明日の戦略-半導体株さまさまで週間でも上昇、年末商戦期待から堅調地合いが継続か

2021/11/19(金) 17:08
 19日の日経平均は3日ぶり反発。終値は147円高の29745円。まちまちの米国株を受けて、開始直後はプラス圏とマイナス圏を行き来した。しかし、大型半導体株が強く、早々に上げ幅を拡大。高くなったところでの戻り売りをこなしながら、次第に3桁高の状態が定着した。後場に入ると週末を前に動意は乏しくなったが、29700円台で値動きが落ち着いた。下振れ懸念が和らぐにつれて、値下がりから値上がりに転じる銘柄も増加。寄り付き直後に安値をつけ、大引け間際に高値をつける強い動きとなった。  東証1部の売買代金は概算で2兆9200億円。業種別では鉱業、卸売、精密機器などが上昇した一方、空運、パルプ・紙、証券・商品先物などが下落している。株主還元強化姿勢を示し、期末配当見通しも大幅に引き上げた淺沼組が、買い気配スタートから後場にストップ高水準で寄り付くなど急騰。半面、増配や自己株取得を発表したものの、上期の実績が失望を誘ったMS&ADインシュアランスグループホールディングスが、後場に入って大きく売られた。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり1059/値下がり1025。東京エレクトロンが3%を超える上昇。1銘柄で日経平均を約77円押し上げた。米ドル建て無担保普通社債の発行を発表したルネサスが大幅上昇。総じて大型グロース株の動きが良く、太陽誘電やTDKが買いを集めた。原油価格の上昇を手がかりにINPEXやコスモエネルギー、三井物産などに見直し買いが入った。イビデンは日経新聞の社長インタビュー記事を材料に4%近い上昇。新拠点から中古農機具のEU向け輸出を開始したと発表したマーケットエンタープライズがストップ高まで買われた。  一方、決算を受けたアリババ株の急落を嫌気してソフトバンクGが軟調。OLCやHISなどレジャー関連に大きく売られるものが散見された。海外でのファイナンスを発表したウェルスナビが大幅安。開示した今期見通しが失望を誘ったAFC-HDが10%近い下落となった。分割を発表して足元で騰勢を強めていたグローバルウェイは、一時ストップ高となったものの、引けでは10%を超える下落と乱高下した。  本日マザーズに新規上場したAB&Companyは、公開価格割れからのスタート。初値が安値となって場中には公開価格を上回る場面もあったが、終値では公開価格を若干下回った。  今週は半導体株ウイークであったが、その裏で週間の業種別のパフォーマンスを見ると、海運が7.0%安と大幅安となっている。海運は業績急拡大や大幅増配などで一躍今年の主役セクターとなり、特に8月から9月にかけては海運株の動向が全体のモメンタムを左右するような場面もあった。しかし、10月初旬に大手3社がそろって急落すると、上期の好決算を確認しても、それに対する反応は概ね織り込み済みとなった。勢いが削がれる中、最近は弱い時の動きが目立つことが多くなっている。この先、半導体株が一段と騰勢を強めた際には、海運株は主役交代で手仕舞い売りに押されやすくなる可能性がある。 【来週の見通し】  堅調か。火曜が祝日で立ち合いは4日。米国では25日が感謝祭により休場で、26日からブラックフライデーに突入する。今週、米国の小売指標や大手小売の決算では、良好な内容が多く確認できた。米国の年末商戦への期待も高まりやすく、売りが手控えられることで底堅い地合いが続くと予想する。国内では足元で半導体株が騰勢を強めており、関連の深掘りが進むと思われる。また、半導体株同様、直近の決算が良かったものなども、再評価機運が高まるだろう。なお、そろそろ次期FRB議長に関するアナウンスがあるとみられており、関連ニュースには振らされる可能性がある。パウエル議長の続投か、そうでなければブレイナード理事の就任が有力視されている。ブレイナード理事に決まった場合、パウエル氏よりもハト派とみられていることから、初動反応としては米長期金利低下や、ドル安(円高)の動きが出てくると推測される。 【今週を振り返る】  方向感は定まらなかったが、週間では上昇した。週明けの15日はグロース株がけん引役となって3桁の上昇。16日も上昇したが、この日と翌17日は29900円台に乗せながらも3万円には届かなかったことから、次第に上値の重さが意識された。頭打ち感が鮮明となる中、18日には29500円を割り込む場面もあった。しかし、レーザーテックや東京エレクトロンなど主力の半導体株が週を通して強く、19日は東京エレクトロンが上昇を先導して3桁の上昇。この日の上げが貢献して週間でもプラスとなった。日経平均は週間では約135円の上昇。週初に高く始まったため、週足では2週連続で陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では、10月都区部消費者物価指数(11/26)などがある。  企業決算では、菱洋エレク(11/25)、DyDo(11/26)などがある。  海外の経済指標の発表やイベントでは、海外の経済指標の発表やイベントでは、米10月中古住宅販売(11/22)、独11月Ifo景況感指数、米7-9月期GDP改定値、米10月耐久財受注、米10月個人消費支出・個人所得、米10月新築住宅販売、FOMC議事録(11/2~11/3開催分)(11/24)、米ブラックフライデー(11/26)がある。  米企業決算では、ベスト・バイ、ギャップ、ダラー・ツリー(11/23)が発表を予定している。  なお、11/25の米国市場は感謝祭のため休場となる。
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