴って大幅高。シキノハイテックやウイングアークが急伸した。材料のあったところでは、利益見通しを引き上げた買取王国や、月次が良好な内容となったシュッピンが買いを集めた。  一方、三菱UFJや三井住友など銀行株が弱かった。暗号資産の下落を受けてマネックスGが大幅安。東京でも「まん延防止等重点措置」が適用されるとの話が出てきたことから、JALや三越伊勢丹、ラウンドワン、アドベンチャーなど、レジャー関連に幅広く売りが広がった。前日ストップ高の東芝は、買い気配スタートとなったものの失速して、引けでは小幅な下落。今期が最終減益見通しとなったウエルシアや、前期の着地が計画を下振れたハイデイ日高が大きく売られた。  きょうジャスダック新規上昇のアイスコは、初値をつけた後は伸び悩み、終値は初値を大きく下回った。  方向感に欠ける1日。日経平均はきのうが34円高で、きょうは21円安。きのうの東証1部では値上がりが1839銘柄あり、きょうは値下がりが1883銘柄。きのうときょうでほぼフラットといった感じで、手掛けづらさが強まった。日経平均(終値:29708円)は5日線(29815円、8日時点、以下同じ)を下回ったが、25日線(29406円)は割り込んでおらず、上値は重くても売り急ぎは抑制された。29500円以上3万円未満が、現状では居心地の良い水準といったところか。  引け後に上期決算を発表したファーストリテイリングは、通期の営業利益見通しを上方修正しているが、引き上げ幅は小幅にとどまった。悪くはないがポジティブサプライズは乏しい。これまで日銀ETF買いの恩恵を大きく受けていたと市場が見ていたこの銘柄が、ルール変更を経た後の最初の決算を通過して、どのような反応を見せるかが注目される。買われるのであれば波乱はないだろう。ただし、強く売られ、それに対して日経平均も神経質に反応するようだと、他の銘柄にも見切り売りが広がる可能性がある。また、あす引け後には安川電機が本決算を発表予定。内容を消化するのは来週になるが、発表前に強含むような動きが見られるかは注目される。日経平均は週末まで不安定な地合いが続きそうだが、29500円を割り込まず、居心地の良い水準を維持できるかが焦点となる。
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