明日の戦略-続落でも週間では上昇、来週は楽観ムードが優勢か

2019/11/29(金) 16:37
 29日の日経平均は続落。終値は115円安の23293円。米国株が休場で手がかりが少ない中、上昇して始まったもののほぼ寄り付き天井。じわじわと値を消し、前場のうちに下げに転じた。後場は香港株の下げが大きくなったことが嫌気されて、売りの勢いが一段と強まった。米株先物も弱く、他のアジア株も連れ安するなどリスク回避の流れとなり、下げ幅を3桁に拡大。23300円を割り込み、ほぼ安値圏で取引を終えた。一方、マザーズ指数とジャスダック平均はプラスを保っており、新興市場の堅調さが光った。東証1部の売買代金は概算で1兆7500億円。業種別では鉱業、証券・商品先物、パルプ・紙が上昇しており、プラスはこの3業種のみ。一方、ガラス・土石、輸送用機器、金属製品などの下げが大きかった。技術戦略説明会の内容が好感された東芝が大幅高。半面、上期の最終赤字幅が拡大したユー・エム・シー・エレクトロニクスが大幅安となった。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり856/値下がり1184。半導体事業の譲渡を正式発表したパナソニックが大幅上昇。上方修正を発表した土屋HDや集英社との業務提携を発表したLink-Uがストップ高となるなど、地合いが悪い中でも好材料のあった銘柄には資金が殺到した。大真空や昭和真空が個別に賑わい、新興市場優位の中でワークマンが買いを集めた。一方、トヨタや日立が軟調。リクルートHDやKDDIなど、内需の一角も弱い動きとなった。飲食店情報サイトによる予約席の囲い込みを公正取引委員会が問題視していると報じられたことを受けて、ぐるなびやカカクコムが大幅安。直近で買いを集めていたカイオムやDWTIなど創薬ベンチャー株が売りに押された。  日経平均は後場に入って下げ幅を拡大。終値(23293円)では5日線(23361円、29日時点、以下同じ)を割り込んだ。来週は下に控えた25日線(23198円)辺りまでで下げ止まり、早々に5日線上を回復できるかが注目点となる。12月に入り、小売などを中心に、11月の月次が多く出てくる。10月は増税実施月で各社需要の落ち込みを防ぐ対応に力を入れていたであろうから、そういった影響が一段落した11月の数字は、先行きを占う上でも要注目だ。増税が痛手となったところ、企業努力で克服したところ、また、消費者の節約志向を追い風にできているところなど各社さまざまであろうから、結果を踏まえた個別の選別が進むと考える。また、悪影響がそれほど大きくなかった場合には、全体市場への好影響が期待できる。この場合、クリスマスや年末にかけては消費者の財布の紐が緩む展開が期待できるという点から、小売株を見直す動きが強まると考える。 【来週の見通し】  堅調か。米中交渉関連のニュースに一喜一憂する地合いは続くだろうが、米国の年末商戦に関するニュースも多く出てくると予想される中、楽観ムードが優勢になると予想する。直近で発表された米国の7-9月期GDP改定値や10月耐久財受注などは良好な内容となり、米国株高やドル高(円安)を促した。来週も米国では11月ISM製造業および非製造業の景気指数、10月製造業受注など注目の指標発表が多い。これらが安心感のある内容となれば、米国株の上昇にも寄与すると見込まれる。悪かった場合でも、金融緩和継続期待が高まることから、大きく崩れる展開にはなりづらいと考える。 【今週を振り返る】  総じて堅調となった。米中通商合意期待の高まりを受けて日経平均は週初から水準を切り上げると、26日には取引時間中の年初来高値を更新した。高値警戒感が強まったことからその後の上値は重くなった。また、トランプ大統領が香港人権法案に署名したことで米中交渉への楽観的な見方が後退してからは、売りに押される場面も増えた。しかし、為替市場で円安が進んだことが下支えとなり、週間では上昇を達成した。米国株が感謝祭休場を挟む週であったため、商いは低調となった。また、出遅れ感のあったマザーズ指数に関しては、強含む動きが見られた。日経平均は週間では約181円の上昇。週足ではほぼ横ばいに近いものの、3週ぶりに陽線を形成した。 【来週の予定】  国内では、7-9月期法人企業統計、11月新車販売台数(12/2)、10月毎月勤労統計、10月家計調査(12/6)がある。  企業決算では、伊藤園、ロックフィール、ザッパラス、ゼネパッカー、ピープル(12/2)、アインHD(12/3)、オリバー、モロゾフ、ティーライフ、Link-U、不二電機、楽天地(12/4)、ファーマフーズ、ラクーンHD、アルチザ、スバル興(12/5)、積水ハウス、日駐、ケア21、鳥貴族、ポールHD、エイチーム、ソフトウェアサー、アイル、gumi、ユークス、HEROZ、日本スキー、巴工業、インスペック、トミタ電機、エイケン工業、トップカルチャ、光・彩、カナモト、精養軒、丹青社(12/6)などが発表を予定している。  海外では、中国11月製造業PMI(11/30)、米11月ISM製造業景気指数、米10月建設支出、米サイバーマンデー(12/2)、米11月ADP全米雇用リポート、米11月ISM非製造業指数(12/4)、米10月貿易収支、米10月製造業受注、OPEC定例総会(12/5)、米11月雇用統計、米10月消費者信用残高、非加盟国を含めたOPECプラス会合(12/6)などがある。  米企業決算では、セールスフォース・ドットコム(12/3)、ティファニー、ダラーゼネラル(12/5)などが発表を予定している。
日本株の最新ニュース
マーケットデータ
日経平均 37,934.76 +306.28
TOPIX 2,686.48 +22.95
グロース250 644.61 +4.49
NYダウ 38,085.80 -375.12
ナスダック総合 15,611.76 -100.99
ドル/円 156.56 +0.92
プレミアム銘柄の最新情報
ページTOPへ