明日の戦略-半導体株が弱く反落、来週は中銀イベントに振り回される一週間

2024/03/15(金) 17:10
 15日の日経平均は反落。終値は99円安の38707円。14日の米国では、市場予想を上回る2月生産者物価指数(PPI)を受けて長期金利が上昇。3指数がそろって下落し、エヌビディアなど半導体株の下げが大きくなった。東京市場でも半導体株が売り込まれ、寄り付きから200円を超える下落となった。  安く始まった後は下げ渋り、38500円を割り込むことなく推移した。半導体株の弱さが目立った一方、プライムでは値上がり銘柄も多く、前場では戻したり売り直されたりといった動きを切り返しながら、下げ幅を2桁に縮小。後場のスタート直後には35800円台を回復した。瞬間的にプラス圏に浮上したが、そこでは戻り待ちの売りに押されて大きく失速。半導体株の下げが大きくなり、再び下げ幅を200円超に広げた。しかし、前場同様に38500円台に入ったところでは持ち直し、終盤にかけては下げ幅を2桁に縮めた。TOPIXは前場のうちにプラス圏に浮上すると、後場はマイナス圏に沈むことなく堅調に推移した。  東証プライムの売買代金は概算で5兆7900億円。業種別では鉱業、石油・石炭、電気・ガスなどが上昇した一方、海運、銀行、電気機器などが下落した。1Qが大幅な増益となった巴工業<6309.T>が急騰。反面、前期の計画下振れ着地や今期の大幅最終減益計画が嫌気されたダブル・スコープ<6619.T>がストップ安となった。  東証プライムの騰落銘柄数は値上がり977/値下がり632と、日経平均は下落したが値上がり銘柄は多かった。原油高を好感できる銘柄が買いを集めており、INPEX、石油資源開発、富士石油、コスモエネルギーなどが大幅上昇。三菱商事や三井物産など商社株にも資金が向かった。柏崎刈羽原発の再稼働期待を背景に東電HDが急騰。売買代金は全市場で2位と大きな注目を集めた。ホンダとEV分野での包括的な協業に向けて覚書を結ぶと報じられた日産自動車が3%を超える上昇。引け後には会社からも正式なリリースが出てきた。上方修正と増配を発表した鴻池運輸が急騰し、今期の大幅増益計画が好感された鎌倉新書がストップ高となった。  一方、半導体株が軒並み安となっており、レーザーテック、東京エレクトロン、ディスコが4%台の下落。プレミアアンチエイジングやアクシージアなど化粧品関連が決算を受けて大幅安となった。グロース系の銘柄では決算を材料に強く売り込まれた銘柄が多く、3Q決算が失望を誘ったANYCOLORや下方修正を発表したINTLOOPが、一時ストップ安となるなど急落した。Macbee Planetは上方修正が好感されず急落しており、こちらもストップ安をつける場面があった。  来週は日銀金融政策決定会合(3/18~19)とFOMC(3/19~20)が大きな注目を集める。日銀会合ではここ数日の報道などから4月ではなく、3月に何らかの変更・修正があるのではないかとの見方が強まっている。これまでの傾向から、日銀が動くのであれば、事前の観測報道などで周知が進むことになるだろう。3月に動かなかった場合でも次回(4月25日~26日)についての示唆はあると思われる。メガバンクを筆頭に金融株は、上昇再開か材料出尽くしで調整入りかの分岐点を迎えている可能性がある。  FOMCに関しては、今回は政策金利の据え置きを完全に織り込んでいる。ただ、直近で出てきた物価指標が市場予想を上回っているだけに、パウエルFRB議長の会見での発言は注目される。市場の利下げに対する期待を削がないハト派的なコメントが出てくれば、半導体株を中心にグロース株の再評価機運が高まる。逆に発言がタカ派的と受け止められた場合には、グロース株にはもう一段の調整余地がある。  グローバル株式市場を見る上では、米国の長期金利上昇を抑制できるかが焦点となる。仮にFOMCが失望材料になったとしても、米国の長期金利が大きく上昇しなければ、市場の混乱は一時的にとどまる公算が大きい。ただし、現状4.2~4.3%近辺で推移している米10年債利回りが4.5%に向けて上昇してしまうような状況になってしまうと厳しい。今回は日銀会合が波乱含みでFOMCは無風通過という印象も強いが、むしろFOMCを波乱なく通過できるかという点に注意を払っておきたい。 【来週の見通し】  不安定な展開か。水曜20日が休場で、前半に日銀金融政策決定会合を消化し、休場明けの木曜21日にFOMCの結果を消化する。日銀会合に関しては、直近でマイナス金利解除観測などが出てきており、会合後の植田総裁会見まで含めて、どういったメッセージが市場に届けられるかが大きく注目される。FOMCでは政策金利の据え置きが濃厚で、この点でのサプライズはないと思われるが、声明文やパウエルFRB議長の会見が相場をかく乱する展開も想定される。両イベントとも通過すれば先行き不透明感の払しょくにはつながる。ただ、反応は読みづらく、片方が買い材料、もう片方が売り材料となったり、買い(売り)となった翌日に逆の動きが出てくることもあり得る。債券市場や為替市場の振れ幅も大きくなると思われ、日々荒い動きが続くと予想する。 【今週を振り返る】  軟調となった。日経平均は週明けの11日に一時1200円近く下げて終値でも800円を超える下落。米国でエヌビディア株が大きく値を崩したことが警戒材料となり、楽観ムードが急速に萎んだ。この日に39000円を割り込むと、水曜13日まで3日続落。12日には38200円台まで水準を切り下げた。38500円より下では押し目を拾う動きも見られた。ただ、米国では消費者物価指数(CPI)に続いて生産者物価指数(PPI)も市場予想を上回り、長期金利が上昇。日米で半導体株が調整色を強める中、中小型で値動きが良かった銘柄も多くが値を崩し、週間では大幅安となった。日経平均は週間では続落し、約981円の下落。週足では2週連続で陰線を形成した。 【来週の予定】  国内では、日銀金融政策決定会合(~3/19)、1月機械受注(3/18)、植田日銀総裁記者会見、2月訪日外客数(3/19)、2月貿易統計、2月首都圏マンション発売(3/21)、2月消費者物価指数(3/22)などがある。  企業決算では、サンバイオ、トウキョベース、テクノロジー、tripla、システムディ、Mマート、ダイワサイクル、LeTech、マツモト(3/18)、サツドラHD(3/19)、ツルハHD(3/21)、コーセル(3/22)などが発表を予定している。  海外の経済指標の発表やイベントでは、中国2月小売売上高、中国2月鉱工業生産、米3月NAHB住宅市場指数(3/18)、独3月ZEW景況感指数、米FOMC(~3/20)、米2月住宅着工件数、米1月対米証券投資、米20年国債入札(3/19)、パウエルFRB議長記者会見、半導体などの見本市「セミコン・チャイナ」(上海、~3/22)(3/20)、米10-12月期四半期経常収支、米3月フィラデルフィア連銀製造業景気指数、米3月製造業購買担当者景気指数、米2月中古住宅販売(3/21)、独3月Ifo景況感指数(3/22)などがある。  米企業決算では、ゼネラル・ミルズ、マイクロン・テクノロジー(3/20)、アクセンチュア、ナイキ、フェデックス、ファクトセット・リサーチ・システムズ、ルルレモン・アスレティカ(3/21)などが発表を予定している。また、中国では3/20にテンセントが決算発表を予定している。
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