明日の戦略-米CPIの発表を前に終日軟調、米長期金利の動向に要注目

2024/04/10(水) 17:10
 10日の日経平均は3日ぶり反落。終値は191円安の39581円。米国株は小動きも、前日大幅高の反動で3桁下落スタート。寄った後はマイナス圏で方向感に欠ける動きが続いた。下げ幅を200円超に広げて39500円台に突入してくると押し目買いが入った。一方、下げ幅を2桁に縮めて39700円台に乗せると売り直された。終盤の動きが弱く、200円近い下落で取引を終えた。  東証プライムの売買代金は概算で3兆8000億円。業種別では電気・ガス、非鉄金属、海運などが上昇した一方、保険、医薬品、その他金融などが下落した。さくらインターネット<3778.T>がストップ高。マイクロソフトが日本でデータセンターを拡充すると日経新聞1面で報じられたことを手がかりに、関連銘柄として人気化した。半面、前期の着地が計画を下振れたイオンフィナンシャルサービス<8570.T>が急落した。  東証プライムの騰落銘柄数は値上がり841/値下がり754。東電HD、九州電力、北海道電力など電力株が大幅高。マイクロソフトが日本でデータセンターを拡充すれば電力消費量が増加するとの期待から買いを集めた。一部メディア報道を材料に、宇宙ベンチャーのQPS研究所やispaceが急伸。決算が好感されたイオンディライトやカーブスHDが大幅高となった。中国ハイアールの傘下企業と業務提携することを発表したプラッツは、場中に値が付かずストップ高比例配分となった。  一方、ファーストリテイリング、ディスコ、三菱重工などが軟調。三井物産や三菱商事など商社株の一角が弱かった。セブン&アイはヨーカ堂株売却に関する観測を受けて序盤や後場に買われる場面があったが、戻り売りに押されて下落で終了。今期の見通しが市場の期待に届かなかったパルGHDが12.5%安と急落した。  日経平均は3日ぶりに反落。きのう大きく上昇しており、きょうも買われるようなら日本株独自の強さがクローズアップされるところであったが、米3月消費者物価指数(CPI)の発表を前に一段と買い上がる動きは見られなかった。ただ、安値(39510円)でも39500円は割り込んでおらず、下値は堅かった。  本日のCPIを受けた米10年債利回り(長期金利)の反応が大きく注目される。前月2月分はCPIと生産者物価指数(PPI)がともに市場予想を上回り、どちらも発表直後に米長期金利が上昇した。今回、CPIが市場予想を上回ったとしても、長期金利の上昇が限定的であれば、仮に米国株が下落したとしても市場の動揺は一時的にとどまるだろう。しかし、足元4.3~4.4%台で推移している米長期金利が4.5%近辺まで跳ね上がってしまうと厳しい。この場合、しばらくグロース株には手を出しづらくなるし、株式全体の割高感が強く意識される展開も想定される。  本日公表されるFOMC議事録も相場のかく乱材料となる。議事録の内容がタカ派的と受け止められた場合には米長期金利の上昇要因、ハト派的と受け止められた場合には低下要因となるため、CPIと議事録の組み合わせ次第ではリスクオフ・リスクオン、どちらもあり得る。米長期金利が大きく動けばドル円も刺激されるだろう。ただ、ここからさらにドル高・円安が進行した場合、介入に対する警戒も強まってくる。  理想はCPIが市場予想を下回る、もしくは予想並みとなり、米長期金利が低下。これにより、為替は円高(ドル安)に振れるも、米国でグロース株が強く買われることで、日本株にも好影響が及ぶというパターン。この場合、米国の利下げに対する期待が再燃し、為替介入に対する警戒は後退する。様々なパターンが想定されるが、株式を見る上では、米長期金利の大幅上昇を回避できるかどうかが重要。それさえ回避できれば、日米の指数が下に値幅が出たとしてもそこまで恐れる必要はない。
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