明日の戦略-軟調相場で日本株が健闘、ただ米国の長期金利は危険水域に

2024/04/11(木) 16:42
 11日の日経平均は続落。終値は139円安の39442円。10日の米国市場では、市場予想を上回る3月消費者物価指数(CPI)を受けて、長期金利が大きく上昇。早期の利下げに対する期待が後退し、ダウ平均は400ドルを超える下落となった。  これらの動きを嫌気して、寄り付きは500円近い下落。ただ、米長期金利の大幅上昇を受けて、為替が円安(ドル高)に振れたことが日本株を下支えした。安値を開始早々につけると、場中はじわじわと下げ幅を縮小。前場は高値引けとなった。後場に入ってからも戻り基調が継続し、3桁の下落ではあったが高値圏で終了。TOPIXは寄り付き直後を安値に切り返し、小幅ながらプラスを確保して取引を終えた。  東証プライムの売買代金は概算で4兆1200億円。業種別では鉱業、石油・石炭、電気・ガスなどが上昇した一方、不動産、小売、精密機器などが下落した。株主還元方針の変更や前期末の配当見通し引き上げを発表した有沢製作所<5208.T>がストップ高。半面、上期の営業利益は前年同期比で大幅増となったものの、会社計画は下振れたサイゼリヤ<7581.T>が急落した。  東証プライムの騰落銘柄数は値上がり697/値下がり893。米長期金利の上昇を受けて、三菱UFJ、三井住友、みずほFGのメガバンク3行が強い上昇。円安進行を手がかりにトヨタが買いを集めた。グロース向きの地合いではない中、ソシオネクストが4%を超える上昇。三井E&S、三菱重工、日立などの動きが良かった。決算を材料にコシダカHDやABCマートが大幅高。株主優待の実施が好感されたホームポジションがストップ高比例配分となった。  一方、米金利の上昇を嫌気して、三井不動産や三菱地所など不動産株が軒並み安。下方修正を発表したKDDIが年初来安値を更新した。決算を発表したセブン&アイとイオンの小売大手2社がそろって大幅安。今期減益計画を提示した吉野家HDが10.4%安と急落した。3月度の月次が失望を誘った丸千代山岡家や、次回から月次の公表を取りやめること決定したサンクゼールが大きく値を崩した。  本日、グロース市場に新規上場したハンモックは、公開価格を5%程度上回る初値をつけ、終値は初値を下回った。  日経平均は続落。ただ、米国からかなりネガティブな材料が届いた割にはしっかりとした動きを見せた。TOPIXに至ってはプラスで終えている。三菱UFJやトヨタなど、外部環境の変化を追い風にできる業種の主力銘柄に買いが入った。ドル円は123円台まで円安(ドル高)が進んだが、為替介入を警戒させるような動きが見られなかったことも、一定の安心材料となった。  米国の10年債利回りは4.5%台に乗せており、危険水域に入ってきた。本日は3月の生産者物価指数(PPI)が発表される。CPIに比べると注目度は低いが、市場予想を上回るようなら、米国の長期金利を一段と押し上げる材料となり得る。エヌビディアなど米グロース株の動向を注意深く見ておく必要がある。  欧州ではECB理事会が開催される。利下げに対する示唆があれば欧州の長期金利低下が期待でき、欧州の金利が低下すれば、米国の長期金利上昇も抑制される。一方、米国の粘着質なインフレを懸念してECBが利下げに慎重な姿勢を示した場合には、株式への逆風が強まってくる。  米国の長期金利が低下傾向となるためには、(1)FRBが利下げ実施に対する強いメッセージを市場に届ける、(2)米国で景気後退を意識させるような著しく悪い経済指標が相次ぐ、(3)米国株が下げ基調を強めて逆資産効果に対する警戒が強まる、(4)地政学リスクの高まり、大企業の倒産など、現時点では認識されていないリスクの顕在化―などが挙げられる。逆に言えば、こういった状況とならなければ、米国の長期金利は下がりづらい。きょうの東京市場では金利上昇局面で選考されやすいバリュー株の動きが良かった。目先はバリュー優位・グロース劣位の環境が続きそうだ。
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TOPIX 2,759.72 -8.32
グロース250 633.41 -9.04
NYダウ 39,806.77 -196.82
ナスダック総合 16,794.88 +108.91
ドル/円 156.44 +0.17
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