明日の戦略-不安定ながらもプラスを確保、CPIは米国株の支援材料となるか

2022/05/11(水) 16:18
 11日の日経平均は3日ぶり反発。終値は46円高の26213円。まちまちの米国株を受けて、3桁下落からのスタート。26000円は割り込むことなく、寄り付き直後を安値に切り返したが、戻したところで売り直されるなど、しばらく方向感に欠ける動きが続いた。それでも前場をプラスで終えると、後場は一度もマイナス圏に沈むことなく堅調に推移した。13時台に決算を発表したトヨタが大きく下落すると、それを横目で見ながら値を消した。しかし、下げに転じるかというところでは盛り返した。そこから終盤までは高値圏で推移したが、引け間際の動きがやや弱く、終値では小幅な上昇にとどまった。値下がり銘柄は結構多く、TOPIXは終日軟調となった。  東証プライムの売買代金は概算で3兆2000億円。業種別では海運、鉄鋼、その他製品などが上昇した一方、保険、輸送用機器、銀行などが下落した。今期の大幅増益計画がポジティブサプライズとなったレノバが、商いを集めて23%高と爆騰。半面、2割減益計画が嫌気されたトヨタは、後場に崩れて4%を超える下落。デンソーなど系列企業にも売りが広がった。  東証プライムの騰落銘柄数は値上がり629/値下がり1158。レーザーテックが5%を超える上昇。東京エレクトロンやSCREENなどの動きも良く、ナスダック高を受けて半導体株に資金が向かった。日本郵船を筆頭に海運大手3社が大幅高。決算が好感された日本製鉄やソニーGが買いを集めた。任天堂は決算の見栄えは悪かったものの、10分割や株主還元強化が評価されて3%超上昇した。前期が大幅増益で今期も大幅増益計画、増配も発表した東邦チタニウムが一時ストップ高となるなど急騰。業績好調に加えて創業10周年記念配実施など好材料が多かったデクセリアルズがストップ高となった。  一方、米長期金利の低下を受けて三菱UFJや三井住友など金融株が下落。住友商事や伊藤忠など商社株は、前日に続いて売られるものが多かった。今期大幅減益計画の住友鉱山が4%を超える下落。同様に今期が大幅減益計画となった大平洋金属は、場中値付かずのストップ安比例配分となった。太陽誘電や出光興産が決算を材料に大幅下落。プレイドは修正計画が嫌われてストップ安となった。農業総合研究所は資本提携に伴う新株発行などが嫌気されて大きく値を崩した。  日経平均は小幅高。安値が26003円で、節目を割り込むことなくプラスで終えた点は評価できる。あすは米4月消費者物価指数(CPI)の内容と、これを受けた米国株および米長期金利の反応が注目される。先月はCPIの発表を前に米長期金利が上昇し、米国株が売り込まれた。ただ、前のめりに指標を織り込みに行った分、CPIは強い結果となったものの、これを受けた直後の米10年債利回りは急低下。米グロース株に下げ止まり感が出てきたことから、日経平均もリバウンド局面に入った。今回も指標の発表を前に米国株の動きはさえない。それだけに、先月同様、同指標が反転材料になるとみている市場参加者は少なくないと思われる。  ただ、米10年債利回りは5月に入って3.2%台まで上昇する場面があり、米主要3指数も直近で年初来高値を更新した。米国の金利高および株安のトレンドは依然として継続している。FRBは5月のFOMCにおいて、6月、7月も0.5%の利上げを実施する方針を示している。今回の結果が米長期金利の低下を促したとしても、それで米国の金融引き締めへの警戒が完全に払しょくされるわけではない点は留意しておく必要がある。グロース株に追い風は吹くかもしれないが、ラリーが長く続く、売り込まれていた銘柄が何でもかんでも上がるといった過度な期待は持たない方が良い。とは言え、先行きに対する過度な警戒が後退する展開は期待できる。決算を確認する時期でもあり、業績面での裏付けがあり、成長シナリオが崩れていない質の良いグロース株に関しては、このタイミングで強い見直し買いが入る可能性がある。
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