明日の戦略-終日方向感に欠ける展開、本日の米長期金利の動向は要注目

2021/10/13(水) 15:59
 13日の日経平均は続落。終値は90円安の28140円。米国株が3指数そろって下落した上に、引け味も悪かったことから、寄り付きから3桁の下落。米アップルのiPhone減産観測が伝わったことからハイテク株が強く売られ、開始早々には下げ幅を200円超に広げた。28000円を割り込んだところでは自律反発狙いの買いが入って鋭角的に切り返し、一気にプラス圏に浮上。しかし、上げ幅を3桁に広げたところで失速し、再びマイナス圏に沈んだ。後場のスタート直後には下げ幅を1桁に縮めたが、プラス圏に浮上できずに売り直されると、以降は動意も薄くなり、マイナス圏でのもみ合いが引けまで続いた。  東証1部の売買代金は概算で2兆4000億円。業種別では不動産や水産・農林、建設などが上昇した一方、海運や鉄鋼、ゴム製品などが下落した。証券会社が投資判断を引き上げたIDECが急騰。半面、1Qが大幅な営業減益となった三光合成が急落した。  東証1部の騰落銘柄数は値上がり608/値下がり1491。ハイテク関連には大きく売られるものも散見された中、レーザーテックが2%を超える上昇。ファーストリテイリングやJT、塩野義製薬などが個別にしっかりとした動きを見せた。高島屋は上期が営業赤字に転落する見込みとなったものの、株価は買いで反応。Jフロントは通期の売上収益見通しを下方修正したにもかかわらず8%超の上昇と、百貨店株には悪材料出尽くしを期待した動きが見られた。上方修正を発表した東宝が大幅高。3Qの利益が通期の計画を超過したフィルカンパニーが急伸した。  一方、アップルのiPhone減産観測を受けて、太陽誘電、村田製作所など電子部品を中心にハイテク株の多くが下落。日本郵船、商船三井、川崎汽船の邦船3社が弱く、2~3%台の下落率となった。前日に強く買われた日本製鉄、JFEHDなど鉄鋼株は、きょう強めに売られる展開。下方修正を発表した日本ペイントや、今期の大幅減益計画を提示したワッツ、旭化学工業などが大幅安となった。堺化学工業は株式の売り出しが嫌気されて8%近い下落となった。  日経平均は12日のダウ平均同様、プラス圏とマイナス圏を行き来しながら、終盤にかけてはマイナス圏が定着した。今晩の米国市場で見極めたい材料がかなりあるため、身構える地合いにはなりやすかった。本日、米国では、9月開催のFOMC議事録公表、9月消費者物価指数(CPI)の発表に加え、JPモルガン・チェースなど金融株の決算が発表される。減産観測が伝わり時間外で下落したアップルも注目を集めるだろうから、色々慌ただしくなりそうだ。米長期金利の上昇に一服感が出てくるのか、それとも上昇が加速するのかが大きな注目点となる。JPモルガンとアップルでは金利に対する反応が真逆と言えるだけに、それぞれ金利動向次第で株価変動率も大きくなる可能性がある。  足元ではインフレへの警戒が強まり、グロース株を買いづらくなっているため、金利上昇にはブレーキがかかった方が、日米とも全体市場には良い影響を及ぼすと考える。上昇加速の場合にはエネルギー株や金融株は買われるだろうが、金利上昇や原油高に歯止めがきかなくなった場合には、先々、VIX指数の急上昇などで暴力的な調整が入る可能性がある。そこまで激しい動きにならなかったとしても、ここで米金利の上昇が止まらない場合には、11月2日~3日の次回FOMC近辺までは不安定な相場環境が続くことになるだろう。なお、米金利の上昇が一服した場合には、円安(ドル高)にも一服感が出てくると思われる。ただし、今のところ日本株にそこまで円安を好感した動きが出てきてはいないことから、一気に110円を割り込むような急激な円高とならなければ、ネガティブな影響は限られるだろう。
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