IPO銘柄詳細

ジャパンディスプレイ

コード 市場 業種 売買単位 注目度
6740 東証1部 電気機器 100株 S
スケジュール
スケジュール
仮条件決定 2014/03/03
ブックビルディング期間 2014/03/04 - 03/07
公開価格決定 2014/03/10
申込期間 2014/03/11 - 03/14
払込期日 2014/03/18
上場日 2014/03/19
価格情報
想定価格 1,100円
仮条件 900 - 1,100円
公開価格 900円
初値予想 850円
初値 769円
  • スケジュールは上場企業都合により変更になる場合があります。
基本情報
代表者名 大塚 周一/1951年生
本店所在地 東京都港区
設立年 2002年
従業員数 14801人 (2014/01/31現在)(連結)
事業内容 中小型ディスプレーデバイスの製造および販売
URL http://www.j-display.com/
株主数 168人 (目論見書より、潜在株式のみの株主も含む)
資本金 35,274,000円 (2014/02/14現在)
上場時発行済株数 601,387,900株(別に潜在株式13,525,000株)
公開株数 371,900,000株(公募140,000,000株、売り出し213,900,000株、オーバーアロットメント18,000,000株)
調達資金使途 中小型ディスプレー事業の設備投資
連結会社 子会社15社
シンジケート
公開株数221,187,500株(別に18,000,000株)/(国内分)
種別 証券会社名 株数 比率
主幹事証券 野村 92,382,800 41.77%
主幹事証券 三菱UFJモルガン・スタンレー 66,946,500 30.27%
主幹事証券 ゴールドマン・サックス 5,898,300 2.67%
引受証券 大和 15,261,900 6.90%
引受証券 SMBC日興 15,261,900 6.90%
引受証券 みずほ 15,261,900 6.90%
引受証券 東海東京 2,543,600 1.15%
引受証券 岡三 2,543,600 1.15%
引受証券 いちよし 1,017,400 0.46%
引受証券 藍沢 1,017,400 0.46%
引受証券 水戸 1,017,400 0.46%
引受証券 マネックス 1,017,400 0.46%
引受証券 日本アジア 1,017,400 0.46%
大株主(潜在株式を含む)
大株主名 摘要 株数 比率
産業革新機構 ベンチャーキャピタル(ファンド) 400,000,000 84.23%
ソニー 特別利害関係者等 20,000,000 4.21%
東芝 特別利害関係者等 20,000,000 4.21%
日立製作所 特別利害関係者等 20,000,000 4.21%
大塚 周一 代表取締役社長兼CEO執行役員 806,000 0.17%
野村信託銀行(信託口) 特別利害関係者等 677,600 0.14%
持ち株会 特別利害関係者等 657,300 0.14%
有賀 修二 取締役兼CBO執行役員、子会社の役員 504,000 0.11%
西 康宏 CFO執行役員、子会社の役員 306,000 0.06%
保田 隆雄 CAO執行役員、子会社の役員 302,000 0.06%
近藤 裕則 CQO執行役員 302,000 0.06%
境田 秀也 CSO執行役員、子会社の役員 302,000 0.06%
田窪 米治 CTO執行役員 302,000 0.06%
佐藤 幸宏 CBO執行役員、子会社の役員 302,000 0.06%
熊倉 和明 CPO執行役員 302,000 0.06%
福井 功 CMO執行役員、子会社の役員 302,000 0.06%
業績動向(単位:百万円)
は予想
決算期 種別 売上高 営業利益 経常利益 純利益
2014/03 連結予想 623,400 30,400 22,600 36,600
2013/12 連結3Q累計実績 482,742 22,122 18,636 33,483
2013/03 連結実績 457,378 1,783 5,542 3,889
売上高
営業利益
経常利益
純利益
1株あたりの数値(単位:円)
は予想
決算期 種別 EPS BPS 配当
2014/03 連結予想 145.55 689.32 0.00
参考類似企業
銘柄 今期予想PER(2/26)
パナソニック
30.8倍 (連結予想)
シャープ
111.9倍 (連結予想)
京セラ
21.1倍 (連結予想)
事業詳細
 中小型ディスプレーパネルの開発、設計、製造および販売。現在はLTPS(低温ポリシリコン)技術を使った液晶ディスプレーに注力している。販売面では世界のスマートフォン販売台数上位のメーカーの大半と取引している。
 産業革新機構と日立製作所、東芝、ソニーが2011年8月、事業統合に合意。12年4月から事業を開始した。2013年4月に国内親子会社で逆さ合併し、旧子会社の1つが存続会社になった。

1.モバイル分野
 スマートフォン、タブレット端末などのモバイル機器向けなどが含まれる。

2.車載・C&I・その他分野
 車載用機器、デジタルカメラやビデオカメラ、携帯型ゲーム機などの民生機器、レントゲン写真読影用モニターなどの医療用機器、業務用装置などの産業用機器向けが含まれる。C&IはConsumer(一般消費者用) and Industry(産業用)の略。

 2013年3月期(旧ジャパンディスプレイ)の売上高の構成比は、モバイル64.4%、車載・C&I・その他35.6%。主な販売先は米アップル・グループ20.9%。
コメント
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・2013年3月期の業績は旧ジャパンディスプレイ(親子合併により消滅した旧親会社)による実績。
・旧会社で実施された直近(2013年3月)の第三者割当増資の発行価格は、遡及(そきゅう)修正して500円。主要出資企業の修正出資価格は500円。持ち株会は530円と650円。
・大株主上位4社には180日間のロックアップが掛かる。
・海外共同主幹事はゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、野村、メリル・リンチ、ドイツ銀行、UBS。


<ファーストインプレッション>
 報道では計画前倒しでの上場だということが伝えられている。基本的に政府案件でかつ前倒しとなると、売却価格を巡って主幹事ともめていない表れ。近年では日本航空がこのケースだった。吸収金額は巨大だが、海外からも注目が集まるグローバルオファリングとなれば、それほど需給は気にしなくともいい。中途半端に大きい案件よりも、海外投資家の投資対象となることでかえって安心感がある。ちなみに海外報道では米アップルのサプライヤーとして紹介されている。アップル製品は新モデルの不調で、サプライヤーは予想外の苦戦に見舞われてもいるが、基本的に公開株は取得してもいい案件と思われる。なお、EV/EBITDA倍率は7.1倍※でほぼ適正と言われる水準。

※この数字は上場時の調達資金を入れないで計算した結果でした。正しい数値は仮条件分析をご覧下さい。
仮条件分析 (BB参加妙味 :B)
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想定価格: 1,100円
 吸収資金レンジ: 3892.9億円 - 4090.9億円(今期予想連結PER: 7.6倍)
 時価総額レンジ: 6615.3億円

仮条件: 900円 - 1,100円
 吸収資金レンジ: 3185.1億円 - 4090.9億円(今期予想連結PER: 6.2倍 - 7.6倍)
 時価総額レンジ: 5412.5億円 - 6615.3億円

仮条件は想定価格を上限に決まった。下限は想定を18.18%下回る。

<強気材料>
1部市場確実、政府案件、前倒し上場、世界が注目、アップルサプライヤー、技術力高い、社外取締役多い、シナジーあり、アップルが車載システム発表、表面PER低い

<弱気材料>
巨大案件、競争激しい、寄せ集め、巨額投資必要、スマホ減速、業績の波激しい、仮条件下振れ、相場不安定、利益率低い、追加増資示唆、売り切らない、低価格機の台頭、電力料金上昇

<機関投資家の指摘事項>
1.中小型ディスプレー専業という特徴あるビジネスモデルを確立し、技術力により参入障壁を築いていること。
2.LTPS(低温ポリシリコン)市場の成長が期待できること。
3.中小型ディスプレー市場で中長期的に競争力を維持できることが課題であること。

<結論>
 弱めB。公開価格が下限ではないと仮定し、初値は0~+10%を想定する。
 アップルの大手サプライヤーとして、世界が注目する案件。寄せ集め統合からのIPOだが、これまでの反省が生かされ事業は好調。ハイエンド化が進む中小型ディスプレー需要の拡大といった追い風もあり、しっかりしたスタートになると考える。

 同社は国策によって電機3社のディスプレー事業を統合して誕生した。一部パナソニックの事業も日立経由で混じる。高度技術力が必要な前工程は国内で、労働集約型の後工程は海外の工場にて生産体制を振り分けている。
 発足直後から中小型ディスプレーはスマートフォン・タブレット向けの需要が拡大。最近ではスマホの大画面化が進み、台数に加え面積が広くなった影響も受ける。これはかつて薄型テレビが普及した時と同じ構図だ。
 大画面化と同時に高精細化、低消費電力化も進み、同社の技術力が強みとなっている。タッチセンサー機能を液晶セルに内蔵することによる感度向上や、薄型化・軽量化の実現、光の三原色に白色を加えてバックライトの輝度調整を積極的に行う低消費電力化の実現など。速い商品サイクルに対応できる生産体制を確立している。耐久年数や振動体制、見やすさ、温度耐性などでさらに厳しい条件が要求される車載用でも実績を積んでいる。こうした技術力は3社の得意とする技術を結集することで実現した。
 同社が売りにするLTPS液晶ディスプレーは有機エレクトロルミネッセンス(EL)に比べ、現時点では高精細化が進んでいる。有機ELは次世代技術として注目されがちだが、技術的ハードルが高く投資にも膨大な費用が必要。現時点で手掛けるのは韓国サムスンくらいである。
 なお、米アップルは3日、iPhoneの車載用システムを発表し、インパネにiPhoneのアイコン画面が表示された写真が伝わった。サプライヤーは不明だが、アップル向けと車載向けの双方に実績のある点で、今後の期待が膨らむ。

 3社統合による経営は今のところいい方に出ている。これまで大手電機の統合会社は、エルピーダメモリやルネサスエレクトロニクスといったように、うまく行かないケースが目立つが、同社ではこれまで反省が生かされているといえよう。
 問題の社長は外部から招へいした。ソニー勤務の経験はあるが、直前では母体3社とは関係ないエルピーダの取締役最高執行責任者(COO)を務めた大塚周一氏だ。ソニー系では取締役CBO(最高ビジネス責任者)の有賀修二氏もいるが、社内取締役はその2名のみ。縄張り争いの基がないうえ、少ない経営陣で迅速な経営判断を行える体制となっている。さらに社外取締役は4名と社内よりも多く、経営の透明性を確保している。海外投資家好みの体制だ。

 設立間もなく減価償却費が多額なため、今期予想EV/EBITDA倍率(企業価値/利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)倍率を用いて比較すると、仮条件は4.32~5.62倍となる。シャープは6.69倍、サムスン2.79倍、パナソニック5.89倍、京セラ7.75倍。サムスンが著しく安いことになるが、日本企業の間では比較的割安感がある。EV/EBITDA倍率は5~7倍が適正と言われる。サムスンの低倍率は気掛かりだが(ほとんどのアナリストは強気レーティングの評価)、仮条件は特に問題ない水準。上限で決まらなくとも公開株の取得に特に問題はないだろう。
 政府案件は主幹事と公開価格を巡って争う要素がないうえ、今回は計画前倒しによる上場である。産革機構が実績を求められている点は民間ファンドと変わらないが、企業再生機構の日本航空でも価格つり上げの跡はなく、むしろ非常に割安価格だった。株価指標でも割安と判断できるため下値は固く、同値以上の初値は期待できると判断する。

 ただし、LTPSなどの技術は日本独自の技術というわけでもなく、国際的な競争のなかで競合を圧倒するわけではない。シャープはIGZOパネルで技術優位性を見せるが苦戦してきた。シャープはLTPSの倍以上の電子移動速度がある連続粒界結晶(CG)シリコンの技術を実用化し、反撃に挑む。一方、ここに来てスマートフォンは高機能化に伸び悩みが見られ始め、世界では低価格機種が台頭し始めたことも脅威だ。
 世界的な株価混乱もあり、市場の取得意欲は小型IPOのようには行かなそうだ。仮条件は想定価格から下振れにて設定された。下限価格は想定価格から18%も下回り、同時期のグローバルオファリングである日立マクセルに比べても下限に広い。
 昨年グロオファだったサントリー食品インターナショナルでは下限価格が想定から21%下回り、公開価格は下限寄りで決まった。主幹事の野村証券はリーマンショック以降、グロオファ案件では上限で決めたことがない。IPO相場は回復しているが、今回のような仮条件の出し方では、JDIも同様のパターンになりそうだ。公開価格が仮条件上限で決まらなければ、買い上げ意欲もなえるだろう。
 追加の公募や売り出しが考えられる点も需給を緩ませる。今回の上場によって約1500億円を調達するが、巨額な設備投資を必要とする業態だけに、目論見書では早くも追加増資を示唆している。また、筆頭株主の産業革新機構はIPOによる売り出しでも保有株の多くが残る。今後も複数回にわたる売り出しが必要だ。
 社長の出身会社でもあるエルピーダのIPOは、2004年秋と今回同様にIPOバブル期だったが、公開価格が上限で決まっても3.1%の上昇にとどまった。巨額投資が必要な業態ということで共通しており、上場後は公募増資を繰り返した揚げ句破綻した。焦って買わなくとも今後の購入機会はいくらでもある。設備投資が吉と出続けるとも限らない。


<追加分析>
 弱めB継続。引き続き初値は0~+10%を想定する。
 主幹事では人事異動も重なり慌ただしいようだが、好調なIPO地合いを背景に警戒する声は聞かれない。政府案件だけに歴代のIPOでも4000億円の公開規模は巨大だが、1000億円を超えてくると公開価格を上回るか下回るかは需給よりもファンダメンタルズが重視されやすい。海外投資家も混じり参加者が多いためだ。国内競合と比べた割安感や政府案件の前倒しといった経緯から、引き続きしっかりした初値を見込む。ただし、祭りに似たムードでもない限り、2桁以上の上昇は難しい。設備投資競争は国際的であり、今後も増資は繰り返される。

 一方、韓国メーカーは比較的割安になっている傾向があり、LGディスプレーはサムスン同様に2.29倍と安い。サムスンでも子会社のSDIなら12倍に跳ね上がるが、台湾の友達光電は4.11倍。通貨動向から日本メーカーは比較的高く評価される傾向にあるものの、EV/EBITDA倍率は国際比較の指標になるだけにこうした点は懸念材料である。
 なお、中国のローエンドメーカーのEV/EBITDA倍率も比較すると、信利国際集団5.67倍(香港)、天馬微電子9.90倍(深セン)、TCL多媒体科技10.51倍(香港)、比亜迪電子4.52倍(香港)となっている。
公開価格分析
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公開価格: 900円
 吸収資金: 3,347.1億円(今期予想連結PER: 6.2倍)
 時価総額: 5,412.5億円

 公開価格は下限、追加売り出し株数は上限でそれぞれ決まった。引受価額は879.75円。訂正目論見書では、ブックビルディングの状況は、申告された総需要株式数が公開株式数を上回る状況であったうえ、件数は十分だったことが特徴だったとしている。

 ブック状況は価格に触れていないうえ、件数について「多数」ではなく「十分」といった表現にとどめている。なお、下限決定で調達資金が予定より減るため、これを計算し直すとEV/EBITDA倍率は4.47倍となる。オーバーアロットに伴う第三者割当増資を入れると改善されるが、実施されない可能性が出てきたため計算しない方がよさそうだ。初値見通しは879~930円にあらためる。

 海外投資家の需要が弱かったようだ。国内外の配分比率が変更されており、国内売り出し株数:1億1764万5000株→1億4418万7500株と増やした半面、海外は9625万5000株→6971万2500株と3割近くも減らした。
 公表済みだった公募の内訳でも三菱UFJモルガン・スタンレーとゴールドマン・サックスの株数を減らしており、未公表だった売り出し株内訳の分を足しても引受比率が低下。その分を国内系の他証券で分け合う形になっている。GSの国内引き受け株数は、国内の売り出し株数増加前の比率から算出した株数と同じ。事前約束の分は消化するが、それ以上は引き受けない。三菱モルガンは国内系で唯一事前の観測の比率から低下(株数ベースは増加)したが、モルガン・スタンレーの分が影響したか。いずれにしろ国内では個人の意欲が旺盛なため、海外投資家が拒否した分を国内が引き受ける形になった。

 海外投資家の弱気は追加分析でも触れた国際比較での割高感とみられる。9日付けのトムソンロイター系のINTERNATIONAL FINANCING REVIEW(IVR)では、LGディスプレーや友達光電(AUO)とのEV/EBITDA倍率を比較している。再建途上にあるシャープとの比較では見られていないようだ。価格設定が攻撃的過ぎると感じる声が一部であることを報じた。ただ、大半の投資家は価格は非常に公平だとみているともしており、実際には批判を打ち払い、ブックビルディングの初日は1~2億ドル分が積み上げられたとの観測も伝えている。
 結果的には海外投資家の弱さが表れており、需要は限られ価格も保守的にオーダーしてきたようだ。韓国勢の株価は反対に安過ぎるとも言えるが、仮にAUOのEV/EBITDA倍率に合わせるならば、株価は850円程度まで下げる必要がある。

 国内勢も下限決定を受けて一気に弱気に転換してしまうだろう。野村証券はリーマンショック以降、グローバルオファリングで上限決定をしたこともないが、下限もなかった。グロオファで下限だった例では2002年10月の新日鉄ソリューションズ(主幹事:大和)が挙げられる。初値は2割安だった。東証1部としても下限は異例で同年9月のNECフィールディング(大和)と、07年9月のバンテック(野村)があるくらい。いずれも公開価格割れした。
 一方、国内比較では4倍台半ばのEV/EBITDA倍率は割安なうえ、AUOの水準まで下げる前に引受価額を通過する。これらが歯止めになると考える。レンジ想定の上限はエルピーダの初値上昇率(3.1%)を参考にしたが、いずれにしろ下限決定で市場のポテンシャルが低下するのは世界共通であり、買い優勢の展開になる可能性は低くなった。国内比較での割安感が修正されるのは、売りが一巡してからになりそうだ。

捕捉1:ロイターでは公開価格の下限決定を受けた報道で、「一部機関投資家は液晶の価格と業績に懸念を持っており『高いIPO価格には応じられない」(市場筋)と指摘した」と伝えている
捕捉2:台湾勢では他に旧・奇美電子を買収したフォックスコン(鴻海)グループの群創光電(Innolux)があり、EV/EBITDA倍率は3.51倍。
初値予想
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初値予想: 850円(今期予想連結PER: 5.8倍)
初値買い妙味: B

 初値苦戦を予想する。公開価格が仮条件下限決定だったことで値上がり期待に乏しい。海外からは国際比較での割高感も指摘される。日立マクセルの初値後の下げ幅拡大と海外競合との比較を考慮し、850円での初値形成を予想する。

 中小型ディスプレー世界最大手。国策ファンドの支援で電機3社の事業を統合して誕生した。3社の技術を生かした最先端のLTPS(低温ポリシリコン)液晶ディスプレーが売り。スマートフォンやタブレットだけでなく、耐久性などが厳しい車載型も手掛ける。米アップル向けが売上高の2割を占める。足元の業績はスマートフォンやタブレットの普及、省電力、高精細、軽量を求めるハイスペック化の流れから業績は急拡大している。

 公開価格でのEV/EBITDA(簡易買収倍率)倍率は4.47倍。これに対し国内で競合するシャープは6.72倍、パナソニックは5.57倍と割安感がある。ただし、海外勢では韓サムスン電子は2.72倍、韓LGディスプレーは2.39倍、台AUO(友達電子)4.17倍、台イノラックス(群創光電)3.66倍といずれもJDIを下回る。なお、PERは今回、同社も比較対象にも異常値が多いため使えない。
 海外投資家が国際比較による割高感を嫌気したと伝えられており、ブックビルディング後に海外配分株数は当初予定から3割近くも減少した。国内の引き受け株数でも外資系の比率が低下。その分、国内配分株数と国内系証券の引受比率が上昇しており、海外投資家の弱気を国内の主に個人投資家で吸収した格好だ。

 ハイスペックのカテゴリーでは国内かサムスンとの戦いで、台湾勢は劣勢になる。また、JDI以外は既にコモディティー化に苦しむテレビ向けの大型ディスプレーのメーカーでもあり、負の遺産を抱える。韓台勢の各株価は日本勢とは異なり、ここ1年の株価は大きく下落した。特に韓国勢の割安感が際立つが、通貨動向のほかに米アップルなどとの国際訴訟問題も抱える。内外の差はこうした割引要因があり、好調なJDIが割高だと判断するには早計だろう。

 しかしながら、成長分野だけを事業領域とするJDIを積極評価する動きは、世界では少数派だった。米アップルの最新機種は上位機の苦戦が発売当初に伝えられた。省電力ニーズなどから当面はまだハイスペック化が進むとの見方は強いが、中小型ディスプレーも早晩、大型同様にコモディティー化は避けられそうにない。

 何よりも下限決定は市場に下値がまだあるとの思惑を呼び、国内外問わず投資マインドは低下する。ブックビルでは強気だった個人も下限決定で空気は一変したとみられる。過去、東証1部上場のIPOで下限決定だった例としては、2002年9月のNECフィールディング、同年10月の新日鉄ソリューションズ、07年9月のバンテックが挙げられるが、いずれも公開価格割れした。新日鉄ソリュはJDI同様のグローバルオファリングだった。3社のうち2社は2割以上の下落と痛手も大きかった。

 18日に上場した日立マクセルは引受価額での初値にとどまったが、その後も下落し13時過ぎに公開価格から14%の下落とさらに下げ幅を広げている。シンジケートカバー取引の原資となるオーバーアロットメントの比率は国内配分株数に対しJDI7.5%で、マクセルの5.9%よりも高いが、JDIには配当という実弾がない分心もとない。ただし、800円台前半まで下げると海外競合のうちの一つであるAUOのバリュエーションに近づく。このことを考慮し、850円での初値形成を予想する。
初値分析
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初値: 769円(今期予想連結PER: 5.3倍) / 上昇率: -14.6% / 高値: 780円 / 安値: 706円 / 終値: 763円
出来高: 96,057,600株 / 対公開株数: 25.8% / 初値出来高: 31,820,500株 / 初値売買代金: 24,469,964,500円

 初値は大幅安となった。公開価格の仮条件下限決定でもともと買い意欲が乏しく、前日に上場した日立マクセルの大幅安で投げ売りが殺到。シンジケートカバー取引でも売りが吸収できなかった。
 EV/EBITDA倍率(簡易買収倍率)が台湾友達光電(AUO)の水準に並ぶ、850円以下から徐々に買い板が増えていったが、売り買いが一致するには15%近くまで下げる必要があった。
 初値騰落率は昨年来のIPO 61銘柄のうち最低。2012年5月に札証アンビシャスに上場した北の達人コーポレーション<2930.SP>(-15.00%)以来の低さとなった。東証1部では、ジャパンディスプレイ(JDI)同様に下限決定だった2007年9月のバンテックグループ(-25.75%)以来だった。
 9時直後に公開価格で入った買いは23億円程度で、同じ1部に上場したダイキョーニシカワとほぼ同額。市場は同じだが、両社株の公開規模は500倍近い差が開く。多少売り渋りあったとしても公開価格割れは避けられなかった。

 寄り付き後はさらに急落する場面があったが、700円前半では底堅く推移。結局、寄り付きで反発狙いで買った短期筋が、投げ売りを出した瞬間が安値となりその後は初値を上回る場面も見られた。
 安値となった706円でのEV/EBITDA倍率は3.22倍と、台湾群創光電(イノラックス)と比べても安くなる。2倍台で低迷する韓国勢との比較ではなお高いが、韓国株そのものが円安ウォン高を背景に低迷。特許紛争など、台湾勢以上にディスカウント要因を抱える。

 既にコモディティー化した大型ディスプレーの事業に苦しむ海外勢に対し、中小型に特化するJDIはそれだけでも優位に立つ。いずれはコモディティー化が避けられないとしても、目先はまだ省電力などでハイスペック需要は高い。
 当面は初値水準が重しとなり、700円台を固める動きになるとみるが、同水準と公開価格の間は出来高空白地帯。値が軽くなりやすい。ただそれには来期業績が具体化してくるなどの材料が欲しいところ。まずはMSCIなどで早期採用があるかの指数イベントに注目したい。
追加情報
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持続性を重視し、2013年3月期の業績を形式上の実績から旧ジャパンディスプレイの実績に入れ替えました。12年3月期は削除。

 東洋経済新報社による今後の業績予想は、2014年3月期の売上高が6234億円、経常利益が226億円、EPS 60.9円、配当なしと会社予想を踏襲。スマートフォーン向けパネルの供給が拡大し、タブレット向けも新規先の獲得が進む。15年3月期は売上高3%増の6400億円、経常利益5%増の237億円、EPS 31.6円、配当なしの見通し。国内での増産が寄与する。
IPOスケジュール
マーケットデータ
日経平均 37,628.48 -831.60
TOPIX 2,663.53 -47.20
グロース250 640.12 -15.48
NYダウ 38,460.92 -42.77
ナスダック総合 15,712.75 +16.11
ドル/円 155.47 +0.16
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