明日の戦略-大幅安も値幅の調整は進む、日本株の真の実力が試される

2024/03/11(月) 17:04
 11日の日経平均は大幅反落。終値は868円安の38820円。8日の米国市場でエヌビディアが大幅高から一転急落して大幅安となったことが嫌気されて、400円超下げて始まった。半導体株が軒並み安となった上に、円高進行を受けて自動車株も弱く、安く始まった後も下げ幅を拡大。39200円台からスタートし、開始早々に39000円を割り込んだ。900円超下げたところでいったん切り返したものの、戻りは鈍く売り直された。  前場では3桁安で踏みとどまったが、後場に入ると下げ幅を4桁に拡大。グロース、バリュー、大型、中小型問わず幅広く売られ、かつ主力銘柄の多くが値幅を伴った下げとなる中、一時下げ幅を1200円近くに広げて、38500円の節目も割り込んだ。ただ、ここでいったんの売り一巡感が出てきたことから、終盤にかけては下げ幅を3桁に縮小。800円を超える下落ではあったものの、前引け(38704円)は上回り、後場の高値圏で取引を終えた。  東証プライムの売買代金は概算で5兆2600億円。業種別ではプラスはパルプ・紙とその他製品の2業種のみで、繊維が小幅な上昇にとどまった。一方、鉱業、銀行、証券・商品先物などの下げが大きくなった。自己株取得および消却を発表した大日本印刷<7912.T>が地合いの悪い中でも大幅上昇。半面、今年に入って大きく水準を切り上げたことで注目度が高まった銘柄の多くが崩れており、三井E&S<7003.T>がストップ安。さくらインターネット<3778.T>は場中に値が付かずストップ安比例配分となった。  東証プライムの騰落銘柄数は値上がり232/値下がり1397。売買代金上位銘柄はほぼ全滅となる中、「スーパーマリオ」の新作アニメ映画を製作していると発表した任天堂が逆行高。神戸物産が円高メリット銘柄として買いを集めた。通期の利益見通し引き上げと増配を発表したホクトや、前期見通しを上方修正した丹青社が急伸。エイチームは上期は営業赤字となったものの、特別配当の実施が好感されて6%を超える上昇となった。  一方、米エヌビディア株の急落を受けて、アドバンテスト、東京エレクトロン、ディスコ、SCREENなど半導体株が軒並み大幅安。傘下のアームが大きく下げたソフトバンクGは6%を超える下落となった。ラボロAIがストップ安売り気配となるなど、AI関連にも警戒売りが広がった。円高進行を受けて、トヨタ、日産自、マツダなど自動車株が大幅安。2月の米雇用統計は強弱入り交じる内容で米国の長期金利は小幅ながら低下したことから、三菱UFJやみずほなど金融株の下げも大きかった。地合いが悪い中、フリービットやイトクロが決算を材料に大きく値を崩した。  きょうの日本株は派手に下げた。8日の米エヌビディア株が大幅高から一転大幅安となっただけに半導体株には厳しい展開が想定されたが、半導体株以外にも売りが広がった。直近で人気化していた銘柄には売り場がなくストップ安となったものも多く、楽観ムードはいったん沈静化するだろう。ただ、アジア市場は日本株の大幅安を受けても特段ネガティブな反応を見せておらず、エヌビディアと日経平均・TOPIXはここまでの動きが良かったからこそ大きく売られたという側面も強い。  まずは本日の米国株の反応が注目される。8日の米3指数は下落したが、大きく崩れたのはエヌビディアなど半導体株で、アップルやアルファベットなどはプラスで終えた。エヌビディアが一段安となって米国株全体が崩れるようだと厳しくなるが、エヌビディアが下げても3指数が落ち着いた動きを見せるようなら、あすの東京市場では押し目買いが入りやすくなる。過熱感が削がれた今が、日本株の真の実力を問われる局面。テクニカル面では日経平均は一気に25日線(38408円、11日時点)近辺まで調整しており、ここで踏みとどまって切り返すことができるかが注目される。
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