コラム
第1金曜日は米雇用統計に注目しよう

第1金曜日は米雇用統計に注目しよう

米国の雇用統計とは

 米国では第1金曜日に雇用統計の発表が行われます。雇用統計の結果は株式市場に与える影響が大きく、今後の金融政策を占う上でも市場関係者からの注目度が高い指標となります。
 雇用統計の項目では、「非農業部門雇用者数」「失業率」の動向が注目されています。「非農業部門雇用者数」は「農業以外の民間企業や政府機関などで働く雇用者数が前月比でどの程度増減したか」 を示す指標となります。給与が支払われているかが基準となり、約40万程度の事業所の給与支払などを基に集計しています。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う急速な景気悪化に伴い、2020年4月には前月比2,000万人超の減少と統計開始以来最大の減少幅を記録しました。 米政府による約3兆ドル規模の景気対策が奏功し雇用者数の減少には歯止めがかかりましたが、4月分の大幅な落ち込みを埋めるには至っていません。

米国の非農業部門雇用者数の推移

 「失業率」は労働力人口に占める失業者の割合となり、「(失業者÷労働力人口)×100」で算出されます。失業者数は16歳以上の男女が調査対象となりますが、軍隊従事者や労働意欲のない者は含まれません。 新型コロナウイルスの感染拡大前は3~4%台と低水準で推移していましたが、2020年4月には14.7%へと一気に跳ね上がりました。その後はピークから低下傾向となっていますが、拡大前と比べ高水準となっています。

米国失業率の推移
米国の雇用統計が注目される理由

 米国の雇用統計が注目される理由として、個人消費に影響を与えることが挙げられます。米国のGDPのうち約7割を個人消費が占めており、雇用者数が増加すれば個人消費の増加要因となり景気の押し上げにつながりやすくなります。 また、景気が悪化すると米国の企業はレイオフ(一時帰休)などで従業員を減らす傾向にあることからも景気との連動性が高い指標として重要視されています。
 またFRB(米連邦準備制度理事会)が「雇用の最大化」を金融政策の目標に掲げており、雇用統計の結果が金融政策の見通しを占う上で重要な判断指標とされています。直近のFRBの大きな動きとしては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う雇用情勢の悪化を防ぐため、 2020年3月15日に臨時のFOMC会合を開催し、政策金利であるフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を1.00~1.25%から0.00%~0.25%へと引き下げ、事実上のゼロ金利政策に踏み切りました。同時に7,000億ドル規模の国債購入などの量的緩和策の拡大を決定し、積極的な金融緩和策を講じました。

雇用統計前後では金融市場が大きく変動することも

 株式市場では、特に「非農業部門雇用者数」に対する反応が大きくなる傾向があります。「前月と比べ雇用者数がどの程度増減しているか」「事前予想を上回っているか」が注目ポイントとなります。また、雇用統計の発表前後では、金融市場が大きく変動する場合があります。雇用統計の発表時期は日本時間では第1金曜日の21:30(冬時間は22:30)となりますが、為替トレーダーにとっても注目のイベントとなっているため、この日は為替に大きな動きが出てくることも多いです。 良好な結果が確認でき、米国株は上昇、為替はドル高・円安といった動きになれば、週明けの日本株には好影響が見込まれます。市場関係者の注目度が高い指標だけに、発表日近辺が相場の転換点となることも多くあります。

関連コンテンツ
マーケットデータ
日経平均 38,230.71 -43.34
TOPIX 2,728.47 -0.93
グロース250 644.34 -1.91
NYダウ 37,903.29 +87.37
ナスダック総合 15,605.48 -52.34
ドル/円 155.82 +1.27
プレミアム銘柄の最新情報
ページTOPへ